昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第二部~(十二)の三

2011-08-04 22:40:40 | 小説
小夜子の前に並べられた料理に比して、
アナスターシアの料理は如何にも少なかった。
怪訝な表情を見せる小夜子に、
アナスターシアはにやかに微笑んでいる。
「小夜子さん、
私に遠慮せずに食べて下さいって。
私のことは気にしないで、
って言ってるわ。
モデルはね、
体型維持の為、
カロリー制限しているの。
だからあなた、
気にせず食べなさい。」
「で、でも・・」

ためらう小夜子に
アナスターシアがにこやかに言う。
「please!」
「ホラホラ。
あなたが食べないと、
アナスターシアが食べないわ。
あたしも食べられないし。」
「分かりました、
いただきます。」

食事中のおしゃべりの習慣のない小夜子、
黙々と食べた。
小夜子に話しかけようとするアナスターシアだが、
目を伏せている小夜子に、
拒否されているようで悲しい思いでいた。
アナスターシアのそんな思いに気付いた前田が、
日本の習慣を告げると哀しげな目を見せつつ、
頷いた。


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