‘像が踏んでも壊れない筆入れ’とは言うけれど

 我が家ではスポーツ新聞としてスポニチを取っているのだが先月の
集金の時に付いてくる小冊子・毎日夫人の特集は「時が磨いた文房具」
で、その中に以前‘象が踏んでも壊れない’と宣伝していたサンスター
のアーム筆入れが扱われていた。

 ポリカーボネートを使用したので丈夫だというのがウリで実際に
アーム筆入れを敷き詰めた上を象に歩かせるというCMが流れて、
‘象が踏んでも壊れない’というのが宣伝コピーになっていた。

 この筆入れは当然のように我々の間でも話題になり購入する者が
続出し、一時はクラスの半分近くが使っていたのだった。

 ところが ある日 ノリのいい同級生が1人のアーム筆入れをイスの
足の下に敷いて上から乗ったところ当然のように筆入れは‘バキッ’と
いう凄い音と共に割れてしまい持ち主は号泣し、割った本人は呆然と
立ち尽くす始末。

 割った同級生が担任の先生から怒られたのは言うまでもなく‘何で
そんな事をしたか'と詰問され‘CMで象が踏んでも壊れないと言って
いたので'と応えていたのだが、考えてみればCMで象が踏んでいるの
は筆入れ全体なのに対しイスの足は一箇所に圧力が集中するので壊れる
のは当たり前である。

 今なら‘CM上の演出です’というテロップが出るのだろうが当時は
他でもありそうだったけど、そういう話を聞かなかったのはそれだけ
世の中が大らかだったという事なのだろう。

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