昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第一弾:祭りの夜 (真実)

2010-05-04 12:37:43 | 小説
ようやく小屋に辿り着いた。
と、
寝静まっている筈の小屋は、
煌々と電灯が灯り、
プンプンと酒のにおいが小屋の外までにおってくる。

恐る恐る、
ソッと中をのぞき込むと、
七、八人が円を作って、
並々とつがれたコップ酒を次々に空にしていた。

その中には、
座長もへび女も、
短剣を弄んで喝采を浴びた中国人も、
割り箸をチリ紙で叩き割った武士道の先生もいた。

そして、
彼らに封筒が手渡されているところであった。
その中身が何であるかは二人にもよくわかった。

そして、
友人に勿論私にも衝撃だったのは、
皆が皆、
あの「へび」を食べていたことであった。

私はその瞬間、
胸の熱いものがスーッと消え、
目頭に熱いものがこみあげてきた。

友人は唯黙りこくっていた。


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