76年 選抜高校野球Sファイナル・崇徳 3-1 日田林工

 みどころは復調してきた崇徳・黒田対日田林工打線。
 3試合全てで2桁安打を放ち計23点を挙げている日田林工打線は機動力
もあり、黒田をどうやって攻略するか。
 日田林工は風邪気味と言われた喜見ではなく、秋季大会前までエース
ナンバーを付けていた左の高倉を先発させた。

 1回表に日田林工は2アウトから3番・柳川がライト前ヒットで出塁、ここで
前日2安打2打点と復調していた4番・八谷に期待がかかるが黒田は執拗
な牽制しながら集中力を切らす事なく八谷に投げる。
 打った打球は1,2塁間のゴロで2塁手が回り込もうとした時に打球が1塁
ランナーに当たりランナーアウトで無得点。

 その裏、崇徳は先頭の山崎がライト前ヒットで出塁すると 2番・樽岡は
送って1アウト2塁から小川のライト前ヒットで1,3 塁となり4番・永田がショート
後方への打球を打ち上げる。
 これをショートとセンターが譲り合ってヒットになり崇徳が先制。

 3回には1番・山崎が四球で出塁すると2塁に盗塁し、樽岡の 1塁ゴロで
1アウト3塁から小川の犠牲フライで2-0と差を広げる。

 リードを許した日田林工は4回に先頭の米原がレフトへ2ベースで出塁
すると柳川が死球でノーアウト1,2塁のチャンス。
 4番の八谷が送って1アウト2,3塁から5番・入田が3塁前にスクイズを敢行、
米原は還るが2塁ランナーの柳川は3塁手からの送球をカットした1塁手・
兼光からの送球でタッチアウトとなり同点ならず。
 新宮戦で使った2ランスクイズを再び行ったが、崇徳から読まれていた
のだ。
 1塁に残った入田も盗塁を仕掛けて応武の好送球に刺されるなど機動力
も不発。

 その裏の崇徳は代わった喜見から2アウトから黒田が2ベースで出塁し
槇村が歩いた1,2塁のチャンスに山崎がライト前にタイムリーを放ち
すかさず1点を追加する。 

 2ランスクイズを失敗して同点になるはずが1点差だったのに、すかさず
1点を取られては日田林工もガックリ来るはず。
 6回以降は淡々と試合が進み、9回に日田林工は1アウトから1番・吉松が
ヒットで出塁したものの当っていた2番の米原がショートゴロ併殺に倒れ
ゲームセット。

  崇徳の強さばかりが目立った試合だった。
 日田林工打線は当っていたが黒田相手に6安打に抑えられ、盗塁も0と
足も使えなかった。 
 先発の高倉は1回さえ上手く乗り切れば・・・という感じだったが、永田の
ショート後方のフライがヒットになった時点で日田のリズムがおかしいと
思っていた。
 5回以降は喜見が持ち前の打たれ強いピッチングを見せたので崇徳相手
に何で先発させなかったのか?という意見もあるが、あくまで結果論だろう。
 強打と機動力を兼ね備えた日田林工打線のお株を奪うような崇徳打線
のソツのなさが目立った試合だった。

 日田林工 000 100 000 1
  崇徳    101 100 00X 3

コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
山崎隆造のセンスが光ってますね (なにわのヒバゴン)
2009-01-14 00:11:05
こーじ さん

福井戦で戦う形が出来上がった崇徳の快勝ですね

スコア的には接戦のようにも見受けられますが、黒田の安定感、打線の繋がり、堅い守り‥。すべて崇徳が日田林工を上回ってましたね

ツーランスクイズの策は悪くないと思います。黒田相手にそうチャンスは訪れないでしょうから、原田監督はイチかバチか勝負に出たのでしょう。二人の投手もよく投げましたし、日田林工にとっては収穫の多い4強入りだったように思いますね

崇徳は決勝前夜はどんなミーティングを行ったのでしょうね。小山ごとき楽勝や~と久保監督はすでに優勝インタビューの言葉を考えていたのかも。。多くの高校野球ファンは小山の優勝を願っていたような気がします‥☆
 
 
 
ホントにワンチャンスしかなかったです (こーじ)
2009-01-14 23:21:21
>なにわのヒバゴン様
 いやぁ、そうなのですよ。
 まさしく崇徳が全てにおいて一枚上でしたよ。
 
‘9イニングの中で3回チャンスが来る’とは言いますが、日田林工にとっては4回しかチャンスはなかったですからね。
 ある意味ギャンブルでした。
 
 ただ夏に、この成果を出せずに終わったのは大いに残念でしたよ。
 まさか鶴崎工に1-2で負けるとは思ってませんでしたからね。
 
 
 
復活を待ち望む (なにわのヒバゴン)
2009-01-15 00:27:53
こーじ さん

そうだったのですか。76年夏、あの強打の日田林工は柳ヶ浦ではなく、鶴崎工に敗れたのですね。鶴崎工も夏に2度甲子園経験のある伝統校。20年ぶりの復活を期待しています。同校はサッカーも全国の経験がありますね

昭和の高校野球に思い入れがある者としては津久見、大分商の復活が待たれますね。年々、甲子園代表校の顔触れが私学ばかりになり、アルプスの応援スタイルの没個性と合わせて本当に郷土勢が薄れてきました。84年夏に星稜を下した別府商は最近どうなのでしょうか。左腕の海老名投手が懐かしいです

公立校だと甲子園で1勝でも「よくやった」と労われますが、私学だとやはり勝つことが望まれます。大分のエース格になっている明豊、柳ヶ浦には近年のうちに全国制覇する心づもりで頑張って欲しいですね

