高校球児は凄い！

　今から28年前、私は西田川高校に入学し野球部に
入った。
　当時のウチはかなり弱く新チーム結成以来まだ1勝
しかしてなかったのだ。
　しかも部員は上級生2学年合わせてちょうど9人しか
いないし2塁手の2年生が指の骨折でリタイアしていた
のだった。
　ただ我々の学年の1年は多く全部で20人近く入部して
いた。
　中学までの部活なら週に2日は‘塾のために休み’を
取っても文句を言われないが、高校では‘塾を取るか
部活を取るか’の世界だったので誰も塾に行く者など
いなかった。
　練習休みは5月の中間テスト前の試験休みまでほとん
どなかったし、放課後は16:00から19:00過ぎまで練習
でかなりキツイ。しかも1年生は昼休みに放課後すぐ練
習に入れるようグランド整備をさせられるのだ。
　先輩方・特に3年生などオッサンに見えるぐらい貫禄
がありかなり怖い存在だった。しかも彼らは我々1年生
がへばる練習を我々以上やってもびくともしないのだ。
　一番驚いたのがGW前に行われる歓迎遠足。
　我々が1年の歓迎遠足は地元の英彦山登山だ。
　標高1200ｍの山に登るので所要時間は片道2時間近く、
降りてくるとかなり足にきており帰りのバスの中では爆
睡している連中がかなりいた。
　そんな登山を全校でやりながら先輩方が言うには
‘終ったら普段どおり練習ぞ、サボるなよ！’
　理由を尋ねると‘甲子園を目指す学校はこれ以上の練
習をやっている。ウチは他所より弱いので他所の倍は練
習しないと勝てんのだ’とキャプテンは言う。
　その迫力に圧されて何も反論できなかった。
‘そうか甲子園を目指すというのは生半可な事ではない
のだな’と妙に納得させられたものだ。