26日、都議会財政委員会がひらかれ、「消費税率の引き下げを求める意見書の提出に関する請願」の審査が行われました。
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コロナ禍による影響とともに、2019年10月に行われた消費税増税と合わさり、都民生活や中小企業、小規模事業者にとっては二重苦になっています。
消費税は、どれだけ生活に困ってもかかる過酷な税金です。
私は、コロナ禍で生活困窮となった方々の困窮支援の現場に通ってきました。支援の現場の方々が異口同音に語っているのは、女性や若い人たちが支援の現場に来るということです。「食料支援があると知り、1時間以上かけて自転車に乗ってきた。これで数日はなんとかなる」とホッとした表情で話してくれた20代の方、「仕事がなくなり先週からネットカフェ生活になった」「3日前から野宿になった」「所持金が数百円しかない」など、深刻かつ切実です。こうした方々も一律に消費税を負担することになります。
ひとり親家庭の実態も極めて深刻です。当事者団体の調査では、仕事や収入が減ったと答えた方は7割にのぼります。節約方法として、「おやつをなくす」「ご飯はおかゆで量を増やす」「子どもたちにも今は2食で我慢してもらい、私は2食に1食が当たり前」などの回答が寄せられています。
消費税というのは、無収入であっても、暮らしが困窮していても、生きている限りかかる税金であり、貧困と格差をただす立場からも極めて不公平な税制です。
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Q 消費税は所得の低い人ほど負担が重い逆進性がある。認識を伺う。
A 消費税は、低所得者層の税負担が相対的に高くなる逆進性があるとの指摘がある一方で、世代間の公平を確保することができる税とも言われている。消費税率の引き上げに伴う低所得者対策として、令和元年10月から軽減税率制度が導入されている。
この答弁は、本当に驚きです。
食料品と新聞の軽減税率をやったから低所得者対策になっているというのは、あまりにも現実離れしています。
世代間の公平を確保すると言いますが、負担が特定の世代に集中しないのは、収入のある現役世代だけでなく、収入がないか、あっても少ない高齢者にも課税するからです。
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消費税は「社会保障費の重要な財源」という答弁もありました。
しかし、 新型コロナ感染症の拡大で医療の逼迫(ひっぱく)が広がるなか、消費税を財源とした補助金で病床削減を進められています。今年度は195億円が計上され、削減される病床は単純計算で1万床規模にのぼります。医師や看護師の体制後退にもつながります。さらに今後、高度急性期・急性期を中心に約20万床も削減する計画であり、これひとつとってみても、きわめて重大です。
元々消費税は、直間比率の見直し、すなわち、法人税や所得税などの直接税を減らして消費税のような間接税を増やしたいという新自由主義的な税制改革として財界を中心に打ち出されたものです。
1989年の消費税創設以来の33年間で、消費税の総額は448兆円にものぼりますが、ほぼ同じ時期に、法人三税は(89年度のピーク時に比べて)323兆円、所得税・住民税も(91年度のピーク時に比べて)286兆円も減ってしまいました。合わせるると609兆円です。消費税は、その穴埋めに消えてしまっています。
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世界では、コロナ対策のために消費税(付加価値税)の何らかの減税を実施したか、今後実施しようとしている国が62か国にものぼっています。コロナ禍で雇用と営業を守る緊急対策を急ぐとともに、国民の負担を軽減するために消費税の減税を決断することが求められます。
この請願は、残念ながら自民党や公明党などの反対多数で、不採択とされましたが、消費税がいかに低所得者にとって重たい税であるのか、社会保障財源として相応しくないのかは議論ではっきりしたと思います。
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