町田市議会の第4回定例会。「小学校と同じような中学校の全員給食」を求める請願について、大議論となりました。
冒頭の記事は、12月25日付「都政新報」のコラムです。(クリックするとPDFファイルが開きます)
詳しくは、約4時間となる請願者との質疑応答、また市教育委員会に対する質疑をご覧いただきたいと思います。(参考:2018年12月12日の文教社会常任委員会の録画 請願第14号(1)、請願第14号(2)をご覧ください)
公開された録画をもとに、書き起こしてくれた方がいるので、こちらも合わせて紹介させていただきます。
請願は結果として、賛成少数で不採択となりましたが、大きな前進もあったと私は思っています。
■学校給食は「原則」全員を対象にして行うもの
一つだけ、原則を確認しておきたいと思います。
2009年に、「学校給食実施基準」が全部改正されました。この基準は、学校給食法の第8条1項の規定(注)に基づいているものです。
(注)文部科学大臣は、児童又は生徒に必要な栄養量その他の学校給食の内容及び学校給食を適切に実施するために必要な事項(次条第一項に規定する事項を除く。)について維持されることが望ましい基準(次項において「学校給食実施基準」という。)を定めるものとする。
この「学校給食実施基準」の第1条には、「学校給食は、これを実施する学校においては、当該学校に在学するすべての児童又は生徒に対し実施されるものとする」と書かれています。
1956年に出された文部省管理局通達「学校給食の実施について」では、留意点として次のように書かれています。
「当該学校に在学するすべての児童又は生徒」を学校給食の実施の対象としたことは、学校給食を当該学校の教育計画の一環として実施し、在学するすべての児童または生徒に対し、もれなく行われることの原則を明示したものである。
重要なのは、「学校給食を当該学校の教育計画の一環として実施」するということ、「在学するすべての児童または生徒に対し、もれなく行われることの原則」にしているということです。
学校給食実施基準では、「在学するすべての児童又は生徒に対し実施」し、「年間を通じ、原則として毎週5回、授業日の昼食時に実施」というのが求められている水準です。
この基準に照らしでどうなのか、ここが学校給食を議論する際に定めるべき視点ではないかと思います。
上記に掲載した、さいきまこさんのツイートを見て「さいきまこさんのこのコメントにつきる。どれだけ「気持ち」があっても、つくれない「事情」がある。このような声は街頭でもたくさん聞いた。 学校給食実施規則でも、原則は「全員」となっていることを度外視して、選択こそ正義と振りかざさないでほしい」と書きましたが、改めてここに記しておきます。
■「努力規定」になっていることは、大きな課題
学校給食法では第4条で「義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない」、第5条で「国及び地方公共団体は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならない」としています。
「努めなければならない」というのは、いわゆる「努力規定」となっていることは大きな課題です。
国や東京都が学校給食については「設置者の責任において」ウンヌンカンヌン…と自分たちの責任は然もないような言い方をしますが、食育の重要性が見直されている今日、国や東京都が積極的に関わっていくことは極めて重要です。
■学校給食法には、素晴らしい目標が掲げられている
学校給食法の第2条には、次に掲げる7つの目標が掲げられています。
一 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
二 日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
三 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
四 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
六 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
七 食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。
この一つひとつを、選択制の給食で実施することは困難です。
あらゆる角度から、中学校の全員給食を実現するために私も大きく後押しをしていきたいと思います。