昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(七十九) 宗教から離れてくれよ

2014-01-31 21:46:51 | 小説
(三)

「母さん、やめてくれ。小夜子奥さまのことは言うなよ。
もういい加減に宗教から離れてくれよ。
忘れてしまったのかい、ひどい目にあったことを」

「勝利。そのことについては、散々にあたしをなじったじゃないか。
あたしも謝ったろうに。親に、何度も土下座をさせたじゃないか。
まだ足りないのかい。何だったら、小夜子奥さまの前で又土下座しようか?」

手を畳みに付けた母親を制して
「お母さんは悪くない。竹田が悪い! お母さんに謝りなさい。
いいこと。お母さんのお話は、宗教の話じゃないの。
あたしが不幸にならないようにって、為になるお話をして下さってるんでしょ!」
と、竹田を叱り付けた。

「いえ、あの、それは、でもそれは、、」

しどろもどろの竹田。
まさか小夜子に叱られるとは思ってもいなかった竹田。

勝子にしてもそうだ。
竹田の口が過ぎていると思いつつも、帰る度に聞かされる説教話には辟易していた。

言い返したいとは思うものの、元を辿れば勝子の病の平癒祈願から始まったことだ。
どうにも母親には、逆らえなかった。

そして母親といえば、複雑な思いでいた。
味方をしてくれる小夜子に感謝をせねばと思いつつも、
我が子を頭ごなしに叱り付ける小夜子に複雑な思いも抱いている。
“女ごときに! 小娘こどきに!”という思いも湧いてくる。



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