物置代わりにしていた古い家を解体するために物を整理していたら、1970年代半ば過ぎ、学生時代に購入した駅弁の「掛紙」が二十数種類出てきました。
当時は駅弁の写真を撮ってもいないので、駅弁そのものの内容はほとんど思い出せませんが、掛紙を見ていると何故そこで駅弁を買ったのかという記憶が蘇ってきました。
「みちのくの香 南部季節弁当」は、盛岡駅で駅弁の製造・販売していた村井松月堂の駅弁です。
1976年(昭和51年)7月24日から2泊3日で、山形県の「つるおかユースホステル」で開かれた「第12回東北ユースラリー」に参加しました。
終了後同じく参加した福島県の吉川さんと、「南ざおうユースホステル」「まつしまユースホステル」に宿泊しながら旅をした帰り、8月1日に盛岡駅で購入したものです。
掛紙に載っている石川啄木の歌「やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに」は、歌集「一握の砂」に載っている、「やわらかく柳の芽が青く色づいた北上川の岸辺が目に見えるようだ。いかにも思郷の涙をさそうかのように」と解釈される、故郷渋民を忍んで詠んだものです。
国鉄時代から交通の要衝であった盛岡駅には、「村井松月堂」の他「むつ弁」「ウェルネス伯養軒盛岡支店」「日本レストランエンタプライズ」と、4社の駅弁製造・販売業者が存在しましたが、現在は全て撤退もしくは廃業しています。
現在販売されているのは岩手県内の他、青森県や秋田県など他県の物も多種類販売されています。