昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (十三)

2013-01-14 11:41:49 | 小説

(十三)

店に戻って、主任に車の異常が気になると報告してみた。

「あの、主任。
車の調子がおかしいんで、見てもらっていいですか? 
エンジン音がうるさいんです。」

「あぁ、音だ? お前さんの運転ではうるさいわな。
静かに走ればいいんだよ。」

「それにですね、ブレーキの効きも悪いんですよ。
サイドブレーキも弱いですし。」

「いいから。
そんなことは車だけに頼らずに、自分の自慢の腕でどうにかしろ。

急ブレーキをかけなきゃいいことだし、サイドにしたってギアをローに入れておけば問題ない。」

予想通り相手にしてもらえなかった。

”ケッ、何とまあ調子のいいことを。
自分の腕でカバーしろだって。

いつも『人間の勘とか腕だとか、そんなものに頼ってはいかん。
おかしいと思ったらすぐに報告するように。』

なんて、いつも言ってるじゃないか。“

腹の中で愚痴りながら、思いっきり舌を出してやった。


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