昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (二十九)

2013-02-09 15:45:49 | 小説


(二十九)

しかし、少したってから口を開いてくれた。

「私、こんなことを、ご本人に向かって言っていいのかどうか分かりませんけど。
でも、やっぱり言います。

でも、気を悪くしないでくださいね。
私、自分が不良のように思えるんです。

無茶な運転の車に乗っていたり、暗いプラネタリウムに入ってみたり、で。」

俺は少なからずショックを受けた。
不良? この俺が? 

…そういえば、ずいぶんと昔に思えるのだけれども、
高校一年の時に、そう言われたような……。

佐伯民子、忘れられない名前だ。
この女のせいで、俺の高校生活は最低のものに変わった。

ガリガリ姿の、孝夫。
名字は、覚えちゃいない。

何となく気になる奴で、友だちになりたくて、ちょっとからかっていた。


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