昨日プロ野球選手会が当初の出場辞退から一転参加を表明したWBCだが
保守的な関係者やコアなファンからは決して評判のいいものではなかった。
3月開催という事で特に夏場から秋にかけてピークを持って行くMLBプレイ
ヤーにとって決してベストコンディションではなく、ゆえに‘ケガしない程度に
プレーする’というイベントになっている事が最大のネック。
悪い事にキューバやドミニカなどラテンアメリカ勢にとってはシーズン真っ最中
なのでオフ明けの日本をはじめとしたアジア諸国にアメリカ・カナダ・メキシコなど
では必然的にコンディショニングに差が出る。
だからWシリーズ終了後かMLBオールスター休み前後にベスト4以降を行う
などの案が出ているが残念ながら実現の見込みはない。
オールスター休み前後に行うのはベスト4までと間が開き過ぎるし、日程上の
都合も付きにくい。
保守的なプロ野球OBの面々が主張するWシリーズ後だがMLB事情を知って
いれば、実現はオールスター休み前後以上に難しい。
というのもMLBではポストシーズンに残れなかった30チーム中20~22チー
ムは直後から解散状態で主力選手はオフでオーバーホールに入り、若手選手
達はドミニカなどのウインターリーグでプレーを始める。
一方ポストシーズンに残ったチームの選手達は かなりのプレッシャーの中で
試合をこなすため疲弊しているのでコンディションに不安を残す選手ばかりに
なるだけでなく、TVの放映権収入が得にくいというアメリカならではの事情が
拍車をかける。
現在のスポーツイベントはTVの放映権料が必要不可欠だからTV中継なし
では成立しないのが現状だが、アメリカの場合スポーツカレンダーが1年中
しっかりと立て込んでいるのでオリンピックですら9月にずれ込む事を嫌がる
ぐらいだ。
つまり9月はMLBがレギュラーシーズンの佳境を迎えNFLが開幕するし
10月はMLBのポストシーズンの月になり、11月に入るとNBAが開幕する
ので野球の話題は一切なくなる。
昭和の時代に日米野球は隔年で‘アメリカでも開催した方が・・・’などという
意見が出ていたものの、こういう事情は当時は分かってなかったのだが到底
無理な話だと今なら分かるだろう。
その点3月ならシーズン開幕前でケガ人も出てない可能性が高いしNBA
やNHLのオールスターゲームが終わり弛緩した時期に入っていて、商売
がたきといえばバスケットボールの全米選手権であるNCAAぐらいになる
から3月の方が現実的なのだ。
当然ながらプレシーズンゲームの延長のような感じには なるものの少なく
とも11月以降の開催よりは現実的だという事が分かる。
たしかにMLBプレイヤー中心のアメリカは本気ではないかもしれないが、
少なくともキューバは国の威信をかけて臨むので真剣勝負には間違いない
のだ。
‘不満は色々あるだろうが、まず参加して結果を残す事でコチラの主張が通る
ようになるのだから・・・・’とは第1回大会で日本を優勝させた王貞治の言葉
だが、この言葉通りにやるのが現実的だろうし、文句を言って何もしないでは
変わりようがないのだから。