昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

昭和の恋の物語り (二十二)

2013-02-02 14:11:07 | 小説

(二十二)

緊張の糸がピント張ったまま「よーし、行くぞ!」と、グンとアクセルを踏み込んだ。
この車にしては、順調に滑り出した。

期待通りにスピードが乗ってきた。
なのに、冷たい言葉が聞こえてきた。

「遅いわネェ、もっと出ないの!」
「そんなご無体な! これ以上エンジンを回したら、壊れちゃうよ。」

どういう訳か、事務員とはスムーズに会話ができる。

異性という意識がないせいだろうか?
それとも、視線が合っていない為だろうか? 

信号待ちに入ったところで、意を決して真理子ちゃんに声をかけてみた。

「真理子ちゃん、どこか行きたい所ある?」
「どうしたの、声が裏返ってるわよ、フフフ。

そうそう、ドライブウェイに乗って。
私、プラネタリウムに行ってみたいから。」
と、事務員の声が。


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