あと長崎の清峰高校は「爽やか」などと形容されたりしますが、実際のところはどうなのでしょうか?かつての池田や中村高校よりはずっと選手個々のレベルは高いですよね‥☆
 
 
 
いろいろと事情が (こーじ)
2009-01-15 23:36:10
>なにわのヒバゴン様
 柳ヶ浦ならまだしも鶴崎工に負けたと聞いて驚いた次第です。
 もっとも春の九州大会で東筑から0-1で完封されてもいましたけどね。

 別府商は、アレ以来さっぱりですよ。
 田川同様、一回甲子園に出場すると燃え尽きる公立校ってけっこうありますからね。

 清峰は佐世保周辺の有望な選手達を集めて作ったチームですので、佐世保工や実がダメになってきましたね。
 田舎では公立の人気が高いですから。
 
 
 
佐世保工・香田、佐世保実・吉田‥ (なにわのヒバゴン)
2009-01-16 03:50:09
こーじ さん

そういえば佐世保の名前を甲子園で聞かなくなりましたね。清峰、長崎日大らの壁は厚いでしょうが、名門復活を願ってやみません。私は81年春、桜美林×佐世保工を観戦したのですが、中盤までリードされた桜美林が宮崎選手の逆転スリーラン?で佐世保に競り勝つスリリングな好内容。延岡工が東海大四に3連続スクイズで快勝した試合も思い出深いです

東筑は近年低迷していますが、突発的に復活するイメージもあるので期待しています。強打・日田林工が完封負けとは分からないものですね。1‐0というスコアは前橋松本の完全試合を思わせるようで、クレバーな投球に林工打線はやられたのかも‥

宇和島東×桐蔭学園は押し気味だった桐蔭が決定打に欠き敗れたような。宇和島の小川はさほど凄い投手には見受けられませんでしたが、丁寧な投球で打者を手玉に取ってましたよね。3回戦、まさか近大付が宇和島に敗れるとは思いませんでした。正直、初戦の明野のほうが難敵だと思ってましたから。夏は笹垣はよく投げたんですけどね。宇学は春の上宮に続いて大阪勢を破るやっかいな?存在でした

佐世保工といえば門司工ですよね。75年春は28校の入場行進。千載一遇のチャンスをフイにしたような門司工(現・豊国学園)でしたが、甲子園の土を踏む日は訪れるのでしょうか‥☆
 
 
 
厳しいですね (こーじ)
2009-01-17 00:08:33
>なにわのヒバゴン様 
 佐世保工は81年春まで監督をしていた得永監督の時代までが強く、氏は82年から波佐見に移動になりました。
 だから香田達が氏を慕って入学した最後の年代です。
 84年以降に佐世保工が聞かなくなったのは、そういう事でした。

 81年春は前年夏ベスト8の興南に勝って優勝して乗り込みまして1回表に30分ぐらいかけた9人攻撃で4点先取したものの追加点が取れず、ジワジワと桜美林から追い上げられ4回で早くも同点。
 そして7回に宮崎から勝ち越しHRを打たれたワケです。
 
 76年の東筑は2枚看板の継投で日田林工を完封したものの、夏はベスト8にも残れませんでした。

 北部の私学は九国台付・自由が丘・飯塚が三強で、豊国は厳しいですね。

 近代付の笹垣はサイドスローでしたね、明野の投手が里中でしたから‘コイツがサイドならよかったのに’とスタッフで言っていましたよ。
 
 
 
懐かしい波佐見高校 (なにわのヒバゴン)
2009-01-18 03:01:54
こーじ さん

やはり名将の手腕は威力を発揮するんですね。96年夏の波佐見は秋田経法大付を下しましたし、得永監督らしい渋とい野球が見事でした。確か、波佐見は2回出ましたよね

ご指摘ありがとうございます。桜美林×佐世保工の試合展開をすっかり忘れていました。宮崎の一発はどうも逆転弾のイメージだったのです。桜美林は丸3年、甲子園から遠ざかっていたこともあり、強豪のイメージが少し薄れた印象でした。ナイター試合でとても肌寒かったです

九国大付は旧八幡大付。このチームと横浜商の関係が実に興味深いです。79年夏に40数年ぶりに出場のY校は初戦で初陣の八幡大付に勝利。82年春も戦後初登場のY校が初戦で春初陣の八幡大付に勝利。投手も宮城、三浦ともに2年生でいずれも4強入りでしたし、さらにY校は準決勝で優勝校に2‐3のスコアで敗れています。マリンブルーのユニが懐かしいですね

飯塚は昨夏の初陣で今後も常連校として進化し続けるのか注目したいです。飯塚商は廃校になったのですね。私からすると伝説でしかないチームですか‥☆
 
 
 
柳川商の遺伝子健在なりです (こーじ)
2009-01-19 08:54:10
>なにわのヒバゴン様
 飯塚の吉田監督は73年の柳川のキャプテンで1番・ショート。
 江川と戦ったメンバーの1人です。
 沖学園の前田監督は75年のキャプテンで、やはり1番ショート。
 さらに前柳川監督で、自由が丘の末次監督は76年の4番打者です。
 けっこう福岡では柳川OBが監督になってますよ。

 八大付と横浜商はいずれも2度対戦してますからね。
 3度の出場中、2度ですから縁があるというか・・・
 ちなみに82年のエース・河野は前年夏に我々と対戦しました。
 カーブの落差が大きかったですね。
 
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