昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

鼠小僧次郎吉 ~さると猿回し~ 二十九

2010-09-13 21:15:32 | 小説
次郎吉の普段の生活は、
おとなしいものであった。

好きな博打にしても、
決して大勝負はしなかった。
そして、
殆ど負けている。

たまに勝てた時に、
吉原で遊ぶくらいのものだ。

それにしても大勝負や、
豪遊することをためらうのは、
何故か?

表稼業として、
細々と小間物屋を営んでいる次郎吉である。
ふんだんに一両小判を使うわけにはいかない。

急に金回りが良くなったと思われては、
後々困るのである。

博打場にしても一ヶ所に限定せず、
あちこちと場所を変えて目立たぬようにしていた。
用心深さは、
人一倍だった。

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