日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

日本共産党東京都議会議員の池川友一のオフィシャルブログです。地方政治の現場からいろいろと発信していきます。

イジメ問題を構造的に学ぶ──『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』を読んでみた⑻

2018-04-30 | 学んだこと、政策のこと

 いじめについて、社会科の授業で扱うということも、日本の教育とは違う点です。そして、その内容がいじめる側、いじめられた側の両側面から書かれています。実際には誰もが傷つけられたり、傷つけてきた(もしくはこれからその可能性がある)ことを前提として書かれているというのも特徴です。

■何がイジメなのか──その構造についても丁寧に解説

 イジメについて、踏み込んだ記述をしていることも驚きでした。少し長いですが、引用します。

何がイジメなのでしょうか?

 みなさんは、おそらく学校でイジメについて話し合ったことがあると思います。それではイジメという言葉の意味を知っていますか?
 イジメとは、怒らせたり、馬鹿にしたり、おどしたり、仲間外れにしたり、暴力を振るったりすることです。一度きりではなく、何度も行われます。
 常に、いじめる側といじめられる側がいます。イジメが行われたかどうかは、そのような目にあった人がどのように感じたか、ということによって決まります。なぜなら、いじめた側の多くは、謝らずに「ただの冗談だよ。誰も傷つけようと思ったわけじゃないよ」というからです。

いろいろな方法によるイジメ

 イジメについて話し合うためには、イジメそのものをいくつかのタイプに分けることが大切となります。
精神的なイジメ──誰かの背後でため息をついたり、表情や身振りによって馬鹿にする、あるいはネットのグループから締め出すなどして、とても寂しい気持ちにさせる。
言葉によるイジメ──嘘やうわさ話、誰かについての誤った評判を広める、あるいは誰かのことをあまりよくない名前で呼ぶ。
身体的なイジメ──誰かを叩いたり、蹴ったり、押したりする。
 初めの二つのタイプのいじめは女子の間で多く、身体的なイジメは、男子がよく被害にあいます。

グループが機能しないとき

 大人でも子どもでも、イジメがもっとも起こりやすいのは、人が自分で選んだわけではないグループに入ったときです。学校のクラスが、そのようなグループになるときがあります。うまく機能しているクラスはたくさんありますが、クラスでイジメがあるというのは、そのクラスというグループがうまく機能しておらず、生徒たちが不安を感じている証明となります。
 生徒のなかには、自分より弱いクラスメートを攻撃しようとする人がよくいます。グループのなかには、それを決定するリーダーがいます。ほかのクラスメートは、自分がいじめられることを恐れて、そのリーダーに従います。グループのなかで「その他大勢」となっている人たちは、「グループの圧力」を受けるものなのです

声をあげましょう!

 いじめられて嬉しい人はいません。そのことを、口に出して言うことが大切です。そうすれば、誰か大人の人、支えてくれる友人、兄弟姉妹、両親などの助けを得ることができます。声を上げることはとても大切なことです。
 あなたがいじめられていると感じたら、大切なことは、何をあなたがするかではなく、あなたが何かをすることです。そして、忘れてはいけないことは、イジメが起こるのは、いじめられた子どもが過ちを犯したからではない、ということです! 誰もが幸せになる権利を持っているのです

いじめる側

 いじめる側も、いじめられる側と同じように不安を抱えていることがよくあります。いじめる側は、誰かをねたんでいたり、気分が悪かったりすることがあります。イジメをしている人は、ほかの人がどのように感じるかについて理解しにくいということが多いです。
 力や管理が、イジメの説明の一部に含まれることもあります。いじめをするグループのリーダーは、そのグループのメンバーに力を及ぼしています。グループのメンバーは、一緒になって、イジメの対象となった人の行動を管理することもあります。(77〜79ページ)

 なぜイジメが起こるのか、その時にどうすればいいのか──。改めて書きますが、これは何かイジメの専門書やイジメの問題に特化した本ではなく、小学校社会科の教科書です。

 イジメは重大な人権侵害であり、許される行為ではありません。しかし、「だめなもの」出会っても実際にはイジメが起こっています。だからこそ、イジメはどういう状況下で起こりやすいのかなど、構造の問題について考えさせるということはとても重要だと思います。

 「イジメが起こるのは、いじめられた子どもが過ちを犯したからではない、ということです! 誰もが幸せになる権利を持っているのです」というメッセージをしっかりと発信していることも注目したいところです。また、いじめる側の同調圧力についても書かれていることはとても大切だと感じました。

 「イジメが行われたかどうかは、そのような目にあった人がどのように感じたか、ということによって決まります。なぜなら、いじめた側の多くは、謝らずに『ただの冗談だよ。誰も傷つけようと思ったわけじゃないよ』というからです」という部分は、この間日本で起こっている「セクハラ問題」「MeToo」などとも通じるところがあります。

 こうした問題提起を受けて、子どもたちが学び合うことを重視しているように感じます。自分はこう思う、こう考えるということを大切にしているのからこそ、最初から一つの答えを導き出すという学び方とは一線を画するのだと思います。

