昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十三) 六

2013-01-04 13:19:40 | 小説
(六)

「赤い靴か。
分かった、今度の休みに行こう。

そうだ! 草履も買ったらどうだ? 
この間のぬかるみで駄目になっただろう。」

アメリカ将校たちのホームパーティへのデビューを思い描いている。

“アメさんたちも、ステーキばかりじゃ飽きるだろう。
芸者ガールに興味深々みたいだからな。

きっと喜んでくれるぞ。
小夜子に日本舞踊の趣味でもあればいいんだが、そうもいかんか。”

そして小夜子の思い描くのは、正三との再会時の出で立ちだ。

“最新モードで思いっきりおしゃれしなくちゃ。
正三さん、目を丸くするでしょうね。
ふふ……あのショーの時のように。”

ピンクのエプロンに身を包んだ小夜子。
割烹着姿がまだ幅を利かせていてる中、新時代の女を自認する小夜子の面目躍如だ。


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