昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第三弾:【ある時の彼女】 (七)

2010-05-27 18:07:38 | 小説
(泣き叫ぶ幼子)

彼女の知らぬ子どもだ。
その傍らに、
母らしき女性の姿はない。

子どもは、
火のついたように
なおも泣き叫ぶ。

彼女は立ち止まった。
泣き叫ぶ声の中に、
どことなく彼女を慰める何かがあった。
と共に、
心を苛だたせもした。

しかし、
そんな矛盾した子どもの泣き声に
立ち止まったのではない。

いや勿論、
その声に気をとられたのは確かだ。

そして、
自分の不幸を
一瞬間忘れ去ったのも事実だ。

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