■中学校の教科書──「あなた自身の社会」

 その後は、ネット上のいじめに話が進んでいきます。

 別の本になりますが、スウェーデンの中学教科書「あなた自身の社会」でも、同調圧力などについての記述があります。

 この本から学ぶこともとても多いですが、ここでは紹介のみとします。

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第41回武相マラソン大会──新緑の町田を颯爽と駆ける

2018-04-29 | 町田市政・市議会のこと

 第41回武相マラソンの開会式に出席しました。

 全国津々浦々から2000人を超えるランナーが集い、町田の丘陵地を駆け抜けるマラソン。

 清々しい天気でしたが気温が上がり、マラソンをするには◎とはいきませんでしたが新緑の中を駆けていくランナーに声援を送りました。

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どこに相談するかが教科書に書いてある──『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』を読んでみた⑺

2018-04-28 | 学んだこと、政策のこと

 いじめ、虐待など、子どもたちが直面する問題についても、丁寧に書かれています。

子どもが嫌な思いをしたときは

 生きるというのは素晴らしいことですが、時には辛いこともあります。BRSI(社会における子どもの権利)という機関は、嫌な思いをしたという子どもや若者から毎日相談を受けています。相談の内容は、「よく眠れない」とか「学校で活動するのが辛い」とか、「食べるのが辛い」とか、逆に「食べすぎてしまう」などです。
 問題の原因は、いろいろなことがあり得ます。両親が子どもの面倒を見ようとしないということもあります。この場合、両親たちも嫌な思いをしているかもしれません。失業中だとか、経済的な問題を抱えているとか、アルコール中毒であるとかなどです。あるいは、なぜか理由が分からぬまま悲しみを感じていることもあります。

子どもが支援を得られる場所

 子どもオンブズマン(BO)は、国際連合による「子どもの権利条約」に定められた、子どもの権利を守るために活動している国の機関です。辛い思いをしている子どもたちに対して、BOは次のようなアドバイスをしています。
両親、先生、おばあさん、学童の先生など、あなたが信頼している大人たちと連絡を取りましょう。

    • BRISに電話をして(番号116111)、誰かに話を聞いてもらいましょう。
    • 青少年赤十字に電話して話したり(番号0771-900800)、m.jourhavandekompis.seでチャットしたりしましょう。
    • 保健の先生や学校の相談員、学校の心理士に連絡を取ることもできます。

BRIS(社会における子どもの権利)

 BRISは、困難を抱えている子どもを支援するための機関です。BRISは1971年に創設されました。
 恐らく、問題の解決をするためのもっともよい方法は、それについての話をすることです。そこでBRISは、電話やメール、チャットで担当者と話ができるような体制を整えています。
 BRISに連絡したとしても、自分の名前をいう必要はありません。会話を記録されることもありません。ですから、あなたがBRISに電話をしたということは誰にも分かりません。もちろん、電話料金もかかりません。(72〜73ページ)

 NPOの活動でなく、国の機関が子どもたちの相談を受けていることが教科書に書かれていることは、相談のハードルを下げることに大きく役立っていると思います。しかも電話番号まで記されていたり、相談した人の情報を守ることまで具体的に書かれていることは、安心して相談できる要素となりえます。

 これを受けた大学生が、「私も小学校の時にいじめられたことがあるけど、それまでイジメは他人事だと思っていたから、誰かに相談するきっかけや勇気がなくて、結局一年間学校に行けなかった。だから、イジメを個人や道徳の問題だけに留めず、こうして社会問題として社会の授業で扱うことは、きっとスウェーデンの小学生にもよい影響を与えていると思う」と語っています。

 さらに別の大学生が「学校のなかだけに留めず、ほかにもこんな助けがあるんだって、さまざまなつながりを教えてもらえれば、日本の子どもたちも自ら命を絶つことをしないかもしれない」と話しています。

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歴史に刻まれる南北首脳会談

2018-04-27 | 国政のこと

 南北首脳会談を見て、一年前にこの情景を想像できていた人がどれだけいたでしょうか。

 「対話こそ必要だ」と街頭でも、集会でもくり返ししていましたが、その都度「対話は理想論だ」「相手を叩きのめすしかない」という声を少なからず聞きました。

 丁寧にやり取りを重ね、核戦争になる可能性があり、以前とは異質の危険性があることを共有しつつ、憲法9条を持つ国として積極的に対話を進める以外にないことを語ってきました。

 とはいえ、私自身もこの方向しかないと思う一方で、どんな事態になるかは断言することはできませんでした。

 今回の南北首脳会談と「板門店宣言」は、とても感慨深く、喜びを噛み締めています。

 日本が「蚊帳の外」という声も出ています。安倍政権が外交でも行き詰まりを見せていることは、明らかです。

 日本共産党は、北東アジアの平和の問題を重視し、一貫して「米朝直接対談」を求め、具体的な行動を取ってきました。

 

