昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

愛・地獄変 [父娘の哀情物語り] (十四)

2010-11-12 21:54:57 | 小説
結果、
私たち夫婦の
家庭内別居が
始まったのでございます。

食事の支度こそしてくれますが、
私一人のわびしい食卓でした。
以前も
確かにひとり食事ではございましたが、
あれこれと
世話を焼いてくれておりましたのに。

確かに、
朝を一時間ほど早めは致しましたが。
膨れっ面など、
見たくもありませんですから。

それに顔を見るとつい
「あの男が、
今でも忘れられないだろうが。」等々、
口に出してしまいます。

当初こそ
否定していた妻ですが、
程なく口を利かなくなりました。
認めたも同然でございます。
いえ実は、
認めたのでございますよ、
はい。

「はいはい。
そういうことにしておいてくださいな、
馬鹿々々しい。」

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