23日(月).昨日,東京オペラシティコンサートホールで新交響楽団第218回演奏会を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」(Vn独奏=松山冴花),②マーラー「交響曲第1番ニ長調」の2曲,指揮は飯守泰次郎です
新交響楽団は1956年創立のアマチュア・オーケストラです.音楽監督・故芥川也寸志の指導のもと旧ソ連への演奏旅行なども敢行したこともある本格的なアマ・オケです 現在,年4回演奏会を開いていますが,私は新響によるマーラー演奏の大ファンで,とくに高関健,飯守泰次郎の指揮するマーラーは欠かさず聴くようにしています
自席は1階21列10番,センターの左サイド通路側,会場は文字通り満席です 照明が落とされ,楽員が登場します.全員が立ったままコンマスを迎えます.こういうスタイル,ドイツのオーケストラで見た記憶があります
コンマスは女性です.そういえば,先日のアマ・オケ「ザ・シンフォニカ」も女性のコンマスでした.アマチュア・オーケストラは女性上位なのでしょうか
まったく異議ありません
1曲目のベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」は,ブラームス,メンデルスゾーンの作品とともに「三大ヴァイオリン協奏曲」と呼ばれ,その堂々たる曲想はヴァイオリン協奏曲のキング・オブ・キング的な存在です
ダーク・パープルの衣装をまとった松山冴花が指揮の飯守泰次郎とともに登場,さっそくティンパ二の5連打で曲が始まります 松山は自然な動きでベートーヴェンを奏でます.第3楽章に短いカデンツァがありますが,松山は色彩感豊かに表現しました
終演後,圧倒的な拍手 を受けた松山は,何を思ったか,舞台奥の女性ティンパ二奏者の方に行って握手を求めました
センターに戻ったかと思うと,オーボエ奏者とファゴット奏者を指名して立たせて拍手
をしていました.よほど,彼女自身,会心の出来だったのでしょう
休憩後のマーラー「交響曲第1番ニ長調」は,もともと5つの楽章(1終わりなき春,2花の章,3順風に帆を上げて,4座礁,5地獄から天国へ)から成り,「巨人」というタイトルが付けられていましたが,1896年のベルリンでの演奏時に”花の章”が外され,これらの表題やタイトルは破棄されました
飯守のタクトにより第1楽章が始まります.静かな森の中の中,カッコウの鳴き声が聞こえてきます どうも,管楽器群の調子がいま一つ乗っていないようです.徐々に調子を上げていきましたが,本調子まではいきません
舞台上をよく見ると,第1ヴァイオリンの4列目の最後部席に,先ほどソロを弾いた松山冴歌が黒のステージ衣装でヴァイオリンを弾いているのが見えました.ほとんどの聴衆は気づいていないようです
第2楽章の冒頭,低弦による力強い演奏から全体が引き締まってきました.管楽器も調子を上げてきました
第3楽章は有名な,コントラバス1本による哀愁を帯びた旋律で始まります 日本では「グーチョキパーでなにつくろう」で知られている旋律です.途中,ハープとチェロによって導かれ「さすらう若人の歌」の第4曲「彼女の青い目が」のメロディーがヴァイオリンによってやさしく奏でられます
こんなところもマーラーの魅力です
そして,第4楽章に突入します.「嵐のように激しく揺れ動いて」の副題のように,シンバル,ティンパ二の乱打,うねるような弦楽器に乗って,管楽器がテーマを高らかに奏でます フィナーレでは,ホルン8人,トランペット1人,トロンボーン1人が立ち上がり勇壮なメロディーを強奏します
マーラーの指示はホルン全員が立奏することになっていますが,飯守はトランペットとトロンボーンを追加して演奏効果を狙いました.最近はこういうスタイルが多いようです.マーラーはこの高揚感がたまらないのです
この日のマーラーは第1楽章の不振を最後の楽章で名誉挽回したといった感じでした.また新交響楽団でマーラーを聴きたいと思います