21日(木)。わが家に来てから今日で3600日目を迎え、ロシア政府は20日、「プーチン大統領から北朝鮮の人々への贈り物」として モスクワの動物園からライオンやクマなどの動物70匹超を北朝鮮・平壌の動物園に移送したと発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
北朝鮮がロシアに売り飛ばした数千人の兵士と 70匹の動物は同じ価値ってこと?
昨日、「肉じゃが」「生野菜とアボカドとモッツアレラチーズのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました 昨日は午後4時からオペラだったので、午前中に作り、私は昼食に娘は夕食に食べました 私の夕食はオペラの休憩時間に食べたオニギリ2個とお~いお茶です
昨日午後4時から新国立劇場「オペラパレス」でロッシーニのオペラ「ウィリアム・テル」を観ました 新国立劇場初上演で、日本での原語・舞台上演は今回が初めてとのことです
出演はウィリアム・テル=ゲジム・ミシュケタ、アルノルド・メルクタール=ルネ・バルベラ、マティルド=オルガ・ペレチャッコ、ヴァルテル・フュルスト=須藤慎吾、メルクタール=田中大揮、ジェミ=安井陽子、ジェスレル=妻屋秀和、ロドルフ=村上敏明、リュオディ=山本康寛、ルートルド=成田博之、エドヴィージュ=齊藤純子、狩人=佐藤勝司。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=大野和士、演出・美術・衣裳=ヤニス・コックスです
「ウィリアム・テル」はジョアッキーノ・ロッシーニ(1792-1868)がF.シラーの台本に基づき、1829年パリ・オペラ座で初演した全4幕6場からなるバレエ付きの『グランドオペラ』です
無知な私はイタリア人のロッシーニが作曲したオペラなのでイタリア語で歌われるのかと思っていたら、フランス語によるオペラなのですね プログラム冊子に掲載の早稲田大学名誉教授・丸本隆氏の「グランド・オペラ 生成・発展の歴史」によると、ロッシーニは多くの時期をフランスで過ごし、とくにパリ・オペラ座の制作活動に関りながらフランス・オペラの発展に大きく貢献した」とありました
【あらすじ】
物語の舞台はオーストリア公国の圧政を嘆くスイスの山村。長老メルクタールの息子アルノルドはハプスブルク家の公女マティルドへの恋に悩んでいた 村一番の弓の名手ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)はアルノルドに圧政に抵抗するよう諭す 総監督ジェスレルに反抗した村人を匿ったメルクタールは殺され、マティルドはアルノルドと永遠の別れを交わす 自分に従おうとしないテルとその息子ジェミを捕らえたジェスレルは、息子の頭に載せたリンゴを射ることが出来れば命を助けると告げる テルとジェミたちの運命は、そして、アルノルドとマティルドの愛の行方は如何に
会場は新国立オペラ初上演プロのプルミエ(初日)公演ということでか、少なくとも1階席はほぼ満席です
考えてみれば、前日夜にサントリーホールで東京フィルの定期演奏会を聴いたばかりなのに、その翌日には新国立劇場のオーケストラピットに入っています これは楽団員が日本最大の160人いる東京フィルだからこそ為せる業です ちなみに定期公演のコンマスは近藤薫でオペラは依田真宣と役割分担が出来ています
大野和士の指揮によりチェロの静かなアンサンブルで序曲が開始され、嵐の音楽に続きイングリッシュ・ホルンの長閑な演奏が奏でられ、トランぺットのファンファーレが高らかに鳴り響きます 東京フィル絶好調です
ウィリアム・テル役のゲジム・ミシュケタはアルバニア出身のバリトンです パルマで学び、2006年AsLiCoコンクールで優勝 イタリア、ドイツの著名な歌劇場を中心に活躍しています。新国立オペラでは22年「椿姫」ジェルモンに出演しました 艶のある力強い歌唱で圧倒的な存在感を示しました
アルノルド・メルクタール役のルネ・バルベラはアメリカ出身のテノールです 2011年のオペラリア・コンクール3部門を単独で受賞した実力者です 明るくリリカルな歌唱と力強い高音が魅力で、聴衆の大喝采を浴びました
