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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

コンサート会場における「にくきもの」とは~荻野文子著「ヘタな人生論より枕草子」を読む

2012年07月24日 06時55分48秒 | 日記

24日(火).昨夕は元の職場の旧友会(OB会)があり,幹事団の一人として参加しました 会議は30分で終了,その後,場所を移して懇親会が開かれました.私は風邪薬を飲んでいるのでアルコールは一切飲まず,ウーロン茶を8杯飲んで料理を食べながら話をしました.職場を中途退職して何年か経つM君と話していたら「いつか友人がウーロン茶の一気飲みをしていたら,そばにいた中国人に”危険だからやめた方がいい”と言われた.どうもウーロン茶は一度に飲みすぎると身体に良くないようだ」と言うので驚きました ビールやお酒の一気飲みが良くないのは誰でも知っていますが,まさかウーロン茶の”一時集中摂取”が健康に良くないと言うのは初めて聴きました 本場中国の人が言うことなので間違いないのでしょうが,どうせなら2~3杯飲んだところでM君の話を聴けば良かったと思いました

 

  閑話休題  

 

昨日の日経夕刊・文化欄に「英国クラシック目覚める 日本人音楽家,積極的に紹介」という記事が載りました 記事では,「新国立劇場が,尾高忠明芸術監督の第3シリーズの幕開けに,来年生誕100年を迎えるベンジャミン・ブリテンの”ピーター・グライムス”を上演する」ことなどを紹介していますが,今年生誕150年を迎えたフレデリック・ディーリアス(1862~1934)についても触れています

私はLP時代に,一時,ディーリアスを集中的に聴いていた時期があります.「春初めてのカッコウを聴いて」,「ブリッグの定期市」,「楽園への道」(歌劇”村のロメオとジュリエット”の間奏曲),「フロリダ組曲」,「北国のスケッチ」,「夏の歌」などの管弦楽曲です

ディーリアスの曲は,どれもが静かで,詩的で,郷愁を誘い,日本人の感性に合っているのではないかと思います 最初に「春初めてのカッコウを聴いて」を聴いた時は,どこか懐かしい感じがして心穏やかになりました いまでも時々CDで聴いています.

下のCDはディーリアスの「楽園への道」,「”イメルソン”前奏曲」,「夏の歌」などを収録したジョン・バルビローリ指揮ロンドン交響楽団による演奏です.ディーリアスはバルビローリの演奏を高く評価していたと言われていますが,すごく良く分かります

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

予備校講師・荻野文子著「ヘタな人生論より枕草子」(河出文庫)を読み終わりました

「枕草子」と言えば高校の時の古典の授業で習った,例の「春は曙,やうやう白くなりゆく・・・・」で有名な随筆です その平安時代の有名なエッセイを,長い間予備校で「マドンナ先生」として古典を教えてきた荻野文子さんが独自の視点から捉えたのが本書です

今から約1千年前,貴族が雅(みやび)な文化を作った平安時代に,清少納言と呼ばれる才気あふれる女性がいました 彼女は中宮(天皇の后の最高位)である定子という女性に,20代の終わりから30代の半ばにかけての約7年間仕えました 定子は彼女よりも10歳ほど年下で自身も教養が深かった女性です.日々の生活の中で清少納言の感性を書きつづったのが「枕草子」です

本書では「にくきもの」(しゃくにさわるもの),「ありがたきもの」(めったにないもの),「あぢきなきもの」(どうしようもないもの)など,普段の日常生活で使われる言葉を取り上げて,現代の生活に置き換えて分かりやすく解説しています

思わず「そうだ,その通りだ」と膝を打ったのは一番最初に取り上げられている「にくきもの」です 荻野さん自身の経験が書かれています.

「バレエ公演を観に行ったとき,前席の女性が夢中になって身を乗り出したため,トゥー・シューズが観えなくなった 無理な姿勢を我慢して腰を横にくねらせた.しかし,今度は音楽に合わせて身体を左右に揺らし始めた.それにしたがって私も逆へ逆へと頭を振るしかない・・・・このような”無遠慮な善人”はどういう訳か,中高年に多い」

この話を導入部として,「枕草子」に書かれている「にくきもの」を取り上げて解説していきます 荻野文子という人は実に文章がうまいし,文章の組み立て方,つまり,読ませ方もうまいと思います.まるで清少納言が現代に生まれ変わって書いているかのようで”いとをかし”です

私はこの本(235ページ)を一日で読み終わりましたが,それは著者の読ませる力が優れていたからだと思います

 

          

コメント (2)
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