(二)
雲の上を歩く勝子がいた。
上気した顔は、自身に満ち溢れている。
「素敵よ、勝子さん」
勝子の思いもよらぬ変身振りに、小夜子も驚いた。
鏡の中の己に見とれている勝子、小夜子のひと声に我に返った。
「ほんとにあたしなの?
ねえねえ、小夜子さん。あなたじゃないわよね」
「何を言ってるの。正真正銘、勝子さんじゃない。
ほら、このお帽子をかぶってみて。
うん! もう立派な貴婦人よ」
「いやだ。これ、あたしじゃないわ。
小夜子さん、なんだか変なの。
鏡の中のあたしが、あたしを馬鹿にしているの。
『あんたなんかの着る服じゃないわよ!』って。
あたし、だめ。耐えられない」
「しっかりして! 誰もそんなことは思ってないわよ。
大丈夫、すごく似合ってる。
ほら、見てごらんなさい。
みんな、勝子さんを見てるわよ。羨ましがってるじゃない」
雲の上を歩く勝子がいた。
上気した顔は、自身に満ち溢れている。
「素敵よ、勝子さん」
勝子の思いもよらぬ変身振りに、小夜子も驚いた。
鏡の中の己に見とれている勝子、小夜子のひと声に我に返った。
「ほんとにあたしなの?
ねえねえ、小夜子さん。あなたじゃないわよね」
「何を言ってるの。正真正銘、勝子さんじゃない。
ほら、このお帽子をかぶってみて。
うん! もう立派な貴婦人よ」
「いやだ。これ、あたしじゃないわ。
小夜子さん、なんだか変なの。
鏡の中のあたしが、あたしを馬鹿にしているの。
『あんたなんかの着る服じゃないわよ!』って。
あたし、だめ。耐えられない」
「しっかりして! 誰もそんなことは思ってないわよ。
大丈夫、すごく似合ってる。
ほら、見てごらんなさい。
みんな、勝子さんを見てるわよ。羨ましがってるじゃない」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます