人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

冴えわたるバッハの響き~バッハ・コレギウム・ジャパンで「結婚カンタータ」を聴く

2012年07月21日 06時53分47秒 | 日記

21日(土).昨日は平熱に下がり,咳も止まったので出勤しました.まだ完治までには至っていませんが,朝から涼しかったので思い切って家を出ました 同僚から不在の間の仕事の様子を聞いて,取りあえず今週中に片付けるべき仕事だけをやっておきました このブログをご覧いただいている愛読者の方からお見舞いメールをいただきました.ご心配をおかけしましたが,もうダメです もとい,もう大分良くなりました お心づかいいただきありがとうございました

 

  閑話休題  

 

昨夕,東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの「世俗カンタータ全曲シリーズ第2回」を聴きました プログラムはJ.S.バッハ①誕生日祝賀・セレナータ「高貴なるレーオポルト殿下BWV173a」,②結婚カンタータ「消えるのです 悲しみの影よBWV202」,③結婚クオドリベットBWV524(不完全稿):④誕生日祝賀「喜び舞い上がれ 星々の高みまでBWV36c」の4曲です

キャストはソプラノ=ジョアン・ラン,カウンター・テナー=青木洋也,テノール=櫻田亮,バリトン=ロデリック・ウィリアムズ,指揮は鈴木雅明です

 

          

 

1曲目のセレナータ「高貴なるレーオポルト殿下」は,バッハが宮廷楽長として仕えていたアンハルト・ケーテン侯レーオポルトの誕生日用に作曲したものです ソプラノのジョアン・ランが赤いドレスに身を包まれて登場します.かなり大柄な人です 冒頭から高く美しい声でレーオポルト侯を称える歌を歌います.高度な歌唱力をもっています そしてバスのロデリック・ウィリアムズが深みのある歌声で賞賛します.2人ともにこやかに楽しそうに歌います.フラウト・トラヴェルソの管きよみと前田りり子の2人が絶妙の伴奏をつけます この曲ではBCJのコーラスはまだ登場しません

2曲目の「結婚カンタータ」はジョアン・ランが一人で歌います.この曲でランを支えるオーボエの三宮正満の演奏を何と表現したらよいのか とにかく素晴らしいとしか言いようがない見事さです バロック・オーボエでこれだけの演奏が出来る演奏家は世界に数えるほどしかいないでしょう.曲はヘンデルの「オン・ブラ・マイ・フ」に似たメロディーの美しい曲です

休憩後の最初の曲「結婚クオドリベット」は楽譜が断片的にしか残っておらず,バッハの作品かどうかも分からないという曲です 結婚式のときに歌われた”戯れの歌”といったような砕けた歌です.チェロ,コントラバスらがチューニングをしている最中,ラン,青木,櫻田,ウィリアムズの4人が指揮の鈴木とともに舞台になだれこんできて,交互に何やら歌い始めます

一節を紹介すれば「お会いした娘さん けっこうお高くとまっていたが 下着はまったくあか抜けない みんなにこにこお世辞いうが 内心は不実なこと 金細工師の見習い並み・・・・・」というような,どーでもいいことが歌われています 何を歌っているのかさっぱりわからないのですが(プログラムの対訳を見ている人以外),とにかく楽しい雰囲気はよく伝わってきます 演奏後はヤンヤの喝さいでした

最後の「ある教師のための誕生日祝賀カンタータ”喜び舞い上がれ 星々の高みまで”」は,文字通り,ある教師の誕生日を祝って作られた曲ですが,それが誰であるか不明です ここで初めて,BCJのコーラスが登場します ソリストも中に入ります.前回観た時とメンバーが何人か変わっているような気がします.ソリストを含めて14人いるうち男女各2人は新しい人ではないかと思います

テノールの櫻田が歌うときに伴奏をつけた三宮のオーボエ・ダモーレは,ここでも冴えていました また,ランが歌う時に伴奏をつけた若松夏美のヴィオラ・ダモーレも絶妙でした

”世俗カンタータ”がいかに楽しいものか,よく分かるコンサートでした

 

          

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

次作に期待か?~ジェフリー・ディーヴァ―「追撃の森」を読む

2012年07月20日 06時57分52秒 | 日記

20日(金).昨日も風邪で体調が思わしくなく休暇を取りました 昨夕は複数のテナントとの会合があったのですが出席できませんでした.同僚に迷惑をかけてしまい申し訳なく思っています.今朝は,まだ完治までは至っていませんが出勤したいと思います

 

  閑話休題  

 

前日,動かなくなったCDプレーヤーの中にCDが入ったままだったので,無理やり取り出そうともがきましたが取れません 頭にきたので機械をドンと叩きました.すると中からスーッとCDが出てきたので,もう一度入れ直して操作すると音が出てきました 昔テレビが映らなくなった時,脇をドンと叩くと画面が出てきたことを思い出します.機械はキッカイです

という訳で,再びイタリア弦楽四重奏団によるモーツアルトの弦楽四重奏曲全曲演奏の続きを聴くことにしました

 

  も一度,閑話休題  

 

