昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第三弾:【ある時の彼女】 (十一)

2010-06-01 23:35:02 | 小説
(生の感情)

自分の行動が何ものにも反映しないし、
反発もない。
無論、
強制も圧迫もない。
のんべんだらり、
惰性だった。

彼女は新しい感動に触れた。
ようやく、
自由と責任の本質を掴んだような気がした。

そして、
今になってしか掴め得なかった自分を、
情けなく又悲しくも思えた。

彼女は、
飛び上がりたい衝動にかられた。
この時ほど、
人間対人間の真の接点を知り、
且つ又喜んだことはない。

肉親にさえ、
夫にさえ、
感じなかった感情を、
名も知らぬ赤の他人の、
この通りすがりの子どもに感じたのだ。

初めて、
人間の生の感情を知り、
感銘を受けた。

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