マティルド役のオルガ・ペレチャッコはサンクトペテルブルク音楽院、ハンス・アイスラー音楽大学などで学ぶ 世界各国の歌劇場で活躍しているソプラノです 新国立オペラでは2017年「ルチア」タイトルロールデビューを果たしました 卓越したヴォイスコントロールにより美しいコロラトゥーラを聴かせてくれました
ジェミ役の安井陽子は桐朋学園大学卒・同大学研究科修了。二期会オペラ研修所マスタークラス修了。ウィーン国立音楽大学研究課程声楽科修了 新国立オペラでは「魔笛」夜の女王、「ホフマン物語」オランピアなど数多くの役柄で出演。安定感のある美しいソプラノです 彼女が登場した時、「あれっ、安井陽子ってこんな小柄だったっけ」と意外に思いました 今回は子役ということなので、その意味ではピッタリなのですが、他の歌手が比較的立派な体格の人が多いから小さく感じたのだろうか
ヴァルテル・フュルスト役の須藤慎吾は国立音楽大学・同大学院修了。第42回日伊声楽コンコルソ第1位 新国立オペラでは数多くの演目に出演しています 力強いバリトンで存在感を示しました
ジェスレル役の妻屋秀和は東京藝大・同大学院修了のバスです 100以上の役柄を歌っており、新国立オペラにはなくてはならない存在です 今回は悪役に徹し、低音の魅力を発揮していました
エドヴィージュ役の齊藤純子は東京藝大・同大学院修了のメゾソプラノです フランス政府給付留学生として渡仏、パリ、ボルドーなどで研鑽を積む 美しいフランス語による歌唱が印象的でした
特筆に値するのは新国立劇場合唱団の力強いコーラス、そして東京フィルの渾身の演奏です
【初日公演のため注:ここからは演出面について触れますので、これからこの公演をご覧になる方で、先入観を排して鑑賞したい方は、読まないことをお薦めします】
第1幕と第2幕で、天井から大きな矢じりの形をしたオブジェが何本か降りてきます ↓ あれは民衆を圧迫するオーストリア公国の象徴であるとともに、第3幕でテルがジェミの頭の上のリンゴを弓で射る「矢」の象徴でもあると思います
第3幕でテルがジェミの頭に乗せたリンゴを弓で射るシーンは個人的なハイライトですが、見事にリンゴが真っ二つに割れて落下します あれはどうやったのだろうか タイマーでもかけて割れるようにしたのだろうか。知りたいです
さて、このオペラは「グランドオペラ」なので、各幕でバレエが踊られますが、ダンサーたちのバレエはリズミカルで楽しめました ただ、演出面で評価が分かれると思われるのは、第3幕の、広場で総督ジェスレルが皇帝の権力を象徴するトロフィーに跪くよう民衆に命じ、強制された女と兵士たちが躍るシーンです 3人の若い女たちが兵士に囲まれ、逃げようとしても捕まり、頭に鹿の角を付けられたりして、屈辱的な扱いを受けるーという演出になっています これは強い者(権力)と従属させられる弱い者(民衆)の関係を象徴したもので、現代で言えば「セクハラ」「パワハラ」を表していると思います また、第1幕では、兵士たちが民衆を殴る蹴るの暴行を加えるシーンがあります これについて演出家のヤニス・コックスは「プロダクション・ノート」で、「作中に多い、民衆の歓喜のシーンと徹底して暴力的な場面のコントラストも強調したいと思います」と語っています 最近「このごろ、辛い出来事や悲しい事件などを扱ったニュースを見たり聴いたりしたくないという人が増えている」という記事に接しましたが、「現実から目をそらすな」ということでしょうか
また、ラスト・シーンが印象的です 全員が「自由よ、天から降り来たれ」と唱和しますが、彼らの背後に映し出されるのは爆撃を受けて崩れ落ちた『廃墟』の映像です 見ているわれわれは「これはウクライナか、あるいはガザか」と思わせられます 「自由を得るためには こういう犠牲が伴うものだ」というメッセージなのか、あるいは「破壊しかないバカな争いはやめて 一刻も早く平和な世界を」という祈りなのだろうか
拍手とブラボーが飛び交う中 カーテンコールが繰り返され、私が会場を後にしたのは20時45分でした
今日はNHK交響楽団の11月Bプロ定期演奏会(2日目)を聴くため、サントリーホールに行きます
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