伊藤雅雪、大差判定勝ちで新王者!米国での世界王座獲得は日本人37年ぶり快挙
ワシル・ロマチェンコが返上したWBO:Sフェザー級タイトルの
後釜を決める決定戦が日本時間の今日昼前にフロリダ州キシミーで
開催され、2位の伊藤雅雪が1位のクリストファー・ディアスに3-
0の判定勝ちで快勝し81年の三原正以来37年ぶりにアメリカ大陸
での戴冠となった。
1位のディアスは23勝15KOという戦績を持ち高名なプロモー
ターであるボブ・アラム率いるトップランク社のホープで、ロマチ
ェンコが返上したタイトルの後釜に満を持して挑む形だったから試
合前のオッズも4-1でディアスリードというもの。
伊藤は東洋太平洋王者で174cmの長身を利したカウンターパン
チャーだがディアスのプレッシャーをどう捌けるかが焦点で巷では
前半ボディを打ってスタミナを削り後半勝負という声があるが、む
しろ前半からペースを握って行かないとラテン系の選手は調子に乗
ると手が付けられないため前半でペースを握る必要がある。
試合は1Rから前進して来るディアスを伊藤が迎え撃つ形になる
のだがディアスのプレッシャーを足を使って捌くのではなく、むし
ろ伊藤の方からプレッシャーをかける形で接近戦となり右ボディを
何度もヒットさせる好調なスタート。
迎えた4Rに伊藤はワン・ツーからの連打でダウンを奪い尻に火が
付いたディアスに5Rを取り返されるし、時おり強烈な右ストレー
トが当たるものの伊藤は怯まず打たれたら打ち返して盛り返す形で
ラウンドが進む。
身長&リーチで上回る伊藤だから距離を取って打ち合いを避ける
と思われたのだが、自ら接近戦を挑みボディを打ってスタミナを削
る思い切った戦いを見せ打ち勝っていたからこそディアスの左目の
あたりが腫れ上がるまでになっていた。
それでもパンチ力に勝るディアスの攻撃は脅威で11Rなど2分過
ぎまでペースを握っていても左フックをもらってフラつくなどヒヤ
りとする場面も多々あり、それなりにポイントは勝っているただろ
うが最後まで気の抜けない展開で終了のゴングを聞いた。
採点は117-110、116-111、118-109の3-0での完勝で、ま
さか118-109を付けたジャッジがいるとは思わなかった。
Sフェザー級は内山高志&三浦隆司という強打を誇る2枚エースが
引退し昨年12月に尾川堅一がアメリカでタイトルを奪取して喜んで
いたらドーピングで引っかかるなど、世界とのレベル差が開いてい
た感が強かっただけにトップランクのイチ押しホープにアメリカで
ダウンを奪って快勝するとは捨てたものではない。
これで一昨日の木村翔に続いて2試合連続で海外での快勝劇とな
り‘日本でしか戦わない内弁慶’といわれた日本人ボクサーのイメ
ージを払拭できているのではないだろうか。