ジェフリー・ディーヴァ―著「追撃の森」(文春文庫)を読み終わりました 物語は,

「通報を受けた女性保安官補ブりンは森の真ん中にある湖畔に建つ別荘に向かいます.そこで,ブりンは2人組の殺し屋に遭遇します 現場で出会った女ミシェルとともに深夜の森を逃走します これといった武器もなく,援軍のなく,無線もない2人の女を追う2人組の殺し屋 騙し合いのサバイバルゲームが始まります.さてブりンの運命は・・・・ミシェルは何者?・・・・

いくつかの”どんでん返し”がありますが,その最たるものはミシェルの正体でしょう その他は,いつものJ.ディーバーほどではありません 殺し屋ハートがあっさりと死んでしまったのにはちょっとがっかりです はっきり言って,もう一段”どんでん返し”があると思っていました.文庫本の帯に「国際スリラー作家協会最優秀長編賞受賞」と謳っていましたが,本当でしょうか?文庫オリジナルでの登場はありがたいのですが,これからは「リンカーン・ライム・シリーズ」のようなスリルとサスペンスの連続を期待したいと思います

 

          

 

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なぜパーヴォ・ヤルヴィはNHK交響楽団の首席指揮者を引き受けたのか?

2012年07月19日 08時39分25秒 | 日記

19日(木).昨日は風邪のため1日中寝ていました.クーラーは体に良くないので窓を開けっ放しにしておきました.夏の風邪は長引くと言いますがそんな感じです.つらいです

もうかなり以前から風邪をひいて寝込んだ時に必ずといっていいほど聴いてきたCDがありますそれはこれです.

 

          

 

イタリア弦楽四重奏団によるモーツアルトの「弦楽四重奏曲全集」です.第1番K.80から第23番K.590までの全23曲が8枚のCDに収められています.数ある全曲演奏の中で私はこのイタリア弦楽四重奏団の演奏が最も好きです

そもそもイタリア弦楽四重奏団の演奏がいいと思ったのは,知人宅で彼らが演奏するハイドンの弦楽四重奏曲”ひばり”のLPを聴かせてもらった時が初めてです その知人はいわゆる”オーディオ・マニア”で,このLPをオーディオ・チェック用に使っていたのです.演奏を聴くたびに”低音部の何ヘルツが出ていない”などと言っていました こちらは,音楽さえ良ければいいので,あーそうですか,と聞き流していました

昨日も1枚目の第1番から順番に聴いていったのですが,第17番”狩”を聴き終わって,6枚目のCDをかけたところ,ウンともスンともいわなくなり「エラー」表示が出たまま動かなくなってしまいました 電源コードをコンセントから引っこ抜いてもう一度試してみたりしたのですが,駄目でした テレビは16年ももったのに,このCDプレーヤーはまだ3年程度しか使っていません.安物だからしょうがないのですが

という訳で音楽もなしでひたすら寝ることになりました.ただ寝ることほどつらいことはありません この時ほど音楽の有難さを感じたことはありません

 

  閑話休題  

 

昨日の日経夕刊・文化欄に「新たな指揮者像をつくる オケに合わせ自身を変化」の見出しで指揮者パーヴォ・ヤルヴィのインタヴューが載っていました 1962年エストニア生まれの彼は,現在,パリ管弦楽団,フランクフルト放送交響楽団の音楽監督,ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンの芸術監督を務めています.ヤルヴィの考えは明確です 彼は次のように語っています.

「フランクフルト放送響の場合,やはりブルックナーやマーラーなどドイツロマン派の曲を指揮したい.パリ管はやはりその色彩感を生かし,フランスものやストラヴィンスキーも含めたロシアものが中心となるだろう.ドイツ・カンマーフィルとはこれまでベートーヴェンの交響曲全曲などを演奏・録音した.来年は日本で楽聖唯一のオペラ”フィデリオ”をコンサート方式で上演する」

つまり,作曲家や作品によってオーケストラを使い分けようという考えです そのヤルヴィが3年後の2015年からNHK交響楽団の首席指揮者に就任することが決まっています 彼は語ります.

「日本人は音楽に対し何か特別なものを求めようとして,すばらしい集中力を発揮する.聴くレベルは世界最高だ

”作曲家や作品によってオーケストラを使い分ける”という方針に従えば,日本のオーケストラに対し”誰のどういう作品”の演奏を求めようとしているのか気になるところですが,それはヤルヴィに直接尋ねるしかないでしょう しかし,一つだけはっきりしているのは,彼は”日本の聴衆を信じている”ということ,だからこそ,N響の首席指揮者を引き受けたのだと思います.これからのヤルヴィの行動から目が離せません

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西岡文彦著「五感でわかる名画鑑賞術」を読む

2012年07月18日 06時52分25秒 | 日記

18日(水).昨日は一旦出勤したのですが,あまりにも体調が悪いのでビル地下のNクリニックに行きました やはり風邪で,微熱があります 抗生物質など3種類の薬を受け取って職場に戻り,取りあえず急ぎの仕事だけ片付けて早退しました.本当は夕方,仕事の飲み会が入っていたのですが,他のメンバーにまかせてお先に失礼しました 家に帰って,クーラーをかけずに寝込みました.相当汗をかきました 今朝起きた時も喉が痛んで咳も出るので大事をとって今日は休むことにしました

