東京都こども基本条例(以下、「こども条例」)が都議会で審査されています。
「こども条例」は、公明党、自民党、東京みらい、生活者ネット、維新の会の5会派が共同で提案されました。
日本共産党都議団は、これまでも東京都が「子どもの権利条例」を持つことが重要だと求めてきました。
今回、「こども条例」が提案されるにあたり、東京から国連子どもの権利条約を実現する子どもの権利を明確にすることをはじめ、「よりよい」ものにしようと議論してきました。
都議会という議会制民主主義の場で意見を交わすことは、都民の付託に応えるものだと思います。
■「こども条例」をよりよくするための修正案
「こども条例」が議論される、厚生委員会のメンバーは次の通りです。
委員長 |
のがみ純子(公) |
副委員長 |
桐山ひとみ(都) 白石たみお(共) |
理事 |
柴崎幹男(自) 谷村孝彦(公) もり愛(都) |
委員 |
森澤恭子(み) やまだ加奈子(自) 藤田りょうこ(共) 小宮あんり(自) まつば多美子(公) 鳥居こうすけ(都) 岡本こうき(都) 伊藤ゆう(都) |
厚生委員会のメンバーのうち「こども条例」の提案会派は、公明党、自民党、東京みらい。
一方、提案会派でないのは、日本共産党と都民ファーストの会となります。
15日に行われた、厚生委員会では、公明党の谷村理事とまつば委員から提案理由説明が行われ、その後質疑が行われました。
質疑に立ったのは、都民ファーストの会の桐山副委員長と日本共産党の藤田委員。
厚生委員会の質疑の模様は、コチラからご覧いただけます。
→https://www.gikai.metro.tokyo.jp/live/(常任委員会・特別委員会→録画映像厚生委員会→令和3年3月15日→03:17あたりから)
日本共産党都議団は、議論を積み重ねてきましたが、質疑の結果も踏まえて、修正案を準備し各会派に対してもお示しをしてきました。
修正案を提案する場合に、提案者はそこに加わることが基本的にできませんので、結果として日本共産党都議団は都民ファーストの会と協議することになります。
様々な議論はありましたが、結果として日本共産党と都民ファーストの会で修正案を提案することで合意。
修正案は次の3つの視点から作られています。
①子どもの権利の明確化
②東京都の責務の明確化
③実効性の担保
「よりよい」ものにしようという立場で作成ました。
その修正案がコチラです。(赤字が追加、取り消し線が削除)
議員提出議案第三号 東京都こども基本条例(案)に対する修正案
前文 |
東京が持続可能な発展を続けていく原動力は、時代を切りひらく「人」であり、今と未来を担うこどもは、人が輝く東京の活力の源泉である。 こどもは、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である。 社会の宝であるこどもは、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要がある。 こどもの権利条約(児童の権利に関する条約をいう。以下同じ。)では、こどもに対するあらゆる差の 禁止、こどもの最善の利益の確保、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重を一般原則としている。 全てのこどもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならない。 「こどもを大切にする」視点から、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもの目線に立った政策を推進していくことは、様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命である。 また、新型コロナウイルス感染症は人々の生活に大きな変化をもたらし、とりわけこどもへの影響は顕著である。いかなる状況下においても、こどもの幸福を追求していくことが何より重要であり、東京都がなすべき責務を明らかにしなければならない。 こうした認識の下、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定め、こどもの健やかな成長に寄与することを目指し、この条例を制定する。 |
(目的) 第一条 |
この条例は、こどもの笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都(以下「都」という。)が取り組むべき施策の基本となる事項を定めることにより、こどもの健やかな成長に寄与することを目的とする。 |
(定義) 第二条 |
この条例において「こども」とは、十八歳に満たない者をいう。なお、こどもに関する施策の実施に当たっては、次条の基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとする。 |
(基本理念) 第三条 |
こどもは大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であるとの認識の下、こどもの権利条約の精神にのっとり、こどもを権利の主体として最大限に尊重し、こどもの最善の利益を最優先とすることで、全てのこどもが、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体でこどもを育む環境を整備していかなければならない。 |
(こどもの権利) 第四条 |
都は、こどもの生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利を保障し、擁護するための施策を推進するものとする。 |
(こどもにやさしい東京の実現) 第四五条 |
