ヘアサロンうつのみや・オーナーのスポーツやヒーローもの、雑談ネタを徒然なるままに
こーじ苑
上原康恒、苦闘の初防衛戦から40年
今から40年前の今日80年11月20日に蔵前国技館で行われたのが、
WBA:Jライト級王者・上原康恒の初防衛戦。
相手はベネズエラの7位レオネル・エルナンデスで強打が持ち味
という事からKO必至の強打者同士の対戦が注目され、どちらが勝
つにせよKO決着の期待が高まっていたのだが意外にも消化不良の
ような展開の末に上原が2-1の判定勝ちで初防衛に成功した。
8月にデトロイトに乗り込み10度防衛中のサムエル・セラノを6R
に右フック一発で逆転KO勝ちしタイトルを持ち帰った上原の凱旋
防衛戦という事もあり試合前は大いに盛り上がっていたし、上原陣
営の金平正紀会長は試合前にエルナンデスが伸ばした髭を‘パンチの
威力を吸収してしまう?’という言い分で剃り落させるなど話題も
多かった。
当時の世界戦は15Rだったので5Rぐらいまではジャブなどで牽制
しあう展開が見られていたのだが、試合が始まると打ち合いになる
と思いきや挑戦者はジャブを突きながら動き回るだけで強打を打ち
込もうとする雰囲気は全くない。
一方の上原はデトロイトの再現とばかりにパンチを振り回すが、
手数自体も少なく挑戦者にかわされ続ける。
最初の5Rぐらいまでは仕方ないという見方もできたがラウンドが
進んでも上原が前進し単発のパンチを振り回すものの当たる気配の
ないのに対し、挑戦者は動き回ってジャブを中心とした軽いパンチ
を打ち続けるという展開が最後まで続き遂に試合終了のゴングを聞
く事になったのだ。
正しくステーキハウスに行って寿司が出たという感の試合展開で
場内もストレスの溜まった感が充満しており、上原は首を傾げてう
なだれる姿を見せているのに対し挑戦者はセコンドと大喜びしてい
るのを見ると大丈夫か?という不安感の中‘勝者、上原’のコールに
喜ぶよりも一安心という感じだった。
挑戦者のエルナンデスは試合後‘ドロボー’と激怒していたのだが、
日本の元世界王者や評論家は‘挑戦者が打ち合わずに逃げ回っていて
はダメ’と厳しい評価ではあった。
しかし上原にとって幸運だったのは両国ジャッジにレフェリーが
韓国人という審判構成で日本や韓国は当時ラウンドマストシステム
ではなかったため149-146&149-147と僅差で上原の勝ちだった
のに対し、ベネズエラのジャッジはラウンドマストで採点したため
147-141の大差が付く形になっていた。
実はエルナンデスは上原戦が4度目の世界挑戦だが過去2回挑戦
したアルフレッド・エスカレラやサムエル・セラノ相手にダウン
を奪っているし、翌年4月に上原からタイトルを奪回したセラノ
の初防衛戦の相手として挑むのだが専門誌の記事によれば‘エルナ
ンデスの突進をセラノは15ラウンドにわたって捌き続けた’という
もの。
つまりエルナンデスは基本ファイターだが上原のような強打型
相手なら動き回ってポイントアウトするというオプションがあっ
たわけで、上原の強打をフルラウンドにわたってかわし続けただ
けでなくジャブを中心にヒットさせていたのだから悪い選手では
なかった。
こういった戦い方の幅があるのが、中南米ボクサーの特徴だと
思ったのだった。
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