昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第一弾:祭りの夜 (見世物小屋)

2010-04-28 22:44:28 | 小説
神社祭りの一番は、
先ずもって見世物小屋である。

全国の祭りを求めて、
り歩いている。

そして、
その呼び声が面白い。

その口上如何によって、
客足が違うらしい。

今夜の呼び声の主は、
相当に年季が入っている。

もう五十に近い、
少し頭の禿げ上がり掛けている赤ら顔の男である。

その口から発せられるつぶれた声が、
その小屋の造りにピッタリだった。

今にも倒れそうな小屋の如くに、
男の口上も時として聞き取れない。

その上に、
時折叩く小太鼓の音が高く響いていた。

もっとも、
その一座のスターの生い立ちを語るのに、
聞き取れないことが好都合なのかもしれないが。

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