昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

「祭りの夜(改)」 二十五

2013-07-18 21:58:19 | 小説
(二十五)

「さとしちゃーん、さとしちゃーん! 戻ってらっしゃーい!」
 今度は、お母さんの声だった。

ぼく、つい
「はーい。」って、答えちゃった。

そしたら、体がふわーって、浮き始めたんだ。
足に絡んでいたものも、すっと取れた。

で、どんどん浮いていくんだ。
沈んでいった時より、もっと速い速度でさ。

新幹線より速かった。
どんどん速くなって、息もできないくらいなんだ。

でも、ちっとも苦しくなかった。
でね、突然に、ずんと体が重くなって、ふーって息をして目を開けたら、お母さんがいた。

わーわー泣いて、ぼくを何度も何度も叩くお母さんがいた。
でも痛くなかった、嬉しかった。


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