 

  閑話休題  

 

西岡文彦著「五感でわかる名画鑑賞術」(ちくま文庫)を読み終わりました この本は,「深読みフェルメール」(朝日新書),「怖い絵(泣く女編)」(角川文庫)とともに神保町で買った美術関係書のうちの1冊です.著者の西岡氏は1952年生まれ,多摩美術大学教授です

本の構成は第1章:五感でわかる美術館鑑賞 極意10!,第2章:モネのケーキ,フェルメールのカメラ,第3章:油絵のウォークマン,ヌードのアウトドア,第4章:触れるように眺め,描くように鑑賞する,第5章:美術館での会話の極意,聞かせる話のツボ,から成っています

どの章も具体的で,著者の経験に基づく話が中心になっているので,すんなりと頭に入ってきます 例えば第1章の「五感でわかる美術館鑑賞 極意10!」には以下のアドバイスが書かれています

極意その1:画家の名前は見ない

極意その2:好きな順,好きな速さで見る

極意その3:額縁に,わき見してみる

極意その4:ともかく近くに寄って見る

極意その5:なるべく,あちこちから眺める

極意その6:必ず飲み食いする

極意その7:必ず買い物をする

極意その8:いちばん好きな絵を選ぶ

極意その9:好きな理由を考える

極意その10:必ず誰かと話してみる

さて,このうちのほとんどは誰もが納得するごく”当たり前”のことですが,その6「必ず飲み食いする」は著者ならではの理論でしょう 彼は次のように書いています.

「美術館や展覧会に出かけた時は,必ず飲み食いすることをお薦めしたい.なにか特徴のあるものを口に入れておくことをお薦めしたい.人間の記憶は,味や匂いと結びつくことで,とりわけ鮮明に保存されるからである 筆者の場合,エスプレッソの独特の焦げたような香りは,ボッティチェリの”ビーナスの誕生”と,その額縁としてのウフィツィ美術館の街並みの記憶と鮮明に結びついている 初めて見たボッティチェリの感動もさめやらぬまま,美術館の回廊奥の寒いカフェで熱々のエルプレッソを飲んだからである

つまり,「味や香りと結びつき,いつまでも鮮明によみがえる名画の記憶が刻まれる」というのです

また,その7の「必ず買い物をする」も彼独自の理論です.彼自身の経験から,「絵はがきもカタログも自分が自分に買うおみやげ.迷ったら,とりあえず買っておくのが正解」と言っています

具体的で分かりやすい内容なので,美術の入門書としてお薦めします フェルメールを観に行った時,どこで何を食べようかな

 

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フェルメールはカメラを使った?~朽木ゆり子・福岡伸一の対談「深読みフェルメール」を読む

2012年07月17日 06時54分48秒 | 日記

17日(火).今朝起きてもまだ風邪が抜けていないようで,喉が痛み,咳が出て,時々くしゃみも出ます.病院に行って薬をもらわなければ治りそうもありません.おまけに今日は夕方,仕事の飲み会が入っているのです.とてもお酒を飲める状態ではありません.とにかく病院に行かなくっちゃ

 

  閑話休題  

  

昨日は,まだ風邪が抜けきらないので,午前中はベッドで寝っ転がってアンヌ・ケフェレックの弾くエリック・サティのピアノ曲やシン・ヒョンスの弾くドビュッシーのヴァイオリン・ソナタなどのCDを聴きながら新聞や本を読んでいました ケフェレックはラ・フォル・ジュルネ音楽祭で毎年来日しているし,リサイタルも毎年のように開いているので日本人にも親しみ深い女性ピアニストです.彼女の弾く音楽はモーツアルトもバッハもベートーヴェンも,もちろんサティもみんないいです

 

          

 

          

午後は重い腰をあげて池袋に出かけました.というのは,3日ほど前,テレビのスイッチを入れたら,いきなりバリバリッという音とともに火花のようなものが出たので,これは危険だと思ってすぐにスイッチを切ったのです あらためてテレビの保証書を引っ張り出して見ると1996年11月13日発行とありました.まだ10年も経っていないと思っていたのに,16年近くお世話になったわけですそういえば,今のマンションに引っ越してきてから間もない頃に買ったのを思い出しました

というわけで,体調の悪い中,バスで池袋に出かけました.Bカメラの3階にあるテレビ売り場で品定めをして,結局,最近買ったブルーレイ・ディスクプレーヤーに合わせてPブランドの32インチ・テレビを買いました 一昔前はン十万円もしたものが,今では7万円ちょっとで買えます.古いS社のテレビを引き取ってもらうのに3,360円かかるとのことですが,リサイクル法上しかたありません  

学生時代,電気店でS社からの派遣アルバイトとして働いていたご縁で,2台続けてS社製のトリニトロンTVを使ってきましたが,当時”世界のS”と言われていたS社も,今やテレビ機器業界では見る影もありません.私もこれでS社製品とはお別れです.さびしいです 復活はあるのか”世界のS”

