昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第一部~(十)の五

2011-06-21 20:41:56 | 小説
「 ショーって、
このファッションショーのことですか?」
「そう、
まったくの異例なんだよ。
じゃ、
頼んだから。」と、
横柄に告げて立ち去った。
「ち、ちょっと待ってよ。
あたし、
やるとは言ってないでしょ。」
「小夜子さん。
いいじゃないですか、
やりなさいな。
こんな経験は、
滅多に出来るものじゃありませんし。」と、
正三が声をかけた。
「正三さん、
どこに行ってたの!
大変だったんだから。」
詰る小夜子に、
「ごめん、ごめん。
お弁当をね、
買ってきたんだ。
サンドイッチとか言うものをね、
買ってきたんだ。」と、
差し出した。
「肝心なときにいないんだから。」
「ごめんなさいね。
世の男どもときたら、
女は男の従属物だと思ってるのよね。」
にこやかに女性通訳が、
小夜子に声をかけてきた。
「あたし、
前田ふみ。
あなたのお名前は? 」
「は、はい。
あたしは、
竹田小夜子と言います。」
「そう、
小夜子さん。
いい名前ね、
マッケンジーが喜びそうな名前よ。」
「あのぉ、
前田さんは通訳の方ですか?」
「うん?
本業はね、
違うの。
デザイナーの卵なの。
今、勉強中。
で、食べるためにね、
通訳してるの。
デザイナー相手だと、
すっごく勉強になるのよ。」
「そうなんですか、
デザイナーを目指してらっしゃるんですか?
スゴイですねえ。」


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