追悼、実相寺昭雄監督

　今朝ネットをつなぐと衝撃的なニュースが飛び込んできた。
　実相寺監督が亡くなったというのだ。
　子供の頃に監督の作品を見ると必ず作戦室の照明を落とし
真っ暗な中でランプの点滅が目だっていたし、やたらと目や
口のアップが出てくるシーンが多かった。
　また有名なハヤタのスプーンでの変身ポーズや1話にウルトラ
マンを2度も3度も登場させるなど当時としての掟破りも多々
あった。
　そこそこの年齢になってから見ると生活感を出さないはずの
科学特捜隊が作戦室でまんじゅうを頬張っていたり、お茶を
飲んでいたり生活感出しまくり。これでは後に聞いた局側との
対立でよく干されたという話もある意味仕方ないと思う。
　87年に‘帝都物語’で監督をしているのを見て絶対に観に行か
ねばと思い映画館に突進しパンフレットもしっかりと購入した。
またこの年に円谷ファンクラブ会員特典で監督の著書である
‘星の林に月の舟’を直筆サイン入りで買ったのもいい思い出だ。
　これは89年の3月に三上博主演でドラマ化もされたのでOAされた
のが休日だった事もあってCMをカットしながら見た記憶がある。　
　88年に蒲田に到着して立ち寄った本屋で見つけた‘ウルトラマン
ができるまで’も今ではお宝だ。
　96年にウルトラマンティガでは監督した‘花’‘夢’の2作品は
まさに実相寺ワールド健在をアピールしていたし、ダイナでも‘怪獣
戯曲’を監督しお客さんと「相変わらず面白い事やってますね」と
話題にした。
　昨年ウルトラマンマックスで監督した2話の最後がメトロン星人の
登場する話というのも運命的だ。メトロン星人をメトロン星に返して
やりたかったのかなとも思えた。
　シルバー仮面のリメイク版が遺作となったが、OA当時ミラーマンの
裏番組で苦戦しただけにぜひともヒットして欲しいものだ。
　時代の最先端を行くとどうしても保守的な勢力からバッシングを受
けるケースが多いが、監督も作風が最先端過ぎて時代がついていけ
なかったのだろうが現代でも十分に通用する作風を作った才能には
改めて感心する。
　怪奇大作戦のリメイク版をぜひとも作って欲しかったが、それも
幻に終ってしまった。
　考えて見ると円谷一、金城哲夫をはじめウルトラマンをつくった男
達が次々と星の世界へ旅立っている。監督の仲間であった鈴木俊継、
野長瀬三摩地、に脚本家の山田正弘、佐々木守もしかり。
　今頃は円谷英二を上座に円谷一、金城哲夫らと酒を酌み交わしている
か、佐々木守ー大木淳とのトリオで新しい作品を作るべく話し合って
いるのか・・・・・月の舟で星の林に向って旅立っていかれた監督には
今となってはもう話を聞きようがない。
　ご冥福をお祈りします。
　合掌。