八橋図鐔 四代甚吾
八橋図鐔 銘 八代甚吾作(四代)
甚吾の三代目は、初二代とは異なる世界観を求め、より文様風の表現を試みていることが、遺されている作品から分かる。銘を切ることも行われるようになったため、代別の判断がより正確に行われ得る。四代目は透鐔も多く遺している。ここに紹介するのはその四代の在銘作。
『伊勢物語』東下りに記されている古歌に取材した八橋図。林にも杜若と八橋の組み合わせになる八橋図があり、これと同じ題を得ながらも構成を異にする空間表現を試みた、感性鋭い作品。造り込みはまさに甚吾のそれ。鐔面を切る直線による構成は肥後金工には少ない。引両図、檜垣文図、雷文図などが直線で構成された例であるが、林の八橋図は、巧みな組み合わせで橋の直線を直線らしくない構成に仕立てている。この鐔は、甚吾が敢えて直線のみで八橋図に挑んだ例である。□
八橋図鐔 銘 八代甚吾作(四代)
甚吾の三代目は、初二代とは異なる世界観を求め、より文様風の表現を試みていることが、遺されている作品から分かる。銘を切ることも行われるようになったため、代別の判断がより正確に行われ得る。四代目は透鐔も多く遺している。ここに紹介するのはその四代の在銘作。
『伊勢物語』東下りに記されている古歌に取材した八橋図。林にも杜若と八橋の組み合わせになる八橋図があり、これと同じ題を得ながらも構成を異にする空間表現を試みた、感性鋭い作品。造り込みはまさに甚吾のそれ。鐔面を切る直線による構成は肥後金工には少ない。引両図、檜垣文図、雷文図などが直線で構成された例であるが、林の八橋図は、巧みな組み合わせで橋の直線を直線らしくない構成に仕立てている。この鐔は、甚吾が敢えて直線のみで八橋図に挑んだ例である。□