昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

鼠小僧次郎吉 ~さると猿回し~ 三十

2010-09-15 21:10:31 | 小説
しかし最近の次郎吉はおかしい。
昨日も、今日もと、
ここ数週間博打場への出入りが激しい。

そして、
毎晩のように
「勝ったから、
負けたから」と、
酒を浴びるように飲んだ。
そして、
吉原にくり出す。

あれ程に、
隠れるように生きてきた次郎吉の、
この変身ぶりは周りを驚かせた。

次郎吉にしてみれば、
チビチビと遊ぶ、
物足りなさ。

世間からの、
「義賊!」
との賞賛の声。

身に覚えのない事が、
「ねずみ小僧さまのおかげです。」
との賞賛の声。

まるで、
自分以外にねずみ小僧がいるような錯覚。

そしていつかは捕縛されるのでは、
という不安。

「俺は、
義賊じゃネェ!
大泥棒の悪党だあ。」

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