人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」が流れる~映画「キリマンジャロの雪」を観る

2013年01月08日 07時00分40秒 | 日記

8日(火)。昨日は仕事始めでした。当社恒例の社員だけの新年昼食会が記者クラブで開かれ、和食をいただきながら歓談しました

昨日の朝日朝刊に「”木枠が奏でるリアルな森の音 アプリ介し生中継」という記事が載りました 記事によると、

「JVCケンウッドは今春から、季節や天候で移り変わる”森の音”をリアルタイムで聞くことのできるサービスを始める。岐阜県高山市と宮崎県諸塚村の山中に仕掛けたマイクで拾った音が、木製スピーカーから直接流れる仕組み スピーカーはさいころ状の木枠で、栗の木を使い木工職人が一つずつ手作りした。森の音はインターネットで24時間配信される 利用者はスマートフォンなどに専用アプリをダウンロードし、無線通信でスピーカーに送り、楽しむ。アプリの利用には毎月の利用料が必要になる

とあります。これはグッド・アイデアだと思います 精神の安定のためにはいいツールです ということで、スピーカーの値段を確かめると、1辺31センチの大型が30万円、13.6センチの小型が6万円前後とのこと。きっぱり諦めました やっぱり、私は音楽を聴いていた方が幸せです

 

  閑話休題  

 

飯田橋のギンレイホールで映画「キリマンジャロの雪」を観ました 2011年、ロベール・ゲディギャン監督のフランス映画です

ミシェル(ジャン=ピエール・ダルッサン)とマリ・クレール(アリアンヌ・アスカリッド)は港町マルセイユに住む結婚30周年を迎える熟年夫婦です 夫のミシェルは労働組合の委員長として労働条件の改善に尽力してきました 一方、妻のマリ・クレールは正義感の強い夫を支えてきました。子供たち、孫たちに囲まれ幸せな毎日を過ごしていた二人ですが、ミシェルがくじ引きで職を失い、さらに、息子たちが結婚30周年のお祝いにプレゼントしてくれたアフリカ行きの航空券と現金が強盗にあって持ち去られてしまいます 犯人はミシェルと一緒にくじで職を失った同僚の青年だったのです。ミシェルは警察に通報し、青年は逮捕されますが、青年には幼い弟二人がいて、父親はかってに出ていき、母親は滅多に家に帰ってこない複雑な家庭だったのです 青年は借金の返済のため、仲間にかどわかされて犯行に及んだのです。それを知ったミシェルとマリ・クレールは、青年が牢獄から出てくるまで弟たちの面倒をみることを決意します

この映画は、厳しい状況に置かれても人を思いやることの大切さを描いたヒューマンドラマですが、さて、強盗に入った犯人の家族を引き取って育てるなんて本当に出来るのでしょうか とりわけ、今の世知辛い日本に当てはめてみてどうでしょうか

この作品はヴィクトル・ユゴーの長編詩「哀れな人々」から着想されたとのことです また、「キリマンジャロの雪」というタイトルは、ヘミングウェイの短編小説からとられたとのことですが、フランスで大ヒットしたシャンソンのタイトルにもなっているそうです

さて、映画を観ていていつも気になるのは音楽です。ミシェルとマリ・クレールがチラシ情報紙を配る時に、聴き覚えのあるメロディーが流れてきました 優しさに満ちていて、ちょっぴり哀しみを帯びた旋律・・・・ドビュッシーか?・・・・違う・・・・ラヴェルか?・・・・「ダフニスとクロエ」か?・・・・いや、違う・・・・分かった ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」だ

この曲は、後のシーンでも何度か流れてきて、この映画のテーマミュージックのように使われていますこの曲はラヴェルがまだパリ音楽院に在学中の1899年に作曲されたピアノ曲を、11年後の1910年にオーケストレーションしたものです 「パヴァーヌ」というのは、16世紀の初期に宮廷で流行した舞曲で、Pavoというのはラテン語で「孔雀」という意味を持ち、この踊りはあたかも孔雀のように高雅に、しかも威厳を持って踊られます 一方「亡き王女」についてラヴェルは「単なる修辞句に過ぎない」と言っています。

この映画で「亡き王女のためのパヴァーヌ」が使われたのは、曲の持つ意味よりも、優しくも哀しいメロディーの美しさで選んだのだと思います。この映画にぴったりの選曲だと思います

 

          

 

コメント
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