24日(金)。昨夕、錦糸町のすみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル室内楽シリーズを聴いてきました 開演は7時15分ですが,7時から第2ヴァイオリンの篠原英和が「プレトーク」でブラームスの人や曲について解説します
原稿なしで15分間,淀みなく流暢に話します.毎回,この人の才能には本当にびっくりします.実によく音楽の歴史(作曲者を取り巻く人の名前,年代など)を知っています
プログラムは①ヴィラ・ロボス「ショーロ第4番」、②イベール「トリオのための5つの小品」、③ブラームス「ピアノ五重奏曲」です
ヴィラ・ロボスはブラジルの作曲家.「ショーロ第4番」はトロンボーン1とホルン3により演奏される曲です.ショーロというのはボサノバなどの基になった形式とのこと.ホルンの井出,金子,藤田(紅一点)とトロンボーンの箱山が,まるでミステリー番組のテーマ音楽のような曲を豊かに奏でました
イベールは生粋のパリジャン.「トリオのための5つの小品」はオーボエ、クラリネット、ファゴットのための曲です.オーボエの浅間信慶,クラリネットの澤村康恵,ファゴットの坪井隆明はエスプリに満ちた曲想を楽しんで演奏していました 坪井がファゴットを吹くたびに,眉毛を上下させていたのが何ともユーモラスに感じました
気を良くした3人はモーツアルトのディヴェルティメントの「ロンド」をアンコールに演奏しましたが,これが素晴らしく「こういう演奏できるんだったら,モーツアルトをメインに演奏してくれないかなぁ
」と思ったほどです.
休憩後はいよいよ真打登場です.ブラームスの「ピアノ五重奏曲へ短調」はヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、ピアノのための曲です 第1ヴァイオリンは新日本フィルのソロ・コンサートマスター豊嶋泰嗣、第2ヴァイオリンは田村直貴,ヴィオラは篠崎友美,チェロは弘田徹,ピアノは田村響というメンバーです.2人の田村は兄弟とのことですが,2007年ロン・ティボー国際コンクール優勝の田村響の方が弟です
第1楽章から豊嶋泰嗣のリードによって見事なアンサンブルが展開されますが,この曲の聴きどころは後半の2つの楽章です 第3楽章スケルツォはピアノと弦楽器との掛け合いが素晴らしく「ほとばしる情熱」を感じさせる演奏です
第4楽章フィナーレは「うねるような情念」を感じさせる力強い演奏です
やっぱり豊嶋泰嗣の存在感は圧倒的です.彼が第1ヴァイオリン席に座っているだけで安心感・信頼感があります
終演後は満場の拍手が鳴り止みません 4回目のカーテンコールで,ピアノの田村響がニコニコしながらチェロと弓を手に持って登場しました.聴衆は???
一方,チェロの弘田は,刀を盗まれた武士のように”茫然自失”の状態で,顔が引きつっているように見えました
田村,おぬしもワルよのう
閑話休題
今日24日はモーツアルトの「ピアノ協奏曲第26番”戴冠式”K.537」が完成した日です 1788年2月24日のことでした。”戴冠式”と呼ばれているのは、レオポルト2世の戴冠式の祝典期間中の1790年10月15日に催されたモーツアルトの演奏会で演奏されたことによると言われています
全体的に明るく,弾むような曲想です
お薦めCDはロベール・カサドシュのピアノ,ジョージ・セル指揮コロンビア交響楽団による演奏です.気品のある引き締まった演奏です
【追伸】
新しいパソコンが届いたので,本日セッティングをします.無事に完了すれば,明日からこのブログも新しいパソコンで打つことになります