 志位委員長が「歴史的な南北首脳会談と「板門店宣言」を心から歓迎する」を発表しました。以下、その全文です。

一、韓国(大韓民国)の文在寅大統領と、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の金正恩国務委員長が本日、板門店の韓国側施設で南北首脳会談を行った。
 金委員長が北朝鮮指導者として歴史上初めて韓国側に足を踏み入れ、文大統領は、そのことによって「板門店は分断の象徴ではなく、平和の象徴になった」と述べた。今回の南北首脳会談は、文字通りの歴史的会談となった。

一、両首脳は、「板門店宣言」に署名し、その中で「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現する」「(朝鮮戦争の)終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で堅固な平和体制構築のための南北米3者または南北米中4者会談の開催を積極的に推進していく」「民族的和解と平和繁栄の新たな時代を立ち起こし、南北関係をいっそう積極的に改善し発展させていく」ことなどに合意した。
 「板門店宣言」は、朝鮮半島の非核化と、北東アジアの平和体制の構築に向けた大きな前進である。日本共産党はそれを心から歓迎する。

一、今回の合意が履行され、73年間に及ぶ南北分断と対立が解消に向かい、南北の人々が平和と繁栄のなかで暮らせるようになり、統一に向かうことを心より願う
 文大統領自身が、今回の首脳会談を米朝首脳会談への「道案内」と位置づけているように、南北、米朝の二つの首脳会談は密接につながっている。南北首脳会談の成果を踏まえ、米朝首脳会談が大きな成功をおさめることを、強く期待する。

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学校における決定に影響を与えることができる──『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』を読んでみた⑹

2018-04-26 | 学んだこと、政策のこと

 次に、学校の話になります。

 日本で学校といえば歴史の授業で「寺子屋」とか「学制発布」とかは習うかもしれませんが、学校についてどう言う場であるかは学ぶ機会はないように思います。スウェーデンでは、家族に続いて、子どもたちの日常生活の中から学ぶということが貫かれています。

 ここでも、昔の学校の現状について従わない子どもは指示棒で叩けれていたこと、そのため「先生を怖い」と思っていたことなどが書かれています。

 続いて、現在の学校(民主的な学校と表現されています)について書かれています。

民主的な学校

 昔と今の学校では、似ているところもあります。たとえば、読み、書き、計算が大切であることは、昔も今も変わりません。
 ただし、今の学校では、生徒の意見を聞き、彼らと話し合い、彼らにかかわる決定に影響を与えるのが先生や職員の仕事となっています。この点は、昔とは違う大切なことです。
 このような「聞いてもらう権利」は、学習指導要領に定められています。つまり、すべての生徒は、生活に関する規則について話し合い、決定することなどができるのです。
 学校における決定に影響を与えることができるというのは、大切なことです。そこで生徒たちは、民主制の機能の仕方を理解するのです。学級会では、民主制の練習をすることができます。そこでは、すべての生徒が自分の意見を表明する権利(表現の自由)をもっています。民主制はまた、もっとも多く票を得た提案が勝利し(多数決)、それを受け入れる仕組みとなっています。(69〜70ページ)

 この後に交わされる大学生の感想が「衝撃」を物語っています。

  • 教室で普段していることを政治にリンクさせたことはなかったね。
  • 子どももでも大人と変わらず一人ひとりがちゃんと意見をもち、それを述べる権利があるということを強調しているように感じるね。学校も、子どもにとっては立派な「社会」なんだということが認識させられる。
  • 教科書全体を通して「権利」って言葉が多くて、子どもも大人と同じように考えて行動できるようになる教え方だなーと思った。
  • 本当に「子ども扱い」していないよね。自分と社会がどのようにつながっているかを意識できるようになっている。 

■権利の主体としての子ども

 日本の学校においては、高校であっても「校則は校長が決定する」ということが当然視されています。もちろん、生徒が意見を表明し、それを学校運営に生かそうと努力をされている学校もあります。「『聞いてもらう権利』は、学習指導要領に定められています」とあるように、にスウェーデンとの決定的な違いは、子どもを権利の主体として見ているかにあると思います。

 日本の裁判所では、「学校長は、その設置目的を達成するために必要な事項を校則等により一方的に制定し、これによって在籍する生徒を規律する包括的機能を有し、生徒は(略)入学に際し、当該学校の規律に服することが義務づけられる」(東京都教育委員会「規範意識の育成に向けて ~都立高校生活指導指針を理解するために~」より引用)と言っているのです。

 ちなみに、引用した冊子には「生徒の内面的な自覚を促し、校則を自分のものとして捉え、自主的に守るように指導します」「校則は、あらかじめ生徒・保護者に周知」などと書かれていますが、あくまでも決めたことに従ってもらうもので、ここには生徒の意見を聞くという視点は欠落しています。

 スウェーデンでは、校則などにとどまらず、「学校における決定に影響を与えることができる」ということですから、ここには大きな乖離があることは明らかです。

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