21日(土).昨日は平熱に下がり,咳も止まったので出勤しました.まだ完治までには至っていませんが,朝から涼しかったので思い切って家を出ました 同僚から不在の間の仕事の様子を聞いて,取りあえず今週中に片付けるべき仕事だけをやっておきました このブログをご覧いただいている愛読者の方からお見舞いメールをいただきました.ご心配をおかけしましたが,もうダメです もとい,もう大分良くなりました お心づかいいただきありがとうございました
閑話休題
昨夕,東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの「世俗カンタータ全曲シリーズ第2回」を聴きました プログラムはJ.S.バッハ①誕生日祝賀・セレナータ「高貴なるレーオポルト殿下BWV173a」,②結婚カンタータ「消えるのです 悲しみの影よBWV202」,③結婚クオドリベットBWV524(不完全稿):④誕生日祝賀「喜び舞い上がれ 星々の高みまでBWV36c」の4曲です
キャストはソプラノ=ジョアン・ラン,カウンター・テナー=青木洋也,テノール=櫻田亮,バリトン=ロデリック・ウィリアムズ,指揮は鈴木雅明です
1曲目のセレナータ「高貴なるレーオポルト殿下」は,バッハが宮廷楽長として仕えていたアンハルト・ケーテン侯レーオポルトの誕生日用に作曲したものです ソプラノのジョアン・ランが赤いドレスに身を包まれて登場します.かなり大柄な人です 冒頭から高く美しい声でレーオポルト侯を称える歌を歌います.高度な歌唱力をもっています そしてバスのロデリック・ウィリアムズが深みのある歌声で賞賛します.2人ともにこやかに楽しそうに歌います.フラウト・トラヴェルソの管きよみと前田りり子の2人が絶妙の伴奏をつけます この曲ではBCJのコーラスはまだ登場しません
2曲目の「結婚カンタータ」はジョアン・ランが一人で歌います.この曲でランを支えるオーボエの三宮正満の演奏を何と表現したらよいのか とにかく素晴らしいとしか言いようがない見事さです バロック・オーボエでこれだけの演奏が出来る演奏家は世界に数えるほどしかいないでしょう.曲はヘンデルの「オン・ブラ・マイ・フ」に似たメロディーの美しい曲です
休憩後の最初の曲「結婚クオドリベット」は楽譜が断片的にしか残っておらず,バッハの作品かどうかも分からないという曲です 結婚式のときに歌われた”戯れの歌”といったような砕けた歌です.チェロ,コントラバスらがチューニングをしている最中,ラン,青木,櫻田,ウィリアムズの4人が指揮の鈴木とともに舞台になだれこんできて,交互に何やら歌い始めます
一節を紹介すれば「お会いした娘さん けっこうお高くとまっていたが 下着はまったくあか抜けない みんなにこにこお世辞いうが 内心は不実なこと 金細工師の見習い並み・・・・・」というような,どーでもいいことが歌われています 何を歌っているのかさっぱりわからないのですが(プログラムの対訳を見ている人以外),とにかく楽しい雰囲気はよく伝わってきます 演奏後はヤンヤの喝さいでした
最後の「ある教師のための誕生日祝賀カンタータ”喜び舞い上がれ 星々の高みまで”」は,文字通り,ある教師の誕生日を祝って作られた曲ですが,それが誰であるか不明です ここで初めて,BCJのコーラスが登場します ソリストも中に入ります.前回観た時とメンバーが何人か変わっているような気がします.ソリストを含めて14人いるうち男女各2人は新しい人ではないかと思います
テノールの櫻田が歌うときに伴奏をつけた三宮のオーボエ・ダモーレは,ここでも冴えていました また,ランが歌う時に伴奏をつけた若松夏美のヴィオラ・ダモーレも絶妙でした
”世俗カンタータ”がいかに楽しいものか,よく分かるコンサートでした