 

   も一度,閑話休題  

 

2~3日前の朝日新聞に「真珠の耳飾りの少女と私」という連載コラムが載っていて,生物学者・福岡伸一氏が次のように書いていました

「最も有名なフェルメールの作品”真珠の耳飾りの少女"の最も深遠な謎は,おびえているようでもあり,つややかな決意を秘めているようでもある彼女のまなざしが,いったい何に対して投げかけられているのか,ということです マウリッツハイス美術館の一室でこの絵を観た私には,その答えが自然にわかりました.彼女は,対面の壁に掛けられていたフェルメールのもうひとつの傑作”デルフト眺望”を観ていたのです」

 

  さらに,閑話休題  

 

朽木ゆり子と福岡伸一の対談「深読みフェルメール」(朝日新書)を読み終わりました 朽木ゆり子氏はノンフィクション作家で「盗まれたフェルメール」などの著書があり,福岡伸一氏は生物学者で「生物と無生物のあいだ」などの著書で有名です.この二人の共通点は,美術の専門家ではないが,フェルメールに強い興味を持ち,行方不明の≪合奏≫を除く全ての作品を実際に観た経験を持つということです

朽木さんのところにフリーライター中沢明子さんから「福岡伸一さんと対談しないか」という誘いがあり,対談をして今年2月の「アエラ」に載せたところ好評だったので,その後,2日間にわたり再び対談をした.それをまとめたのがこの「深読みフェルメール」であるとのことです

フェルメールの絵のモデルは誰か? フェルメールはカメラを利用したか? フェルメールの偽物はどれか? など,興味深い内容ばかりです.私が一番面白いと思ったのは「フェルメールはカメラを利用したのか?」というテーマです

レーウェンフックという人は顕微鏡を発明した人ですが,「カメラ・オブスクーラ」という機械も発明しました.福岡氏の説明によると,

「ピンホール(針穴)写真機に似ている箱型の光学装置で,レンズを利用して集光し,反対側のすりガラスまたは暗くした壁に,風景や部屋の配置や遠近を正確に2次元平面に写し取ることができる機械です 映し出された像の輪郭がぼやけるのが特徴で,この曖昧さがかえってニュアンスをもたらし,とても良い雰囲気に見える.フェルメール作品に感じる奥ゆきの深さに通じる美しさがあります

という機械です.フェルメールは「カメラ・オブスクーラ」を使って遠近法を研究していた レーウェンフックは同時代にフェルメールと同じオランダ・デルフトに住んでおり,2人の間に交流があったのに間違いないということです.これは非常に興味深いことです

もう一つ面白いと思ったのは,フェルメールは生活のために絵を描く必要がなかったらしい,ということです 福岡氏は次のように発言しています.

「どれくらい儲かっていたかわかりませんが,フェルメールは画商でもありましたよね.ファン・ライフェンというパトロンもいたらしい.《真珠の首飾りの少女》のターバンに代表される”フェルメール・ブルー”を出すために,当時,金よりも高価だった宝石のラピスラズリをふんだんに使っていたことのも珍しいこと つまり,さまざまな事情から想像すると,フェルメールは”絵を売って生計を立てる”ために量産する必要がなかった可能性がある フェルメールの妻カタりーナ・ボルネスの家は裕福で,お義母さんのマーリア・ティンスはお金持ちだった.そして,フェルメールは妻の実家に引っ越してから,プロの画家になっています

長い絵画史の中にはゴッホのような人もいるし,フェルメールのような人もいるのですね.同じ画家なのに生活の状況はまったく異なっています

さて,冒頭に紹介した福岡伸一氏の言葉は,この本の「あとがき」にも登場します この本を参考に,近々上野の東京都美術館に「マウリッツハイス美術館展」を観に行こうと思います

 

 

          

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

団員の熱意に惜しみない拍手!~ザ・シンフォニカ第52回定期演奏会を聴く

2012年07月16日 06時47分20秒 | 日記

16日(月).昨日はまだ風邪が治り切っておらず体調不良だったので,午前中はベッドに寝転んでメンデルスゾーンの室内楽を聴きながら本を読んでいました いま上野の東京都美術館に「フェルメール」が来ているので近々観に行こうと思い,”予習用”に買った朝日新書「深読みフェルメール」(朽木ゆり子,福岡伸一による対談)です 読み終わったら,後日ブログでご紹介します

午後は,熱があるわけではなかったので,予定どおり文京シビックホールに行き,アマチュア・オーケストラ「ザ・シンフォニカ」の第52回定期演奏会を聴きました ザ・シンフォニカを聴くのは昨年7月31日にサントリーホールで飯守泰次郎指揮によるワーグナーの「ローエングリン」から2曲とマーラーの「第5交響曲」を聴いて以来のことで,ほぼ1年ぶりになります.あれからもう1年が経つのかと感慨深いものがあります

