平成30年目のボクシング界を振り返ると

 今年は平成に入って30年目だが日本のボクシング界では、平成
の間に大橋秀行から井上拓真まで65人の世界王者が誕生している。

 昭和27年5月19日に白井義男が世界フライ級王者になってから
昭和の37年間で誕生した王者が26人で当初は1団体8階級だった
ので世界王者は8人しかいなかった時代から、4団体17階級に世界
タイトルが増殖している現在は昭和とは単純に比べられないものの
30年間に65人もの世界王者が誕生したのは凄い。

 とはいえ平成2年2月7日に大橋秀行がWBCストロー級王者に
なるまでは、昭和62年10月から2年3ヶ月近く世界王者が誕生し
ておらず実に世界挑戦20連敗という悲惨な時期があった。

 日本の世界挑戦連敗記録といえば昭和の時代に51年10月に辻本
章次がWBAウエルター級王者のホセ・クエバスへの挑戦に失敗し
てから、53年の8月に工藤政志がWBA:Jミドル級王者になるま
で世界挑戦16連敗という記録があるが昭和の終わりから平成にか
けて20連敗というのは決していいものではない。

 昭和63年1月に神代英明がWBCフライ級王者のソット・チタ
ラダに7R終了TKO負けでスタートしたわけだが、昭和の16連敗
と比べて違うのがTV局のバックアップ。

 16連敗を喫した昭和50年代前半はボクシングの世界戦が高視
聴率を稼げるコンテンツだったから16敗中、国内での挑戦は12
なのに対して海外挑戦は4で挑戦した相手はカルロス・サラテや
エステバン・デ・ヘススにカルロス・パロミノといった一流王者。

 国内挑戦の12試合の中で複数回があるので挑戦したのは10人
だが、ガッツ石松や輪島功一に小熊正二という元世界王者が3人
含まれており石松と輪島は衰えが激しく最後の世界戦になっている。

 一方20連敗の内訳を見ると国内が12に対し海外が8で8試合中
6試合が韓国での挑戦となっており、当時全盛だった韓国の世界王
者が日本人選手を確実に防衛できる相手として呼び寄せて防衛を重
ねていたのに乗った形だ。

 また16連敗時代に国内挑戦でゴールデンタイム以外の世界戦は
1試合のみだったのに対し、20連敗時代のゴールデンタイム以外
の世界戦は実に7試合と半分以上になっておりボクシングの世界戦
が高視聴率が稼げるコンテンツではなくなっているのが分かる。

 救いは20連敗中の挑戦者18人の中で後に世界王者になったの
は連敗を止めた大橋秀行をはじめレパード玉熊や畑中清嗣に平仲
明信、更に返り咲いた井岡弘樹も含め5人いるという事だろう。

 本来なら世界ランキング上位の選手に勝ってから世界挑戦という
のが理想ではあるが、昭和の末期になると先述したように世界タイ
トル自体が増えた一方で世界の上位ランカーを招聘しても世界戦並
みの経費がかかるので一気に世界戦という形になっていた。

 つまり世界王者以外の上位ランカーとの対戦が難しくなっている
状況が20連敗という事態を引き起こした理由の1つだが、それだ
け世界タイトルの重みがなくなってきたという事の証明でもあった。

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コメント
 
 
 
世界戦連敗とかどうでもいいでしょ (アンジェラマオ)
2019-02-22 02:48:32
30年間に65人とかそんな話よりも、今のボクシング界の大問題は、ボクシングという競技自体が世の中の尊敬の対象ではない。社会的評価の他競技に比べての低さでしょう?
 
例えばいま世界王者何人もいるけど、私に言わせれば全員こんな王者何らいっそ一人もいない方がいい選手ばかりじゃないですか?存在自体がボクシングのステイタスを貶めてますよ(本人たちの責任ではないが)。このステイタスの問題が重要なんであって世界戦なんて100連敗しても今みたいな王者産むぐらいなら別にいいんじゃないですか?
 
 
 
人気低迷の元凶は (こーじ)
2019-02-22 22:59:58
>アンジェラマオ様
 まぁボクシング界の人気低迷は統括団体のトップが目先の金儲けに血眼になってタイトルのバーゲンをしている事が元凶ですし、〇〇ナベ氏をはじめとした業界の面々が世界タイトルさえ持っておけば何とかなるという
昭和的発想から抜け出せてないというのも大きいと思います。

 そして日本で世界王者に対する尊敬の念を失墜させたのが昭和感覚の民放TVと某一家という事でしょう。
 
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