昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (二十八)

2013-02-08 22:34:57 | 小説

(二十八)

駐車場は満杯の状態だったが、幸いにも一台の車が目の前で発進した。

幸運に感謝しながら、
「日頃の行いがいいからすぐに止められたよーん。」
と、軽口を叩いて止めた。

「何を言ってるの、二人の乙女のおかげよ。」

事務員さんの言葉の後に、真理子ちゃんも
「そうそう。」と、応じた。
少し打ち解けてきたようで、嬉しくなった。

プラネタリウムの中では、事務員さんが気を利かせてくれた。
真理子ちゃんを中央にして、俺を隣り合わせにしてくれたのだ。

気恥ずかしさが少し残ってはいたが意を決して話しかけた。
「俺の運転、恐かった?」

真理子ちゃんは何も答えてくれなかった。
薄暗い灯りの下で、じっと俯いている。



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