午後2時からの開演ですが,自由席のため早めの1時15分頃行列に並びました.1階18列センター通路側のいい席が取れたので,入り口で配られたチラシとアンケート用紙を椅子の上に置いて,ホワイエにコーヒーを飲みに出ました 開演5分前に席に戻ると,何と見知らぬレジ袋が置かれていて,私のチラシはどこにも見当たりません 後から来た者に席を奪取されたようです.開演時間が迫っていたので,”犯人”を待ってどういうつもりか問い質そうかとも思いましたが周りの人の迷惑になるので,ここは我慢して,ずう~っと後ろの28列目の通路から4つ入った席に座りました 18列のその席に着いた若者の後姿を見て,何のために早くから並んで席を取ったのか実に腹立たしい限りでしたが,いつまでもその怒りを引きずっていると音楽鑑賞の妨げになるので,気持ちを切り替えて「こっちの席の方が全体を見渡せて良いぜ~」と自分に言い聞かせました.ワイルドだぜ~,杉ちゃんだぜ~,花粉だぜ~,関係ないぜ~

プログラムは①ブリテン「青少年のための管弦楽入門」,②R.シュトラウス「交響詩:ドン・ファン」,③ブラームス「交響曲第4番ホ短調」の3曲.指揮は大山平一郎,コンサートマスターは女性です 会場は6割位の入りでしょうか.

 

          

 

1曲目のブリテン「青少年のための管弦楽入門~パーセルの主題による変奏曲とフーガ」は,17世紀の英国の作曲家ヘンリー・パーセルの組曲「アブデラザール」の第2曲「ロンド」の主題を基にしています

大山平一郎が分厚いスコアを抱えて登場,オーケストラ全体でパーセルのテーマが演奏されます 次いで管楽器が次々に変奏曲を披露していくわけですが,残念ながらここでアンサンブルの乱れがありました 弦楽器ではピチカートがほとんど聴こえません とはいうものの,そこは指導者,演奏終了後,大山はパートごとに立たせて賞賛していました

2曲目のドン・ファンは一転,冒頭から集中力が漲り,迫力のある演奏が展開されました R.シュトラウス25歳の時の作品ですが,彼の最初の交響詩でもあり,出世作ともなった作品です.コンサートマスターによるヴァイオリン・ソロは美しかったです 金管・木管楽器も格段に安定感が出てきました

休憩後のブラームス「交響曲第4番ホ短調」は,1885年10月ブラームス自身の指揮,マイニンゲン宮廷管弦楽団によって初演されましたが,その際にトライアングルを担当したのが若き日のR.シュトラウスだったということです

第1楽章の冒頭,ヴァイオリンよって奏でられた第1主題の何と美しかったことか.まるでオーケストラによる”ため息”のようです

この日のオーケスオラは,明らかに後にいくにしたがって良くなっていきました ブリテンよりもR.シュトラウスの方が,R.シュトラウスよりもブラームスの方が,アンサンブルは優れていました

全体を通して言えるのは,ブラームスのような大曲よりは,むしろ,ブリテンなどの小規模ながら個々の楽器が前面に出る曲の方が,アマチュア・オケにとって返って難しいのではないか,ということです.ハイドンしかり,モーツアルトしかり,かも知れません

入り口で渡されたプログラムによると,「ザ・シンフォニカ」の皆さんはこの日のために約3か月間練習に取り組んできたとのことです.職場で,あるいは家庭でそれぞれの役割を果たしながら,限られた練習時間の中で,この日の3曲を仕上げてきたとのことです メンバーのおひとりおひとりが口では言い表せないご苦労があったことでしょう 皆さんの”良い音楽を創りたい”という熱意に惜しみない拍手を送ります.これからも演奏を楽しみにしております.また,是非聴かせてください

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

児玉桃のピアノでモーツアルト「ピアノ協奏曲第23番K.488」を聴く~東響オペラシティシリーズ

2012年07月15日 07時14分44秒 | 日記

15日(日).昨日,初台の東京オペラシティ・コンサートホールで東京交響楽団の東京オペラシティシリーズ第68回公演を聴きました 会場内がやけに明るいので,天井を見上げると,舞台の真上の天上部分の大きな三角窓が開けられていて,空に雲が浮かんでいる様子が見えました オペラシティ・コンサートホールならではの演出です この窓は開演時間には閉じられました.

プログラムは①モーツアルト「歌劇:コジ・ファン・トゥッテ序曲K.588」,②同「ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488」,③細川俊夫「ピアノとオーケストラのための月夜の蓮~モーツアルトへのオマージュ」,④モーツアルト「交響曲第29番イ長調K.201」の4曲.指揮は東響桂冠指揮者・秋山和慶,②と③の独奏はラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも活躍した児玉桃です

コンサートマスターが登場しても観客が反応しません.この日は,室内楽で活躍している長原幸太が客員コンマスとして登場したのです ニキティンさんや大谷康子さんはアルバイトでしょうか

1曲目の歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲は,秋山のタクトのもと軽快に進みます 序曲を聴いただけでオペラの楽しさが想像できます

