人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッハ・コレギウム・ジャパン定期演奏会を聴く~今年度最後の演奏会から

2012年02月10日 06時45分20秒 | 日記

10日(金).昨夕,初台の東京オペラシティ・コンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の定期演奏会を聴いてきました 月曜日からの4日間,1日おいて3日連続で同じ会場で聴くのは初めてです。このコンサートはBCJのバッハの教会カンタータ・シリーズ第62回目で,ライプチッヒ時代1730~40年代のカンタータを取り上げます

プログラムは①ファンタジアとフーガ・ト短調BWV542,②私はあなたに叫び求めます,主イエス・キリストよBWV639(以上,パイプオルガン独奏),③カンタータ「わがなす すべての営みにおいて」BWV97,④同「救いは我らに来たれり」BWV9,⑤同「私はあなたに叫び求めます,主イエス・キリストよ」BWV177です.

ソリスト陣はソプラノ=ハナ・ブラシコヴァ、カウンターテナー=ロビン・ブレイズ、テノール=ゲルト・テュルク、バス=ペーター・コーイといったBCJのレギュラー・メンバーです

最初に「ファンタジアとフーガ・ト短調BWV542」と「私はあなたに叫び求めます,イエス・キリストよBWV639」が鈴木優人のパイプオルガン独奏で演奏されました パイプオルガンの音を目を瞑って聴いていると,まるで教会にいるようで,にわかクリスチャンになって敬虔な気持ちになります.不思議な時間と空間です

カンタータ第97番ではコンマス若松夏美のヴァイオリン,三宮正満のオーボエの伴奏をバックに歌手陣が歌いますが,いつ聴いても若松,三宮の演奏はほれぼれするほど素晴らしいものがあります

カンタータ第9番では若松のヴァイオリン,三宮のオーボエ・ダモーレ,管きよみのフラウト・トラヴェルソの伴奏がソリストを支えます.BCJは一人一人がプロ中のプロの古楽器演奏集団であることを見事に証明します

カンタータ第177番では三宮がオーボエ・ダ・カッチャ(長いオーボエをL字形に折ったような形の楽器)に持ち替え,鈴木秀美のチェロ,オルガンの今井奈緒子とともにソプラノのブラシコヴァを盛り立てます.また,若松のヴァイオリン,鈴木のチェロ,村上由紀子のファゴットがテノールのテュルクを支えます.今回の演奏で”BCJに村上由紀子あり”ということを強く印象付けたと思います.正真正銘の”木製の木管楽器”による素晴らしい演奏でした 楽器の名前は”ファゴット”ですが,忘れられない演奏です

何と言ってもソリストを含め12人の合唱の素晴らしさを何と表現すれば良いのでしょう

演奏後,指揮の鈴木雅明がマイクを持って登場,あいさつをしました.

「今回の演奏が今年度最後の演奏会となった.昨年は大震災で大変不幸な年だった BCJは震災の被災者救援のため募金活動等に取り組んできた.これからも続けるつもりなのでご協力をお願いしたい.我われがこれから何が出来るかを考え,2つのことを実行することとした.一つは3月23日に被災者のためのチャリティ・コンサートを開く.もう一つは3月にチャリティCDを発売する.タイトルは「バッハ・フォー・ジャパン」である この17年間にわたって取り組んできたカンタータ等の中から選曲してアルバムを作成した.こちらへもご理解とご協力をお願いしたい」

「話は変わるが,つい先ほど,バッハ演奏の先駆け的存在で,バッハの権威グスタフ・レオンハルト氏の葬儀が営まれた そこで流されたバッハの曲をアンコールとして演奏したい.故人と,このたびの大震災で犠牲になられた人たちを偲ぶとともに,明日への希望を託して演奏したい 曲は”ヨハネ受難曲”の第40曲最終コラールである」

そしてヨハネのコラールを演奏しました 静かな拍手がだんだん大きくなっていきました

思い起こせば今年度最初にはほぼ満席に近かった観客は,この日7割程度の入りに止まっていました 聴きに行くたびに観客が減っていくのを見て寂しい思いをしました.4月からの新年度はより多くの人が定期会員になって,最後までバッハの素晴らしい音楽に生で接することを期待したいと思います

               

   閑話休題  

 今日2月10日はモーツアルトの「ピアノ協奏曲第20番二短調K.466」が完成した日です 1785年2月10日、ウィーンで完成し翌日初演されました。全27曲のピアノ協奏曲のうち、短調の曲はこのK.466と第24番ハ短調K.491の2曲のみです。先人はこの曲の魅力を「デモ―ニシュ(悪魔的)」と表現しました。モーツアルトならではの短調の魅力に溢れる名曲です。ミロス・フォアマンの映画「アマデウス」のエンディングで、この曲の第2楽章「ロマンッェ」が淡々と流れていました

この曲のお薦めCDは、クララ・ハスキルのピアノ、イーゴリ・マルケヴィッチ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団による1960年の演奏です。K.491とのカップリングで,ハスキルの死の1ヶ月前に録音されたものです.私はこれ以上の演奏を知りません.デモーニッシュな演奏です

                    

コメント
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