次の繕いの依頼は、近所の私の幼なじみからのものです。
私の作った青銅釉の酒器です。
あちこち小さな欠けが出来ていました。
そのベース作りから。
ベースが固まって、手入れをした後、さあどういう仕上げにしようかと。
先ずは赤ロイロ漆の処理でどうかなと。
でも、やはり金属粉が欲しいなと、錫粉を蒔きました。
錫粉は粉固めをしないので容易ですね。
漆が渇いたころに、真綿で磨いて。
終了ですね。

この酒器の制作印を見ると、私が愛用している同様の酒器と同じころの1912年7月でした。
この酒器には「問学無方」という文字が甲骨文字で入っています。
それに刺激されて、いつも立ち呑みに持参して大変な状態になっている私の酒器の手入れをしてあげました。
これは銀粉をしっかり蒔いていますので、鯛の牙で磨き直して。
それにしても年季が入っていますね。
1912年3月の制作です。
文字は、「霊雨東鄙」です。
東北大震災の一年後の作品なんです。