舞台の左袖からピアノがセンターに運ばれ,白の鮮やかなドレスの児玉桃が秋山とともに登場します秋山のタクトで第1楽章「アレグロ」が始まります.私はモーツアルトのピアノ協奏曲の中ではこのK.488が一番好きです.この曲の出だしを聴くと幸せな気持ちになります 聴きどころは第2楽章「アダージョ」です.児玉はゆったりと丁寧に音を紡いでいきます.途中,いままで聴いたことのないメロディーを弾いたような気がしましたが,気のせいだったでしょうか?なにしろ,この曲の第2楽章と第3楽章にはカデンツァがないのですから,やっぱり気のせいかも

第3楽章「アレグロ・アッサイ」は喜びが一気に爆発してフィナーレを迎えます

休憩後の細川俊夫「ピアノとオーケストラのための”月夜の蓮”~モーツアルトへのオマージュ」は,モーツアルト生誕250年にあたる2006年に作曲され,児玉桃がソリストとして初演しました

曲はピアノの独白から始まりますが,観客に過度の緊張を強いるこういう曲(いわるゆ現代曲)が苦手です 最後にモーツアルトの「ピアノ協奏曲第23番」の第2楽章の主題が現われる,と解説に書かれていますが,聴いていてもどこにそのメロディーが現われたのか,さっぱり分かりませんでした 終演後,作曲者・細川俊夫が客席から舞台に呼ばれ,児玉,秋山とともに観客の拍手に応えていました

最後の交響曲第29番イ長調K.201は,モーツアルトが18歳のときに作曲した,いわば”青春の歌”ですが,短い曲ながら独特の味わいのある穏やかな曲です

舞台上を観ると弦楽器がいつもどおりスタンバイしているのに対して,管楽器が4人しかいません あらためてプログラムを見ると「オーボエ2,ホルン2,弦5部」と書かれています.聴いていて思うのは,交響曲というよりはディヴェルティメント(喜遊曲)に近いということです

秋山の指揮のもと東響は軽快なテンポで生き生きとモーツアルトの世界を描いていきました 私は東京交響楽団の指揮者団の中では,この秋山和慶が一番好きです

                   

ここ数日,疲れがたまったせいか,どうも軽い風邪を引いたらしく喉が痛みます 昨夕はビールを止めて普通のごはんを食べて早めに寝ました

 

          

              〔表紙はクリムト作「ヒマワリ」1906~07年〕

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第4楽章が勝負~三ツ橋敬子指揮新日本フィルでチャイコフスキーの「悲愴」を聴く

2012年07月14日 06時57分43秒 | 日記

14日(土).10日に初めてお会いした当ブログ愛読者Nさんからメールが届きました フィラデルフィアの自宅に戻って11日付の当ブログをご覧になったとのことで,ご自宅近くのカーティス音楽院の近況について詳細に書かれていました 以下にNさんからのレポートを転載させていただきます

「カーティス音楽院は,ピアノは中国が,コントラバスを除く弦楽器は韓国勢が多く占めています 一昨年は定員10名前後のヴァイオリンの席に韓国から250名以上の志願者がいたとのことです カーティスは寄付によって成り立っており,学費が無料です.入学時の年齢が21歳以下(下限がないのでピーター・ゼルキンはかなり小さいころに入っている?)と決められているので,天才少年・少女(ランラン,サラチャン,ヒラリー・ハーン等)もたくさんいます

よく音楽関係の学校のことをご存知だなあと感心していたら,次のような文面が続いていました.

「実は息子が,カーティス,ジュリアードほどの知名度はないのですが,音楽の教育関係者が多いオーバリン大学という学校に今秋,進学予定です ここも大学部はアメリカ人が多いのに,音楽部とくに子供のころからハードな練習を要する弦楽器とピアノは,韓中(とそれらの国の移民2世)が占めています.それにもかかわらず,オーケストラのお客さんは,やはり熟年世代以上の白人がほとんどです このまま,アジア系演奏者の比率が進むと彼らはどう思うのでしょうか 寄付に反映してくるのか興味があるところです

アジア勢恐るべしですね そんな中でも寄付を続けているアメリカの市民の皆さんの心の広さを感じます でも,これ以上続くとどうなのかと言われれば,どうなんでしょうね?・・・・・・・・第2のヴァン・クライヴァーン現われよと祈るばかりでしょうか・・・・・それにしても,ご子息が音楽関係の大学に進まれるとは驚きました N家は音楽一家なのでしょうか?ご子息には韓中の諸君に負けずに頑張っていただきたいと思います 

 

  閑話休題  

 

昨日休暇が取れたので,すみだトりフォニーホールに新日本フィル「新クラシックへの扉シリーズ」を聴きに行きました プログラムは①チャイコフスキー「バレエ組曲:眠りの森の美女」,②同「交響曲第6番ロ短調”悲愴”」の2曲.指揮は三ツ橋敬子,コンサートマスターは崔文殊です

平日の午後2時だというのに会場のトりフォニーホールはほぼ満席 察するところ地元のお年寄りが多いようです.ほとんど当日券に近い状態でチケットを手配したため通路側席が取れず,1階27列22番と,かなり後方の通路から3番目の席になりました

