三
二束三文の、どうしても捌けなかったぶつを押し付け、
相手からは売れ筋の商品を、半ば強奪するように積み込んだ。
形の上では、正規の取引である。
先を見誤った、と強弁すれば済むことである。
“本業が芳しくないので、畑違いの商品を取り扱った。”
そう弁解すれば良いのだから、と強引に押し切った。
結局のところ、眼前に積み上げられた現金に目が眩んでしまったのだ。
月末にやってくる給料の原資に窮し、法外な利息の街金に手を出してしまった。
為に利益の大半を、その街金に吸い上げられていた。
この店とは富士商会を立ち上げてからの付き合いなのだが、
相手に情けを掛けるような武蔵ではない。
相手を殺してでも、己が生き延びることを優先させた。
もっとも、そうやってかき集めた商品を抱え込みすぎたが為に、
富士商会自身も苦しむことになってしまった。
四
結局はその店も、ひと月と保たずに倒れてしまった。
武蔵が渡した壱拾萬という金員も、従業員の手には渡らなかった。
街金に怒鳴り込まれて、残金の壱拾萬が入るからと、つい差し出してしまった。
ところが、さ程の抵抗もせずに差し出したが為に、怪しまれてしまった。
「社長!隠し金は、やめてよ。
俺ら、すぐに見つけるからね。
もし後で出てきたら、そん時は容赦しないよ。
腕の一本や二本、ね?分かるよね。」
結局、夜逃げしてしまった。
そして残金については、武蔵の手から従業員達に配られた。
「社長に聞きました、“富士商会さんから貰え”って。
街金に渡されたら、俺達に回ってこない。
助けてください。」と、涙ながらに訴えてきた。
しかし武蔵は、すんなりとは話に乗らなかった。
二束三文の、どうしても捌けなかったぶつを押し付け、
相手からは売れ筋の商品を、半ば強奪するように積み込んだ。
形の上では、正規の取引である。
先を見誤った、と強弁すれば済むことである。
“本業が芳しくないので、畑違いの商品を取り扱った。”
そう弁解すれば良いのだから、と強引に押し切った。
結局のところ、眼前に積み上げられた現金に目が眩んでしまったのだ。
月末にやってくる給料の原資に窮し、法外な利息の街金に手を出してしまった。
為に利益の大半を、その街金に吸い上げられていた。
この店とは富士商会を立ち上げてからの付き合いなのだが、
相手に情けを掛けるような武蔵ではない。
相手を殺してでも、己が生き延びることを優先させた。
もっとも、そうやってかき集めた商品を抱え込みすぎたが為に、
富士商会自身も苦しむことになってしまった。
四
結局はその店も、ひと月と保たずに倒れてしまった。
武蔵が渡した壱拾萬という金員も、従業員の手には渡らなかった。
街金に怒鳴り込まれて、残金の壱拾萬が入るからと、つい差し出してしまった。
ところが、さ程の抵抗もせずに差し出したが為に、怪しまれてしまった。
「社長!隠し金は、やめてよ。
俺ら、すぐに見つけるからね。
もし後で出てきたら、そん時は容赦しないよ。
腕の一本や二本、ね?分かるよね。」
結局、夜逃げしてしまった。
そして残金については、武蔵の手から従業員達に配られた。
「社長に聞きました、“富士商会さんから貰え”って。
街金に渡されたら、俺達に回ってこない。
助けてください。」と、涙ながらに訴えてきた。
しかし武蔵は、すんなりとは話に乗らなかった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます