人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

さまよえるニキティン ⇒ オランダ船から降板 ~ 新国立オペラでワーグナー「さまよえるオランダ人」初日公演を聴く / 東京藝大「奏楽堂」改修でネーミングライツ・寄付募る

2025年01月20日 00時01分03秒 | 日記

20日(月)。昨日の朝日朝刊文化欄に「芸大『奏楽堂』改修  ネーミングライツ・寄付募る」という見出しの記事が載っていました 概要は以下の通りです

「東京藝大は、音楽学部構内に所有するコンサートホール『奏楽堂』の大規模改修(2028年度開始予定)を控え、財源確保のためネーミングライツパートナー、および寄付の募集を実施している。1998年竣工の施設・設備の老朽化が著しく、予算は20億~30億円を見込むが、『国の補助金だけではとうてい賄えない。どこまで改修できるかは、自己資金をどれだけ集められるかにかかっている』という」

東京藝大「奏楽堂」では毎年のように「藝大オペラ」を中心に藝大主催公演を聴いてきました 今年の「東京・春・音楽祭」では4月5日(土)に開催される「ザ・プロコフィエフ ~ 加藤昌則と石田泰尚による」の公演会場として使用されます

「ネーミングライツ」で思い出すのは渋谷区宇田川町の「渋谷公会堂」(1964年開業)です    施設老朽化のため 2005年に改修工事が行われましたが、渋谷区は新たな収入源を確保するため、ネーミングライツ(命名権)を電通に売却しました この権利は電通を通じてサントリーが取得(5年契約)、炭酸飲料の商品名を冠して「渋谷C.C.Lemonホール」と命名しました

命名権を取得するのはどこでも良いけど、芸術大学の音楽ホールなので、それに相応しいホール名にしてほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3660日目を迎え、米ワシントンで18日、共和党のトランプ次期大統領の就任に反対する市民による抗議集会が開かれたが、民主党支持者の間では、バイデン政権が進めてきた気候変動対策や多様性の推進が後退するとの懸念が広がっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     どんな悲惨なことが起ころうが 非科学的なトランプを大統領に選んだのは米国民だ

         

昨日、新国立劇場「オペラパレス」でワーグナー「さまよえるオランダ人」を聴きました キャストは、オランダ人=エフゲニー・ニキティン、ダーラント=松位浩、ゼンタ=エリザベート・ストリッド、エリック=ジョナサン・ストートン、マリー=金子美香、舵手=伊藤達人。管弦楽=東京交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=マルク・アルブレヒト、演出=マティアス・フォン・シュテークマンと発表されていました

     

私が新国立オペラ「さまよえるオランダ人」を聴くのは2007年、2012年、2015年、2022年に次いで、今回が5回目です 演出はいずれもマティアス・フォン・シュテークマンです

今回指揮をとるマルク・アルブレヒトはウィーンで学び、ウィーンとハンブルクでコレペティティトゥールを務め、マーラー・ユーゲント管弦楽団でアバドのアシスタントを務める ザクセン州立歌劇場カぺルマイスターを経て、95年ダルムシュタット歌劇場音楽監督に就任 2006~11年ストラスブール・フィル芸術監督兼首席指揮者、11~20年オランダ国立オペラ及びネーデルランド・フィル首席指揮者を務める

演出のマティアス・フォン・シュテークマンはミュンヘン生まれ。テレビや映画の翻訳、台本、演出家、俳優として活動を開始 1991年よりバイロイト音楽祭に参加し、以来第1演出助手を務める

     

歌劇「さまよえるオランダ人」はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1841年に作曲、1843年にドレスデンで初演されました

悪魔の呪いを受けて永遠に海をさまようオランダ人船長は、7年に一度だけ上陸が許され、永遠の愛を捧げる乙女に出会った時、呪いから解かれる運命にあった 彼はノルウェー船船長のダーラントと出会い、娘のゼンタに求婚する 宿命的な出会いを感じたゼンタは、永遠の貞節をオランダ人に誓う ゼンタを愛するエリックは彼女の心変わりを責め、それを聞いたオランダ人は絶望し出航を命じる ゼンタは彼を追って海中に身を投げ、彼女の永遠の愛によりオランダ人は呪いから救われる

     

開演時間の14時に舞台袖から劇場関係者がマイクを持って登場しました 私は、嫌な予感がしました

「本日、オランダ人役で出演予定のエフゲニー・ニキティン氏は急な体調不良により降板いたします。衣装を着けて本番直前まで準備していましたが、『体調が悪く、今日は歌えない』とのことでした。代わって同役のカバー歌手・河野鉄平が代役を務めます。衣装やメイクの時間の関係で、開演時間を20分遅らせていただきます。皆さまのご理解をお願いいたします

正真正銘の本番直前のドタキャンに唖然としました 初日公演(プルミエ)会員が負うべきリスクか しかし、どんなに騒いでも事態は変わりません 時間が余ってしまったのでプログラム冊子掲載の過去の新国立オペラ「さまよえるオランダ人」の公演記録を見ていたら、河野鉄平氏は前回=2022年1月の公演でオランダ人役で出演していることが分かりました そういえば、同公演は新型コロナ禍で海外の歌手が来日できない中、すべての歌手が日本人だったな、と思い出しました その意味では、まったく歌えないわけではないし、演出も3年前と同じなので、何とかなるのではないか、と思い直しました

下の写真は休憩時間に掲示された告知です

     

マルク・アルブレヒトの指揮で「序曲」の演奏に入ります 弦楽器のトレモロに導かれてホルンが勇壮に咆哮します この「序曲」の演奏が素晴らしく、ダイナミックで聴きごたえがありました

ダーラント役の松位浩は大阪音楽大学・同大学院修了、ベルリン芸術大学で研鑽を積んだバスです 1996年にドイツ・ザールラント州立劇場ザールブリュッケンの首席バスとして迎えられ、終身雇用契約を結ぶ 商魂逞しい船長であるとともに、娘ゼンタの幸せを願う父親をコミカルに歌い演じ、存在感を示しました

ゼンタ役のエリザベート・ストリッドはスウェーデン出身のソプラノです ストックホルム大学で研鑽を積む。ワーグナー、リヒャルト・シュトラウスで高い評価を受け、世界中のオペラハウスで活躍する 第2幕における「ゼンタのバラード」をはじめ、美しくも強靭な歌唱で聴衆を魅了しました

エリック役のジョナサン・ストートンは2020/21シーズンからマンハイム国民劇場専属歌手を務めるイギリス出身のヘルデン・テノールです 第3幕で歌う「エリックのカヴァティーナ」をはじめ、声が良く通り、輝かしい高音が印象的でした

舵手役の伊藤達人は東京藝大・同大学院修了のテノールです 新国立劇場オペラ研修所第14期修了。研修生時代から聴いていますが、高音が無理なく伸びて、随分巧くなったものだと感心しました 研修生が本番のオペラ公演で活躍するのを見るのは嬉しいものです

オランダ人役の河野鉄平(エフゲニー・ニキティンの代役)はクリーヴランド音楽院大学卒業、同大学院修了のバス・バリトンです 2003年サンフランシスコオペラ・メローラオペラプログラム参加。同年「フィガロの結婚」フィガロでオペラデビュー 06年シカゴ芸術大学ディプロマコース及びシカゴ・オペラ・シアター研修プログラム修了 アメリカで23年過ごし、帰国後は二期会、新国立劇場などで活躍しています 本公演では急な代役でしたが、全く違和感なく見事に主役の大役を歌い演じました 今回はほとんど ぶっつけ本番で代役を務めたのだと思いますが、「これぞプロフェッショナル」です

特筆すべきは、終始力強いコーラスを聴かせてくれた新国立劇場合唱団のメンバーと、終始 弛緩することなくドラマティックな演奏で歌手陣を盛り立てたマルク・アルブレヒト指揮東京交響楽団です

開演は28分遅れの14時28分、終演は17時20分頃でした

本公演は この後、22日、25日、29日、2月1日と4回ありますが、オランダ人を歌うのはエフゲニー・ニキティンになるのか、河野鉄平になるのか、まったく分かりません これから聴きに行かれる方は事前に新国立劇場のホームページでご確認ください

     

         

今日はすみだトリフォニー小ホールに室内楽を聴きに行きます

     

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