三方睡眠不足

　10年前我が家は家を建て替えた。
　建替えにトラブルは付き物とはいうが傑作な
エピソードを。
　元々51年に祖父が建てていた我が家だが、現在の
生活様式に合わなくなった点がかなり見られ母など
改造したいようだったが踏ん切れずにいた。
　ところが94年に祖父が亡くなり初盆を済ませた
96年に祖母が「建替えよう」と言ってくれたので建て
替えに着手する事になったのだ。
　建築は51年に家を建てた地元の業者に頼んだのだが
設計を業者に出入りしている設計事務所に頼んだところ
「これ以外にできない」などと横着な事を言うので、
母が大手ゼネコンを退職したばかりの弟に設計を頼むと
あっさり要求したものが出来た。
　問題はこの後、鉄筋の3階建てにしたのはいいが設計した
叔父さんに言わせると「X線検査をした方がいい」との事、
その旨を業者に相談すると「それは予算を大幅にオーバー
してしまうから止めといた方がいい、絶対に悪いようには
しないから」と応える。
　この業者は51年に我が家を建てただけでなく、88年に
祖父の隠居家を建ててもいるし良心的な仕事をするので有名
なのだ鉄骨屋さんも長いウチのお客さんでもあるから粗悪品
を使う事は絶対にありえないのだ。だからオーナーに言わせ
ると「長い付き合いの信頼関係で」となるのだが大手ゼネコ
ンスタンダードが染み付いている叔父さんにはそれが我慢
ならないようだ。
　「いくら信頼関係があるとはいえ、それはそれ、これはこ
れ」と言うのが叔父さんの言い分なのだ。
　それから約1ヶ月もめにもめた結果、業者の言い分を受け
入れて信頼関係でやるようにした。
　その間業者のオーナーは「もう40年来の付き合いで信頼を
裏切った事がないのにそんなに信用がないのか」と思うと
情けないで寝られなかったそうで・・・
　叔父さんは「祖父が亡くなってから建てる家をみかじめの
自分が付いておきながら万が一トラブルがあったら死んだ祖父
に申し訳ない、こんな馴れ合いのやり方で大丈夫か」と思うと
夜も寝られなかったそうだ。
　そして母は両者の言い分は最もだし気持ちは分かるがどちら
かを取らないといけないので仲立ちの難しさから夜も寝れな
かったらしい。
　これを大岡越前の‘三方一両損’ならぬ‘三方睡眠不足’と
なったわけだ。
　因みに我が家のファックスはその副産物として買われたものだ。

　なお女房のブログでは長男の好き嫌いを書いてます