野鯉図鐔 二代甚吾
野鯉図鐔 無銘甚吾(二代)
散りかかる梅花に野鯉を意匠とした作。鍛え強い鉄地は鎚の痕跡が強く残されて抑揚変化があり、まさに楽焼の風合い。これも鯉の瀧昇りを暗示させるもので、表面には縦に毛彫が施されている。掌中に包み込んで鑑賞したい。微妙な鎚の痕跡による凹凸、錆、鋤彫の肌、布目象嵌のために切り施された鑢目、これに擦り付けられた銀の象嵌、これらの表面を覆う漆、すべてが指先を心地よく刺激するであろう。
決して美しい鐔ではない。図様も絵画としては決して巧みであるというわけではない。にもかかわらず我々を魅了するのは何だろう。考えることの無意味。感じ得たことこそすべてである。
数年前になるが、一年ほどの間をおいて二点の野鯉図鐔を手に採って鑑賞することができた。先に紹介した鐔と、この鐔である。比較鑑賞ができたことに感謝したい。この鐔は二代作と極められているが、鉄の鍛え強く肌合い麗しく、比較すれば切羽台辺りにわずかに錆込みがあるという程度。甚吾初二代いずれもこの図を好んでいたことが感じとれよう。
野鯉図鐔 無銘甚吾(二代)
散りかかる梅花に野鯉を意匠とした作。鍛え強い鉄地は鎚の痕跡が強く残されて抑揚変化があり、まさに楽焼の風合い。これも鯉の瀧昇りを暗示させるもので、表面には縦に毛彫が施されている。掌中に包み込んで鑑賞したい。微妙な鎚の痕跡による凹凸、錆、鋤彫の肌、布目象嵌のために切り施された鑢目、これに擦り付けられた銀の象嵌、これらの表面を覆う漆、すべてが指先を心地よく刺激するであろう。
決して美しい鐔ではない。図様も絵画としては決して巧みであるというわけではない。にもかかわらず我々を魅了するのは何だろう。考えることの無意味。感じ得たことこそすべてである。
数年前になるが、一年ほどの間をおいて二点の野鯉図鐔を手に採って鑑賞することができた。先に紹介した鐔と、この鐔である。比較鑑賞ができたことに感謝したい。この鐔は二代作と極められているが、鉄の鍛え強く肌合い麗しく、比較すれば切羽台辺りにわずかに錆込みがあるという程度。甚吾初二代いずれもこの図を好んでいたことが感じとれよう。