旅の窓

平凡ながら列車の旅が好きで、その様子を紹介しています。
『閑雲野鶴日記』は日々の自由気ままな生活の記録。

北リアス線&SL銀河(2)完~SL銀河に乗る

2015-09-23 17:20:26 | 北リアス線&SL銀河
 SL銀河は、JR東日本が平成26年4月12日から花巻駅と釜石駅を結ぶ釜石線で、原則として釜石行きが土曜日、花巻行きが日曜日に運行されています。昨年度は4月から11月までほぼ毎週、年80日程度の運行されました。

 蒸気機関車C58 239が牽引する列車は、元々はJR北海道が50系客車を改造して製作した気動車をJR東日本が購入し、郡山総合車両センターで再改造した気動車です。
 釜石線には勾配のきつい峠越えがあって、蒸気機関車だけで牽引するのが難しいのでこのような組み合わせにしたそうです。


 外装は「銀河鉄道の夜」をイメージしていて、1両ごとに半分ずつ濃度に差をつけ、花巻寄りの1号車の明るい青色から、釜石寄りに進むにつれて色が濃くなり、「夜が明け、朝へと変わりゆく空」を表現したものだそうです。
 また、それぞれの車両には星座や動物をシンボル化したものが貼り付けられています。


 客室の内装は、ガス灯風ランプやステンドグラス風の飾り照明、南部鉄器風の荷棚や星座を意識したパーテーションが設けられ、またブラインドはカーテンを採用しています。


 1号車のシンボルはさそり座。


 運転台側には小型プラネタリウムがあり、乗車後に整理券が希望者に配布されます。




 また「銀河コレクション」と題した、賢治の作品に登場する物などが展示されています。




 2号車のシンボルはいて座。車輌の両端にはイーハトーブと宮沢賢治に関連する資料を展示するギャラリーと宮沢賢治の作品のライブラリーがあります。






 3号車のシンボルはわし座。「ソーシャルデザインと賢治」と題したギャラリーがあります。




 また、「銀河鉄道の夜」の複製原稿等が展示されたギャラリーもあります。


 4号車シンボルははくちょう座。「アーティスト賢治」と題したギャラリーがあります。


 またSLギャラリーもあります。


 このほか売店もあり、SL銀河の関連商品等が販売されています。


 釜石・花巻間を普通列車で約2時間、「快速はまゆり」だと約1時間35分で結んでいますが、「SL快速 銀河 花巻行」は、4時間25分の旅になります。
 その停車駅と時刻は次のとおりです。
釜石     10:55発
小佐野      レ   
松倉       レ   
洞泉       レ   
陸中大橋   11:27着 11:37発 
上有住    11:55着 12:00発 
足ヶ瀬      レ
平倉       レ   
岩手上郷     レ
青笹       レ
遠野     12:41着 13:54発 
綾織       レ
岩手二日町    レ
荒谷前      レ
鱒沢       レ
柏木平      レ
宮守     14:27着 14:34発 
岩根橋      レ
晴山       レ
土沢     14:54着 14:57発 
小山田      レ
新花巻    15:07着 15:09発 
似内       レ
花巻     15:20着


 改札口で、乗車記念のしおりをいただきました。


 発車に合わせて、今春開業した「ホテル フォルクローロ三陸釜石」と釜石駅の見送りもありました。




 昨日と今日、釜石駅近くで「三陸ぐるっと食堂 in KAMAISHI×B-1グランプリ」が開かれていて、会場の裏を通る列車に雨の中手を振っていました。


 車内改札をする車掌さんは、レトロな制服でした。


 チケッターもSL銀河専用の物です。


 釜石駅を出発した列車は、標高差450mあまりを徐々に登っていきます。交差する交差する高架橋は国道283号で別名「仙人峠国道」といって、この先の仙人峠を越えて足ヶ瀬を通って遠野市へ続いています。


 黒い煙を吐きながら、列車は高度を上げていきます。



 トンネルに入るときは多くの人は窓を閉めるのですが、中にはしまない方もいて御覧のとおりです。


 最初の停車駅、陸中大橋駅に到着。
 ここには、かつて釜石製鉄所へ鉱石を輸送するための釜石鉱山鉄道がり、その鉱石を積むためのホッパーが今でも残っています。


 陸中大橋駅停車中にプラネタリウムの時間になりました。部屋の前で前の回の終了を待ちます。


 この先上有住駅との間は、釜石線絶景ポイントの一つ「Ω(オメガ)ループ」です。
 標高887mの仙人峠を避けるように、曲線を描くように幾つものトンネルを通って、上有住駅に向かいます。


 トンネルを抜け、鬼ヶ沢橋梁からは今通ってきた陸中大橋駅手前の線路が下に見えます。


 釜石線最長の土倉トンネルを抜けると滝観洞観光センターが見え、間もなく標高400mにある上有住駅に到着します。


 停車するたびに蒸気機関車の点検が行われています。


 この先まだまだ登りが続きます。


 4.2kmを9分かけて登り、本来は通過する隣の標高473m足ヶ瀬駅に機関車の点検のため10分ほど停車しました。


 この先は下りになります。順調に進んで遅れを挽回し、遠野駅にはほぼ定刻どおり到着しました。
 ここでは機関車に給水などをするために、一旦客車から切り離します。



 給水や石炭の灰を始末する施設が、釜石側に作られていました。


 そして1時間13分の停車となります。
 ほぼ全員途中下車するので、観光協会のお出迎えもあります。


 カッパ伝説の遠野らしく、駅前にはカッパ池があります。


 郵便ポストの上にもカッパ。


 駅前にある遠野市観光交流センター「旅の蔵遠野」に入ってみました。


 中には食堂もあり、カッパにちなんだメニューの他に、SL運転日限定のSL関係のメニューもあるので入ってみました。




 SLラーメンを注文し、SL弁当はお持ち帰りで買いました。




 そのほかに、観光案内所、売店、休憩スペース、コインロッカーとがありますが、レンタサイクルを利用した人のためでしょうか、6分間300円のコインシャワーもありました。


 お昼を食べて、売店で買い物して、駅前を散策しても十分時間がありました。


 乗務員もSL銀河に乗る機会が少ないのか、ホームで記念写真を撮っていました。


 遠野から乗車する人も多く、機関車の周りの人は絶えません。


 遠野駅を発車した列車は、花巻駅を目指して下っていきます。


 宮守駅手前の宮守川橋梁は「めがね橋」として列車の撮影ポイントとして有名です。車内からは5連のアーチをよく見ることはできませんが、その雰囲気は伝わってきます。


 橋の脇に見える橋脚跡は、「銀河鉄道の夜」のモデルとなった岩手軽便鉄道の橋脚です。




 次に停車する土沢駅は、「銀河鉄道の夜」のモデルとなった岩手軽便鉄道の始発駅でした。


 最後の停車駅は、新幹線への乗換駅の新花巻駅。


 釜石線のホームは1面のみ。
 銀河をイメージした装飾でした。




 花巻駅到着。ここでもお出迎え。





 花巻駅からは、東北本線 普通 盛岡行の乗ります。
花巻     15:32着 15:33発  
花巻空港   15:37着 15:38発  
石鳥谷    15:42着 15:42発  
日詰     15:47着 15:47発  
紫波中央   15:50着 15:51発  
古館     15:54着 15:55発  
矢幅     15:58着 15:59発  
岩手飯岡   16:03着 16:03発  
仙北町    16:07着 16:07発  
盛岡     16:12着


 盛岡駅で東北新幹線 はやぶさ23号 新青森行に乗り換え。
盛岡     16:33着 16:37発
いわて沼宮内   レ
二戸       レ
八戸     17:04着


 最後は、八戸駅から青い森鉄道 普通 青森行に乗り換えました。 
八戸     17:13発   
陸奥市川   17:19着 17:20発
下田     17:23着 17:24発
向山     17:28着 17:28発
三沢     17:32着 17:33発
小川原    17:38着 17:38発
上北町    17:41着 17:42発
乙供     17:47着 17:47発
千曳     17:52着 17:53発
野辺地    17:59着


 夕食はSL銀河の車内で購入したお弁当。 
 遠野駅ではSL運転日限定で弁当・仕出しの「藤屋」さんが駅弁を販売しています。
 原則ホーム売りなのですが、釜石発の列車では車内でも買うことができます。
かっぱ弁当は、陶器でできたかっぱの器に入っています。SL銀河にちなんでにんじんは星形になっています。






 遠野牛弁当は、遠野牛を、冷めても美味しくいたいただけるように時雨れ煮にしてあります。にんじんは蒸気機関車の形になっています。




 おしまい

北リアス線&SL銀河(1)~北リアス線で釜石へ

2015-09-22 09:33:36 | 北リアス線&SL銀河
 そもそもの発端は、旅行社が募集したツアーが定員割れで催行しないことになったため、その指定券をいただき乗ることになったのです。
 さて、 「SL銀河」に乗るだけなら日帰りも可能なのですが、今年はまだ三陸を訪ねていないので、この機会に八戸線・北リアス線経由で釜石まで行くことにしました。


