19日(日).昨日午後2時から,初台の新国立劇場(中劇場)でオペラ「沈黙」を観ました 遠藤周作原作による神の存在を問う不朽の名作「沈黙」に基づくオペラで,松村禎三の台本と作曲によるものです 演出は新国立劇場の演劇芸術監督の宮田慶子が担当しました。下野竜也指揮東京交響楽団がバックを務めました.日本人によるオペラなので、歌手はオール日本人キャストです.ダブル・キャスト方式で,この日はロドリゴに小原啓楼,フェレイラに与那城敬,ヴァリニャーノに大沼徹,キチジローに枡貴志,モテキに鈴木准,オハルに石橋栄実,おまつに増田弥生という面々でした が,私は与那城敬の名前を知っているに過ぎません
ホワイエにはこのオペラの舞台になった長崎の写真が多く飾られ「長崎から世界遺産を」のキャッチフレーズが踊ります 「踏み絵」のレプリカも展示されていました.このオペラの背景を知ってもらおうとする新国立劇場が長崎県に持ちかけた企画でしょう
第1幕65分、休憩25分、第2幕75分、計2時間45分のオペラですが、4時までに出社しなければならないので、残念ながら第1幕だけしか観られません.自席は1階16列33番と,大劇場とほぼ同じ位置の通路側です 第1幕の概要は以下の通りです.
ポルトガルの若き宣教師ロドリゴは恩師フェレイラの安否を確認するため来日し,キリスト教の布教に努めます.村人達と平和なひと時を過ごしているとき,4人の村人が役人に捕らえられ,踏み絵を踏めなかった3人が海中に磔にされます.ロドリゴは信仰によって村人を救えなかった自分に悩みます.そして踏み絵を踏んだキチジローの密告により役人に捕らえられます
舞台には傾いた大きな十字架が配置され,このオペラのテーマを象徴するかのような存在感を示しています.ロドリゴ役の小原啓楼は張りのあるテノールで若き宣教師を歌い上げていました オハル役の石橋栄実は美しい声で許婚の死を悼むアリアを切々と歌いました 日本のオペラはやっぱり日本人が歌うのが一番ということを証明してくれました
「これから25分間の休憩に入ります」のアナウンスとともに,後ろ髪を引かれる思いでオペラパレスを後にしました
この日、午後6時15分から中東某国のB副首相兼国防相が10階ホールで記者会見するため、3時45分に1階防災センターに詰めました 主役が世界的に名高いVIP(命を狙われやすい、という意味)のため、事前のチェックと警備が厳しく、当ビルにどのように入館するのかさえ直前まで伏せられました 会見に先立って4時10分頃から、某国側の警備陣4人(日本人大使館員1名を含む)が同時通訳室、放送室、調整室,電気室,スプリンクラー室,エレベーター機械室など,すべての部屋をチェックするのに立ち合いました。当方は防災センター隊長,ビルメンテナンス担当者2名と私の4人が付きました.
各部屋の鍵を開け,誰かが潜んでいないか、爆発物が仕掛けられていないか等を念密に調べ、チェックを終えると鍵を施錠したドアに10桁位の番号が振られた赤いシールで封印していきました 当方としては、排煙口を開けられると空調が停止してしまうので、それだけは阻止すべく対応しました。驚いたのは塔屋まで登って天井裏まで見に行ったことです.「そこまでやるか」という感じです.結局当該フロアだけで約50分かかりました.チェックが終わると某国側の責任者が握手を求めてきました.”ご協力に感謝”ということでしょう.こんな厳しい事前チェックは初めての経験でした
一行は車3台で来るという情報だったので,そのつもりで手配していたのですが,実際に来たのは4台でした.トラブルがあると困るので,すぐに駐車場管理人に駐車許可を伝えました.一行が着いたのは時間ぎりぎりでした
私は防災センターに隊長ら4人とともに詰め,記者会見場,同ロビー,1階正面玄関,玄関ホール,駐車場などが刻々と切り替わるモニター画面を見て,会見を取り巻く全体状況をチェックしていました
午後6時15分から始まった記者会見は予定時間を30分以上超過し7時50分頃やっと終わり,一行は無事に退館しました.何事もなく終了してホッとしました 記者クラブスタッフの皆さん,会場のセッティングをした清掃の皆さん,防災センターの皆さん,ビルメンテナンスの皆さん,お疲れ様でした (記者会見の模様は今日の朝日朝刊国際面に載っています)
それにつけても,オペラの後半が観られなかったのが心残りです 誰かが補償してくれるわけでもありませんし・・・・・・残念ながら「沈黙」あるのみです