30日(火).昨日は昼間,晴れ間も見えましたが,史上初のUターン迷走台風10号の『嵐の前の静けさ』だったようですね ということで,フィーリックスのゴミ箱の前で「これはゴミ箱ではなくて,護美箱です」と主張している,わが家に来てから702日目を迎えたモコタロです
もっとも ぼくの場合 ゴミ箱は関係ないけどね フンはあちこち したい放題だし
閑話休題
昨日,夕食に「大根と豚ひき肉の煮物」と「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました 自分で言うのも何ですが美味しいです
も一度,閑話休題
昨夕,東京文化会館大ホールで「アジアユースオーケストラ東京公演2016」第1日目を聴きました 私がアジアユースオーケストラ(AYO)を聴くのは2012年(サントリーホール),2013年(東京オペラシティ),2014年(東京芸術劇場),2015年(東京オペラシティ)に次いで5回目です
プログラムは①ドヴォルザーク「交響曲第8番ト長調」,②チャイコフスキー「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」です
指揮はAYO首席指揮者ジェームズ・ジャッドです.アジアユースオーケストラはアジア各国で厳しいオーディションを通過した110名の若いメンバーから成る臨時編成のオーケストラです
AYOのメンバーは香港での3週間のリハーサル・キャンプに続き,8月5日からコンサート・ツアーに出て,香港,天津,北京,上海,シンガポール,ハノイ,台北,名古屋,綾瀬を巡って今回の29,30日の東京公演が最後のコンサートとなります
気まぐれ巨大台風が関東地方に接近中という危機的状況にも関わらず,若者たちの熱演を聴くために多くの聴衆が集まりました 自席は1階18列8番,左ブロックの真ん中辺りです.若い演奏家たちがステージに登場し,配置に着きます
弦楽器の態勢は左奥にコントラバス,前に第1ヴァイオリン,右にチェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置を採ります.コンマスは女性,つまりコンミスです
ビートルズのポール・マッカートニーがタクトを持って,もとい,ジェームズ・ジャッドがタクトを持って颯爽と登場します (だって,似てるんだもん.このネタ,毎年使っているような気がする
) 彼はビートルズと同じ英国生まれで,現在ニュージーランド交響楽団の音楽監督を務めています
さっそく1曲目のドヴォルザーク「交響曲第8番」の演奏に入ります 第1楽章で管楽器が出て来た時,いつもプロのオケで聴いているのと音色が違うと感じました
”軽い”と感じました.同じ曲なのに音色が違うということはどういうことなのか? プロとアマの所有する楽器の値段の違いなのか,あるいは私の聴覚が狂っているのか
(人間ドックで高音が聴こえにくいと言われているし・・・) よく分かりません.また,演奏も 管楽器と弦楽器のバランスがちょっと崩れているような気がしました
この曲ではフルートが全楽章を通じて活躍しますが,この曲における女性奏者の演奏は素晴らしいの一言です
第2楽章「アダージョ」が始まってすぐ,一人の若者が左側の通路を速足で前の席に移ろうとしました.かと思ったら,もっと中央に行きたくなったらしく,速足で後ろに戻ったと思ったら,今度は中央通路を速足で前の席に移りました 赤いシャツを着てリュックを背負っているのですごく目立ちます
これ,演奏中ですよ,奥さん
国籍は不明ですが,もし日本人だったら日本の恥です
演奏中に席を移動するなんて,考える必要がないほど当たり前の非常識です
当事者は若者でしたが,振り仮名は「ばかもの」です
さすがに在京オケのコンサートではこのような唯我独尊,厚顔無恥・反省皆無のバカ者は見かけません
さて第3楽章はこの曲の聴かせどころです ジャッドは美しいメロディーを抑制気味に歌わせ,この曲の魅力を引き出しました
そして,間を置かず第4楽章に入ります.この楽章に至って,管楽器と弦楽器のアンサンブルがピッタリ揃ってきたように思います
休憩後はチャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴”」です 第1楽章は冒頭コントラバスに導かれてファゴットが,この世の終わりみたいな悲痛なメロディーを奏でます
しばらくするとクラリネットの独奏が聴こえますが,哀愁に満ちた演奏が素晴らしかったです
そして第3楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」に入ります.総合タイトルが”悲愴”なのに,なぜチャイコフスキーはこのような賑やかな曲を書いたのか分かりませんが,第4楽章「アダージョ・ラメントーソ」を際立たせるために敢えて真逆の曲想を持ってきたのかも知れません
この「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の演奏中,すぐ前の夫婦らしきカップルが,演奏を聴きながら「これいいね
」「ノリノリね
」と言いたげにお互いに顔を見合わせて,さかんに頭でリズムを取っているのです
ひょっとすると,彼らの子息がステージ上で演奏しているのかも知れないと思いました
「このカップル,ヘタをすると第3楽章が終わるや否や,盛大に拍手をするのではないか
」と心配しましたが,ジャッドはイタズラに長く指揮者をやっていません.第3楽章が終わっても しばしタクトを下しませんでした
これで曲の途中での拍手は避けられました
ジャッドは おもむろに第4楽章「ラメントーソ・アンダンテ」に入ります この楽章におけるオケ,特に弦楽器群は渾身の演奏を展開しました
「もう立ち上がれない」ほどの”悲愴”の世界を表出したと言っても良いでしょう
フィナーレは音が静かに消えていきますが,ジャッドがタクトを下しても会場からは拍手が起こりません ジャッドがオケに一礼し脱力して初めて会場から拍手とブラボーがステージに押し寄せました
私が口火を切って拍手をしても良かったかも知れません.アフター・フェスティバル(後の祭り)ですが
例年だと,コンサートの後に芸術監督のリチャード・パンチャスが出てきて,オケのメンバーを国別に紹介するのですが,今回はそのパフォーマンスがありませんでした 多分,2日目の今日,パンチャスが指揮するコンサートの最後にやってくれるのでしょう
この東京公演が最後のコンサートということで,コンミスをはじめ女性奏者を中心に,ほとんどの若者が涙目になっていました 若いって素晴らしいですね