国際試合で勝ちたければプロになるしかない

ケンブリッジ飛鳥、プロ表明=陸上

 先日リオ五輪男子400mリレー銀メダリストの1人・ケンブリッジ
飛鳥がアメリカを拠点にしたプロ宣言をした。

 プロ宣言といえばロンドン&リオの男子体操個人総合金メダリスト
の内村航平がプロ宣言をしており、それに続くもので ようやく日本も
プロが市民権を得るようになったと実感する。

 オリンピアンのプロ宣言といえば今から20年前の96年にバルセロ
ナ五輪女子マラソン銀メダリスト&アトランタ五輪女子マラソン銅メダ
リストの有森裕子が五輪終了後にプロ宣言をしたものの世間の評判は
今ひとつで‘よくやった、頑張れ’どころか‘そこまでして金が欲し
いのか’的な論調が多数を占めていた時代だった。

 つまりスポーツで金を稼ぐのは卑しい事というアマチュアリズムを
過度に美化しプロを卑下する思想が根強く残っていた時代だったので
有森の行動は勇気ある行動だったし、その流れで長野五輪の金メダ
リスト・清水宏保をはじめとしたトップアスリート達がプロ宣言を
したわけでMLBに挑戦し後進に道を拓いた野茂英雄と並ぶ功績だ
ろう。

 有森がプロ化宣言した20年前はプロ化したライバル達と戦う五
輪をはじめとした国際試合で日本選手は惨敗を繰り返していたわけ
で、その理由がプロとアマチュアの差以外の何物でもなかったにも
拘わらずメダリストへの報奨金にも‘メダリストに金をやるとは嫌
な時代だ’など否定的な意見も普通にあったしインフラに金をかけ
たくない団体などは勝てない理由をハングリー精神云々でごまかそ
うとしていたのだ。

 選手達がプロ化する事によって年間活動経費などが公に分かるよ
うになり、一般市民にもメダルを取るためにかかる経費の大変さを
実感できるようになったとも言える。

 リオ五輪前に違法カジノ問題で話題になった男子バドミントンの
桃田賢斗らがプロ野球並みの収入があったり、リオ五輪男子卓球団体
銀&シングルス銅メダリストの水谷隼が‘年収は1億に届かないぐら
い’と発言するなどプロとしての心構えと収入がなければ世界と戦っ
て結果を残せない時代になっている。

 これはプロ化したと同時に急速に進化を遂げて世界と戦えるまでに
なったサッカーと、プロ化に背を向けて企業アマというぬるま湯に浸
りきり世界との差を広げられ続けている男子バレーと男子マラソンを
見れば分かるはずだ。

 だからマスコミはプロ宣言した選手達と延々と報道するだけでなく
プロ化に消極的なトップ選手や団体の尻を叩くのが、これからの重要
な仕事ではないだろうか。

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