都は、社会全体でこどもを育み、こどもにやさしい東京を実現するため、こどもの目線に立った施策を率先して推進するものとする。 |
(こどもの安全安心の確保) 第五六条 |
都は、こどもを犯罪、事故その他の危害から守るため、こどもの安全と安心の確保に必要な施策を推進するものとする。 |
(こどもの遊び場、居場所づくり) 第六七条 |
都は、こどもが伸び伸びと健やかに育つことができるよう、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)と連携して、こどもが過ごしやすい遊び場や居場所づくりなど、環境の整備を図るものとする。 |
(こどもの学び、成長への支援) 第七八条 |
都は、こどもの学ぶ意欲や学ぶ権利を尊重し、こどもの可能性を最大限に伸ばすことができるよう、一人一人の個性に着目し、自立性や主体性を育むために必要な環境の整備を図るとともに、こどもに寄り添ったきめ細かな支援に取り組むものとする。 |
(子育て家庭、こどもに寄り添った多面的支援) 第八九条 |
都は、様々な不安や悩みに直面する子育て家庭を支援するため、特別な支援や配慮を要するこども及び社会的養育を必要とするこどもへの施策をはじめ、多様な子育てと働き方のための環境の整備、専門的な相談、情報提供その他の状況に応じた適切な取組等、多面的な支援に努めるものとする。 |
(こどもの意見表明と施策への反映) 第九十条 |
都は、こどもを権利の主体として最大限に尊重し、こどもが社会の一員として意見を表明する権利が保障されことができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、必要な措置を講ずる環境の整備を図るものとする。 |
(こどもの参加の促進) 第十十一条 |
都は、こどもが社会の一員として尊重され、年齢及び一人一人の発達段階に応じ、学校や地域社会等に参加することができるよう、必要な措置を講ずる環境の整備を図るものとする。 |
(こどもの権利の広報・啓発) 第十一十二条 |
都は、こどもの権利及び利益の尊重に関する広報その他の啓発を推進するものとする。 |
(こどもからの相談への対応) 第十二十三条 |
都は、こどもの不安や悩みを解消できるよう、こどもからの相談に対応する体制の充実並びに家庭、学校、地域社会及び関係機関等との連携強化に努めるものとする。 |
(こどもの権利の救済) 第十四条 |
都は、こどもの健やかな成長を支援するため、権利侵害その他の不利益を受けた場合において、こどもの救済を図ることができるよう、専門的知見に基づいて適切かつ迅速に解決されるようにするために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 |
(こどもの権利擁護) 第十三十五条 |
都は、国、区市町村その他の関係機関と連携し、社会状況の変化に応じ、こどもの権利及び利益を擁護するための体制の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。 |
(こどもに関する計画の策定) 第十四十六条 |
都は、こどもに関する計画を策定するに当たっては、第三条の基本理念にのっとるものとする。 |
(こども施策を総合的に推進する体制の整備) 第十五十七条 |
都は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。 |
(財政上の措置) 第十六十八条 |
都は、こどもに関する施策を総合的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 |
附 則 |
(施行期日) 1 この条例は、令和三年四月一日から施行する。 (検討) 2 この条例の施行後三年を経過した場合において、この条例の施行の状況及びこどもを取り巻く状況等について検討し、時代の要請に適合するものとするために必要な措置を講ずるものとする。 3 前項の検討を行うに当たっては、こどもの意見を反映させるため、こどもの意見を聴く機会を設けるものとする。 |
(提案理由) |
こどもの権利条約を東京で実現するために、こどもの権利を明確にするとともに、その権利の救済の実効性を高める必要がある。 |
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■厚生委員会の審議がストップ…
厚生委員会の理事会に修正案を示したのは、18日。
この日は、委員会が召集されており、予算案に関する意見開陳、知事提出の議案と「こども条例」を含む議員提出議案について、付託議案の採決が行われる予定でした。
理事会の中で、協議のため会派に持ち帰りたいとの意見があり、休憩となりました。そのまま理事会は再開されず、休憩が続いています。現在まで厚生委員会も開かれていない状態です。
修正案について、検討する時間が必要だということには道理があると思います。
一方で、予算案に対しての意見開陳(委員会での意見は予算特別委員会の委員長に報告することになっている)や「こども条例」以外の付託議案については、採決を行うことが筋だと思います。
日本共産党と都民ファーストの会は、19日に「厚生委員会招集請求について」を行いました。
さまざまな意見が飛び交っておりますが、「政局」ではなく、「政策」の議論をすることが必要です。
東京から、子どもの権利条約を実現する流れをひらくために、全力をつくしたいと思います。
以下のPDFをクリックしていただくと、PDFでパンフレット全体を見ることができます。
ぜひ、ご覧ください。
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