 平成27年8月29日、青い森鉄道で八戸に向かいます。平成22年12月4日、青森駅までが第三セクターの青い森鉄道になり5年がたとうとしているのに、不思議なことに駅中心や踏切など距離を示す標識は全て国鉄・JR時代からの東京駅起点のままで示されています。


8月29日 青い森鉄道  普通 八戸行
野辺地   06:18着 06:19発
千曳    06:24着 06:25発
乙供    06:30着 06:30発
上北町   06:35着 06:36発
小川原   06:39着 06:40発
三沢    06:45着 06:45発
向山    06:49着 06:50発
下田    06:54着 06:54発
陸奥市川  06:58着 06:58発
八戸    07:06着



 以前は観光地でよく見られた記念撮影用の顔出しパネル。一時見かけなくなったと思っていたのですが、最近は駅でよく見かけるようになりました。


 八戸駅で、八戸線久慈行きに乗り換えです。
八戸線 普通  久慈行
八戸    07:12発
長苗代   07:16着 07:17発
本八戸   07:21着 07:22発
小中野   07:24着 07:25発
陸奥湊   07:28着 07:28発
白銀    07:31着 07:33発
鮫     07:35着 07:36発
陸奥白浜  07:44着 07:44発
種差海岸  07:47着 07:48発
大久喜   07:51着 07:52発
金浜    07:55着 07:55発
大蛇    07:58着 07:58発
階上    08:01着 08:03発
角の浜   08:06着 08:06発
平内    08:10着 08:10発
種市    08:13着 08:14発
玉川    08:18着 08:19発
宿戸    08:22着 08:22発
陸中八木  08:26着 08:27発
有家    08:31着 08:32発
陸中中野  08:36着 08:37発
侍浜    08:48着 08:49発
陸中夏井  08:57着 08:57発
久慈    09:02着

 キハ40型2両+キハ48型1両の3両編成です。
 ワンマン運転で無いため車掌さんが乗務しています。今日は2人乗っていました。


 いつもなら土曜日でも高校生が結構乗っていて、白銀駅までは座れないこともあるのですが、今日はすいていました。

 
 途中の階上駅の駅前には、腕木式信号機が保存してありました。
 ここ八戸線は、JRで最後まで腕木式信号機が使われていた路線です。
 ちなみに現在でも腕木式信号機が使われているのは、津軽鉄道だけのようです。


 曇天ですっきりとして車窓が望めません。


 それでなくても八戸線の車両は老朽化が激しく、窓ガラスには積もり積もったさびなどが付いていて、天気が良くても曇りに見える窓です。
 このためJR東日本では、初めて公募方式で18両の車両を平成29年度以降更新すそうです。


 2時間ほどで久慈駅に到着。


 久慈で1時間少々時間が合ったので、久慈駅前にある空き店舗を利用した「もぐらんぴあ まちなか水族館」に行ってきました。
 「もぐらんぴあ」とは、久慈市にある石油備蓄基地の作業用トンネルを使った日本初の地下水族館のことですが、東日本大震災で被害を受け現在は休業していますが、被災から生き残った生物の他、もぐらんぴあの応援団長である「さかなクン」から寄贈された魚をここで展示しています。
 本来の「もぐらんぴあ」は今年秋に、再建の予定だそうです。






 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で話題となった「駅前デパート」。老朽化のため撤去する方針という情報が流れて久しいのですが、どうも老朽化で取り壊すのではなく、中心市街地の活性化のために駅前に広場と複合施設を整備する一環として解体・撤去をするようです。


 三陸鉄道北リアス線で宮古に向かいます。


 三陸鉄道 北リアス線 普通 宮古行
久慈   10:35発
陸中宇部 10:43着 10:44発
陸中野田 10:48着 10:48発
野田玉川 10:54着 10:54発
堀内   11:02着 11:03発
白井海岸 11:10着 11:11発
普代   11:15着 11:15発
田野畑  11:25着 11:26発
島越   11:30着 11:31発
小本   11:40着 11:40発
摂待   11:45着 11:45発
田老   11:54着 11:54発
佐羽根  11:59着 11:59発
一の渡  12:04着 12:04発
山口団地 12:10着 12:10発
宮古   12:14着



