泉麻人のウルトラ倶楽部でウルトラQを見た時に最も印象に残っ
たのが‘鳥を見た’である。
古代怪鳥ラルゲユウスが登場するのだがOPはサブタイトルが出る
ぐらいのあっさりしたものだったのに対し、EDは飛び去るラルゲユ
ウスを三郎少年が見送るシーンに被せてエンドロールが流れるのだ。
通常の作品ではプロローグからOPやプロローグなしにクレジット
などもOPで流れたり、EDで流れたり一定している。
ところがウルトラQの中川晴之助作品はプロローグからOPでサブ
タイトルが流れるという展開で、OPのテーマが‘育てよカメ’や
‘カネゴンの繭’では違うし‘鳥を見た’に至ってはスタッフや
出演者のクレジットがエンドロールで流れるという異色版だ。
こういったスタイルはウルトラQならではで、円谷プロの第1作と
いうだけでなく実験作品という形なのである。
ちなみに中川監督の作品は‘育てよカメ’ではOPクレジットが
子供達の手書き系だし‘カネゴンの繭’では万城目淳をはじめと
したレギュラー3人組が全く出演しないという独特の雰囲気だ。
こういったスタイルはウルトラQの中川晴之助作品のみでウルト
ラマン以降は全く見られないため貴重な3作品だろう。
ウルトラマンから監督に加わった実相寺昭雄の演出が他の監督
とは全く違う独自の映像や演出スタイルだったが、中川作品のよ
うにエンドロールをはじめとしたフォーマットの変更やレギュラ
ーを全く起用しないというやり方まではやってなかったので中川
作品は異彩を放っている。