(二十二)
緊張の糸がピント張ったまま「よーし、行くぞ!」と、グンとアクセルを踏み込んだ。
この車にしては、順調に滑り出した。
期待通りにスピードが乗ってきた。
なのに、冷たい言葉が聞こえてきた。
「遅いわネェ、もっと出ないの!」
「そんなご無体な! これ以上エンジンを回したら、壊れちゃうよ。」
どういう訳か、事務員とはスムーズに会話ができる。
異性という意識がないせいだろうか?
それとも、視線が合っていない為だろうか?
信号待ちに入ったところで、意を決して真理子ちゃんに声をかけてみた。
「真理子ちゃん、どこか行きたい所ある?」
「どうしたの、声が裏返ってるわよ、フフフ。
そうそう、ドライブウェイに乗って。
私、プラネタリウムに行ってみたいから。」
と、事務員の声が。
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