左右大透図鐔 平田
左右大透図鐔 無銘平田
簡素な仕立てながら印象の強い鐔。平滑に仕立てた素銅地の表面に鎚の痕跡を残して他に一切の文様を施さず、この鐔の魅力を最大に表わしている。これまでに甲冑師鐔や刀匠鐔を紹介したことがあるが、それと似て、表面にあるのは鎚の痕跡のみ。表面に触れた際に伝わり来る質感こそが鑑賞の要素だが、左右に大きく施された櫃穴も、実は意匠の一つである。一般に櫃穴は、小柄櫃が半円形、笄櫃が州浜形とされるが、肥後鐔の場合には大きく仕立て、形も多様で、本作以外にも、わずかに外張りの海鼠透(なまこすかし)、魚篭(びく)のような餌畚形(えふごなり)、茶器を想わせる形、笠形、擬宝珠形(ぎぼうしなり)、扇形などがある。この鐔では、特に形には特徴を持たせず竪丸形にしているが、大きいが故に存在感がある。これも円相につながるのであろうか。
左右大透図鐔 無銘平田
簡素な仕立てながら印象の強い鐔。平滑に仕立てた素銅地の表面に鎚の痕跡を残して他に一切の文様を施さず、この鐔の魅力を最大に表わしている。これまでに甲冑師鐔や刀匠鐔を紹介したことがあるが、それと似て、表面にあるのは鎚の痕跡のみ。表面に触れた際に伝わり来る質感こそが鑑賞の要素だが、左右に大きく施された櫃穴も、実は意匠の一つである。一般に櫃穴は、小柄櫃が半円形、笄櫃が州浜形とされるが、肥後鐔の場合には大きく仕立て、形も多様で、本作以外にも、わずかに外張りの海鼠透(なまこすかし)、魚篭(びく)のような餌畚形(えふごなり)、茶器を想わせる形、笠形、擬宝珠形(ぎぼうしなり)、扇形などがある。この鐔では、特に形には特徴を持たせず竪丸形にしているが、大きいが故に存在感がある。これも円相につながるのであろうか。