舞台に登場した三ツ橋敬子は2010年のトスカニーニ国際指揮者コンクール準優勝と聴衆賞を受賞した実力者です いつものように髪を後ろで束ね,黒のスーツで颯爽と登場します 小柄な彼女は,まるで宝塚歌劇出身かと思われる先輩指揮者・西本智実とはまた違った魅力があります

 

          

 

1曲目のバレエ組曲「眠りの森の美女」は,チャイコフスキーが自ら作曲したバレエ音楽「眠りの森の美女」から5曲を選んで組曲にしたものです

序奏の「リラの精」に続いて,第2曲「アダージョ」はハープの美しいメロディーから始まるオーロラ姫の優雅な踊りです.篠崎和子のハープが美しく奏でられます 第3曲「性格的な踊り」,第4曲「パノラマ」に続いて第5曲「ワルツ」では舞踏会で踊る若者たちのダンス音楽が優雅に展開します

2曲目の交響曲第6番ロ短調”悲愴”は,1893年10月16日に初演されましたが,そのわずか9日後に,チャイコフスキーは不慮の病で死去しました この曲を作曲した時,彼は親しい皇族に「この終楽章はレクイエムである」というメッセージを送ったと言われています

第1楽章はコントラバスの重低音に乗ってファゴットがテーマの断片を奏でます.有名なテーマが現われる直前,三ツ橋は長い”間”を取りました.暗い曲想が続きますが,途中で突然,オーケストラが嵐のような咆哮をはじめ,寝ていた人はビクッと起こされます

第2楽章ではワルツのような優雅な音楽が続きます.そして,第3楽章に入るとまるで”行進曲”です最初は静かに始まりますが,徐々に音量が拡大してテンポが速くなり,”悲愴”の気分を蹴散らしていきます

この楽章の終わりが近づいてきた時,私は一つの不安を抱いていました 音楽の好きな方ならすぐに思いつくでしょう.そう,この楽章「アレグロ・モルト・ヴィバーチェ」は勇壮なフィナーレで終わります.この曲を聴いたことのない人は,これでこの曲が終わったと勘違いして,拍手をするのではないか・・・・・という不安です

その不安は見事に的中しました 第3楽章の演奏が終わるや否や,会場のそこかしこで”ブラボー”と拍手が巻き起こったのです.立ち上がって拍手をしている人もいます.私の両隣の女性も,つられて拍手をしています.”あー,やっちまった~”

さすが,三ツ橋敬子は後ろを振り向くこともなく,慌てず騒がず,しばらくタクトを下ろしたままたたずみ,頃合いを見計らっておもむろにタクトを上げて第4楽章の演奏に入りました

実は私は,第3楽章までは三ツ橋敬子でなくても,だれが演奏しても同じじゃん,と思っていたのですが,ここからが彼女の本領発揮でした 第4楽章に入って,深い嘆息,瞬間的な希望,運命の一撃,悲劇のどん底へ・・・・と曲想を変え,最後は第1楽章冒頭と同じように,コントラバスだけの重低音で終わっていく一連の物語を見事に音にして表現しました

アンコールにチャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」から「ポロネーズ」を優雅かつ勇壮に演奏し聴衆の喝さいに応えました

 

          

 

       

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1年を違った角度から見たら~イギリス映画「家族の庭」を観る

2012年07月13日 06時53分10秒 | 日記

13日(金).昨日,池袋の新文芸坐で「さすらいの女神たち」と「家族の庭」の2本の映画を観ました ここでは「家族の庭」を中心に書きます

「家族の庭」は2011年秋に日本で公開されたイギリス映画.監督はマイク・リーです

「地質学者トムと医学カウンセラー,ジェリーの夫婦は,休日には市民農園でガーデニングを楽しみながら,穏やかな毎日を過ごしています 一人息子のジョーは30歳ですが,恋人がいません 夫婦のもとに,ジェリーの職場の同僚メアリーや,古くからの友人ケンなどが気軽に訪れてきます.ケンは孤独な人生を嘆き,メアリーは男運のなさを嘆いて酒におぼれ,乗用車を買って憂さをはらすものの,自分自身のせいで廃車に追い込まれて落ち込みます.さらに密かに想いを寄せていたジョーに恋人が現われ,ますます落ち込んでいきます

何と言ってもトム役のジム・ブロードベントとジェリー役のルース・シーンが渋くも素晴らしい演技ですが,それを上回るほど凄いと思ったのはメアリー役のレスリー・マンヴィルの演技です もう若くない中年女性の悲哀を顔の表情や身体全体で表し,見る者の同情を引き,共感を誘います

物語は春,夏,秋,冬と4つに分かれて進みます.春に撒いた種は秋には実となって収穫されます 原題は「アナザー・イヤー」です.幸せなトムとジェリーから観た1年は,孤独なメアリーやケンから観たらまったく違った1年になります.観終わった後で,メアリーとケンにも幸せが訪れんことをと切に思いました

