(五)
「申し訳ありません。小夜子さまのお立場も考えずに、勝手なことを申しました。
いやだわ、あたし。
小夜子さま、お時間の方はよろしいのですか? ひょっとして、もう…。
宜しかったら、駅までお送りさせていただきますけれど」
「ごめんなさい、ハイヤーが来る時間かも?
そうね、ご一緒していただける?
どうせお爺さまは知らぬ顔でしょうから。
今朝も早く出かけてしまって。
夕べもね、ふてくされてしまって」
「きっと、お淋しくなられるからでしょう。
父もそうでしたから。
正三兄さんの上京時には、やはりどこかに雲隠れしてしまって。
その点、母親は強いです。
あ、ごめんなさい。
お母さまのことは禁句でした」
恐縮して体を縮ませる幸恵だった。
「いいのよ、大丈夫。それより…あ、来ましたね。
では、その荷物をお願いできるかしら」
「申し訳ありません。小夜子さまのお立場も考えずに、勝手なことを申しました。
いやだわ、あたし。
小夜子さま、お時間の方はよろしいのですか? ひょっとして、もう…。
宜しかったら、駅までお送りさせていただきますけれど」
「ごめんなさい、ハイヤーが来る時間かも?
そうね、ご一緒していただける?
どうせお爺さまは知らぬ顔でしょうから。
今朝も早く出かけてしまって。
夕べもね、ふてくされてしまって」
「きっと、お淋しくなられるからでしょう。
父もそうでしたから。
正三兄さんの上京時には、やはりどこかに雲隠れしてしまって。
その点、母親は強いです。
あ、ごめんなさい。
お母さまのことは禁句でした」
恐縮して体を縮ませる幸恵だった。
「いいのよ、大丈夫。それより…あ、来ましたね。
では、その荷物をお願いできるかしら」
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