 今日乗るのは、昭和初期の時代をイメージしたレトロタイプの車輌です。


 車内は木目の壁と床、天井にはシャンデリア、そして壁灯もあります。


 トンネルに入るとこのようになります。


 久慈駅を出発した列車は、陸中野田駅で昨年の北リアス線の全線運行再開を記念して、イオンの電子マネー「WAON」のキャラクターが描かれた列車と行き違いになりました。



 陸中野田駅を出ると間もなく海沿いに出ます。昨年までは盛り土の工事が中心に行われていましたが、今年は防波堤の本体の工事が進んでいました。




 野田玉川駅と堀内駅の間にある高さ33m長さ302mの安家川橋梁は、北リアス線の絶景ポイントの一つで、橋梁の中ほどで数分停車します。


 山側にある下安家漁協のサケ・マスふ化場施設の復旧工事は今年も続いていました。


 堀内駅と白井海岸駅の間にある大沢橋梁でも1分ほど停車しました。


 山側には、国道45号に架かる堀内大橋が見えます。


 白井海岸駅は「海岸」と名前が付くものの標高は63mで、駅からは海岸を見ることはできません。




 白井海岸駅を出ると海岸線とは離れて普代駅まで下っていきます。


 田野畑駅からは、三陸鉄道の車輌と同じデザインの、平井賀水門の水門制御室が見えます。


 島越駅は東日本大震災の津波で、駅舎の土台、階段の一部等を除き駅舎、ホーム、高架線路の全てを失ったところで、昨年4月の全線復旧時点でも駅舎は工事中で完成していませんでしたが、現在は新しい駅舎が使用されていました。
 現駅舎も、初代駅舎のように八角形の塔屋をもつ形になっています。


 小本駅は建て替え工事が行われていました。
 今までの駅舎は小本観光センターの1階に切符売り場と売店があり、2階は子ども図書館になっていましたが、新しい駅舎は鉄筋3階建てで、1階に切符売り場や売店、役場支所が入り、2階が診療所と津波資料室、3階の集会室には飲料水や非常食、毛布などを備蓄して避難所の機能ももたせるそうです。
 また、岩泉町としてはJR岩泉線が廃止され、鉄道の駅名から「岩泉」の名前が消えるため、三陸鉄道小本駅が鉄道としての町の玄関口になるので、来年1月から「岩泉小本駅」に改名する予定だそうです。


 田老駅手前には、三陸鉄道を応援する地元企業の看板もありました。


 田老駅から終点宮古駅までは、約8割近くがトンネルの内陸を進みます。


 宮古駅から釜石駅まではJR山田線ですが、震災の復旧工事はまだ始まっていません。
 復旧工事が済み次第、三陸鉄道に移管する方向で話し合いが進められているようです。
 そのため、この先釜石まではバスで移動します。
 岩手県北バス 船越行
宮古駅前     13:30発
信金前      13:33発
藤原三丁目    13:37発
市民会館前    13:38発
上磯鶏      13:39発
磯鶏       13:40発
商業高校前    13:41発
高浜一丁目    13:43発
高浜小学校下   13:45発
川帳場      13:50発
津軽石      13:53発
津軽石新町    13:54発
繋向       13:59発
豊間根      14:03発
山田仮説診療所  14:08発
大沢川向     14:13発
柳沢       14:17発
山田中央町    14:21発
山田郵便局前   14:24発
織笠大橋     14:26発
道の駅やまだ   14:30着
 座席の4分の1程度の乗車で出発しました。


 発車してすぐに睡魔に襲われ、気がつけば山田湾が見えていました。


 ここでも、防波堤の工事が進んでいました。




 道の駅やまだで、今乗ってきたバスを降り乗り換えになります。




 次のバスは、岩手県交通バス 上大畑行です。
道の駅やまだ   15:43発
船越駅前     15:44発
山の内      15:45発
四十八坂     15:48発
浪板       15:53発
浪板海岸     15:54発
吉里吉里     15:55発
吉里吉里一丁目  15:57発
大槌横      16:02発
中央公民館入口  16:06発
城内       16:07発
マスト前     16:08発
片岸       16:13発
大浜渡橋     16:14発
寺前       16:15発
鵜住居      16:16発
新川原      16:17発
両石       16:20発
水海海岸     16:21発
天神町      16:26発
岩手銀行前    16:28着


 「道の駅やまだ」から下ってくると、浪板海岸が見えてきます。


 山田線吉里吉里駅付近では、かさ上げ工事が進んでいました。


 大槌町の中心部には、復旧工事が始まらない山田線の橋脚が残されていました。


 大槌町旧庁舎。保存か解体から論議されていましたが、一部保存されるようです。


 釜石市に入ると、「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界遺産に登録された橋野鉄鉱山への案内板がありました。しかし、ここからは30kn以上も離れているようです。


 両石湾に注ぐ川の防潮堤は、まだ半分しか完成していません。


 製鉄所からの煙が見えてくると間もなく釜石市の中心部です。


 今日はここ釜石で1泊します。つづく。