なお,この音楽では残念ながらクラシック音楽は使われていませんでした 一方,「さすらいの女神たち」は旅役者のドサ回りの物語とでもいうべき映画ですが,ロックがガンガン流れるような基調の中,なぜかモーツアルトの歌劇「魔笛」序曲の冒頭の和音と,パパゲーノのアリアが流れてきて驚きました

 

          

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブランデンブルク協奏曲を中心に~「JTアートホール室内楽シリーズ・向山佳絵子と仲間たち」を聴く

2012年07月12日 06時51分15秒 | 日記

12日(木)。昨夕、虎ノ門のJTアートホール”アフィニス”でJTアートホール室内楽シリーズ第374回「向山佳絵子と仲間たち~ブランデンブルク協奏曲を中心に」を聴きました 演奏者は女性のみ14名、さながら”女子会”コンサート.ワイルドだぜ~

プログラムは①J.S.バッハ「ブランデンブルク協奏曲第3番BWV.1048」、②ルーセル「フルート三重奏曲」、③イベール「2つの間奏曲」、④ロッシーニ「弦楽のためのソナタ第5番」、⑤J.S.バッハ「ブランデンブルク協奏曲第5番BWV.1050」の5曲です

自席は,出足が遅れたのにあくまでも通路側にこだわったため,中央最後列(16列5番)になりました.会場はほぼ満席です

最初に”主催者”の向山佳絵子が舞台に登場して「今日は”大奥”ということで(会場・笑)よろしくお願いします」とあいさつ.1曲目のブランデンブルク協奏曲第3番の演奏者が登場します

ヴァイオリン=玉井菜摘,戸上真里(東フィル),重岡菜穂子,ヴィオラ=篠崎友美(新日フィル),直江智沙子,森口恭子,チェロ=向山佳絵子,高橋純子(都響),渡邊方子(N響),コントラバス=小笠原茅乃(東フィル),チェンバロ=曽根麻矢子というメンバーで,向山の個人的なツテで集まったとのことです めいめいがカラフルなドレスで登場,曽根だけが黒のモーニングに近いスタイルで登場して,かえって目立っていました

ブランデンブルク協奏曲の”ブランデンブルク”というのは,この曲集がブランデンブルク辺境伯に献呈されたことから,後の研究者が付けた呼び名です この曲は3つの楽章から成りますが,第2楽章「アダージョ」は世界で最も短い曲です.なにしろスコアでは和音が2つ記されているだけです.楽章と言っていいのだろうか

弦楽だけの音楽ですが,”ノリの良い”演奏です 思わず手や足で拍子をとってしまいます.バッハにはそういうところがあります 玉井菜摘がコンサートマスター的な立場で全体をひっぱる形ですが,バランスも良く演奏する側も楽しんでいる様子でした

ここで,再び向山が登場,「舞台上は華やかな衣装で楽しいですが,楽屋裏では,このドレスはどこで買ったとか,このドレスはいくらしたとか,大変な騒ぎでした」と裏話をして,演奏者の名前を紹介しました プログラムには演奏者の顔写真が載っていないので,どの人が誰だか分からないのですが,私はあらかじめホームページで出演者の顔写真を調べてアウトプットしておいたので,舞台上の演奏者と見比べることでほとんど個々人を特定できました

2曲目のルーセル「フルート三重奏曲」は,フルート=佐久間由美子,チェンバロ=曽根麻矢子,ヴィオラ=篠崎友美により演奏されましたが,フランスの作曲家らしいエスプリの香が漂うような曲でした

次のイベール「2つの間奏曲」はヴァイオリン=玉井菜摘,フルート=佐久間由美子,チェンバロ=曽根麻矢子により演奏されましたが,前半が優美な音楽,後半が民族的なメロディーによる音楽で,楽しい曲でした ルーセルとイベールを聴く限り,佐久間のフルートが冴えていました

休憩後最初の曲,ロッシーニ「弦楽のためのソナタ第5番」は,ヴァイオリン=井上静香,渡邊菜穂子,チェロ=渡邊方子,コントラバス=小笠原茅乃による演奏です.4人はブルー系のドレスで統一されていて,客席から”オーッ”と感嘆の声が出ていました ロッシーニ11~12歳の頃の作品だとはとても信じられない,軽やかで明るい曲でした

最後はバッハのブランデンブルク協奏曲第5番です.ここで14名全員が舞台に登場しました.フルート,ヴァイオリン,チェンバロの3人をソリストとする協奏曲とも言える堂々たる曲です向山と曽根は”お色直し”をしてきたようで,白系統のドレスで登場しました

これは快演です.第1楽章の終結部にチェンバロのカデンツァがあります.ピアノがハンマーで弦を打つ一種の”打楽器”であるのに対して,チェンバロは弦を爪でひっかくことで音が出る仕組みになっていることから,大きな音が出ないので,迫力に欠ける面があります しかし,曽根は軽やかで優しさに満ちた演奏を展開して聴衆を魅了しました

アンコールにはバッハの管弦楽組曲第2番から”ポロネーズ”と”バティヌリ”をノリノリで演奏しました.やっぱりバッハはいいなぁとあらためて思いました

 

         

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする