(十三)
店に戻って、主任に車の異常が気になると報告してみた。
「あの、主任。
車の調子がおかしいんで、見てもらっていいですか?
エンジン音がうるさいんです。」
「あぁ、音だ? お前さんの運転ではうるさいわな。
静かに走ればいいんだよ。」
「それにですね、ブレーキの効きも悪いんですよ。
サイドブレーキも弱いですし。」
「いいから。
そんなことは車だけに頼らずに、自分の自慢の腕でどうにかしろ。
急ブレーキをかけなきゃいいことだし、サイドにしたってギアをローに入れておけば問題ない。」
予想通り相手にしてもらえなかった。
”ケッ、何とまあ調子のいいことを。
自分の腕でカバーしろだって。
いつも『人間の勘とか腕だとか、そんなものに頼ってはいかん。
おかしいと思ったらすぐに報告するように。』
なんて、いつも言ってるじゃないか。“
腹の中で愚痴りながら、思いっきり舌を出してやった。
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